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■2006年05月31日（水）
日本も組織的な近代サッカーが出来るんだ？
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ドイツ戦は素晴らしい試合でした。
何が素晴らしいって、残り10数分の最終盤を除く試合全般でコンパクトなサッカーが出来たこと。
これは胸を張っていい組織プレイだったと思います。
●組織プレイ
日本でコンパクト・組織プレイ・プレスと言えば、加茂周監督時代提唱したゾーンプレスを思い出されます。
逆に言えば、その時期にやっと輸入されたばかり。
日本はチームプレイの国と思われがちですが、細かな戦術には拒絶反応を示し、自分のスタイルを最優先する選手が主流。
スポーツは頭脳でプレイするものという徹底がプロアマ問わず全然出来てないのです。
サッカーに限らず、野球でも。同日試合のあった巨人-札幌で、巨人側は新聞のスタメン予想を鵜呑みにして独自に作戦を立てる努力を怠って全く別オーダーに対応できずに負けた記事が出るほどです。逆にロッテの交流戦の強さはここにあります。別に原監督がぼやくエースを当ててくるからではないんです。
緻密に準備をするのが苦手な国なのです。「面倒だから」が先になるのです。
おっと、脱線。
まず、昨年頃から、組織でプレスするサッカーをジーコ監督は大号令で取り組んで来ました。
ボールを持つ相手選手に一人でマークするのではなく、２〜４人が同時に同じ意思を持って次々にプレスをかける戦術。
一人が詰めてパスコースを限定。２人目が限定されたコースに背後から忍び寄ってカットを目指す。相手が抵抗してこぼれた球を３人目が拾うが、相手も取り返そうとまたこぼれたところ、１人目が戻っていてそれをマイボールに。
（青：自軍、赤：敵軍、黄色：ボール）
この連携がやっと見られるようになりました。今までの日本では、３人目（図の右上）は動かずプレスが成功していなかったのです。
また、ディフェンスとオフェンスで全く意思の疎通が見られなかったのが、この試合では守る時間帯と攻める時間帯を統一できていたのが最大のポイント。
今までは押し込まれていてDFが「ここは引いてじっくり守りたい」と下がると、OFは「前で仕事するのが自分のスタイル」と、前に出て打開する。これでは中盤が大きく開いてしまい、プレスによる守備は全く出来ません。2005からここに来るまで大量失点の時間帯ができていたのがこれが原因。
この意思疎通が、いつ、いかなる時でも完璧にこなせられれば、F組通過は出来ます。それだけの個々の技術力はあるチームです。他チームが日本を重要視している理由です。個々の技術では勝っています。
ただ、ドイツは強豪とはいえ、体格＆パワーに任せたプレイが多く、完成度はまだまだで、これから仕上げていく段階にも見えました。
それを考えると今回出来たプレイを100％額面通りに評価はできないかと思います。更なる熟成が急務だと思います。
同グループには、名将知将を監督に据える日本が目指すスタイルの先駆者ばかりが揃っているからです。
クロアチアは組織プレイは欧州一とも言われ、当然この面では経験豊富で揺さぶりにも強く、逆に揺さぶりを仕掛けてくるほどの完成度を持っていると思われるチーム。このチーム相手に日本がドイツ戦で見せたサッカーを続けられるかが勝負。終始スキなく意思統一できれば勝てない相手ではないが、それは至難。
オーストラリアは名将ヒディングが徹底した組織プレイを強化。強化試合よりも意思統一できたプレスの完成を目指して合宿期間を徹底的に増やして来てます。プレーオフでアジア第三代表と争っていた時代のオーストラリアとは全く別格のチームに仕上がっていて、日本のドイツ戦を見てヒディングに自信持った対応策があれば苦戦か敗戦する可能性も。
●FWの意識改革
もうひとつ、日本の最大の難点だった、FWの弱さ。
ドイツ戦では完璧に克服されていて、驚きました。
今まではゴール前でDFが一人でも居たら横へのパスコースを探して持ってしまい、詰め寄られてシュートが打てないシーンばかり。これはFWとしてやってはいけないプレイです。
パス＝チームプレイ？そんな変な習慣だったのかしらないですが、打つべきところで打てない選手は役に立たない。欧州に出て日本人が試合に出れない原因のひとつかもしれません（上の戦術理解もありますが）。
それが、W杯本番を前にして、誰もそんな躊躇見せなかった。それが２点に繋がりました。
●さすがの個人技
２点はともに日本が誇る中盤のキープ力が生み出した得点でした。
１点目：プレスで奪ったボールを、俊輔が相手３人に囲まれながらキープ（私が選ぶ試合のベストプレイ）。他の相手選手の意識も呼び寄せて３秒時間を作り攻撃態勢を作り上げました（それに呼応して上がった他の選手の意思統一も素晴らしかった）。フリーになった右にパス⇒ワンタッチで高原へ。
２点目：後ろからのパスを中田が３人背後に詰め寄られながら２秒時間を作り、攻撃への足がかりに。この得点は３人に詰め寄られながらもパスの弱気を出さず抜いてシュートした高原の変貌も誉めるべきでしょう。無謀でなく、サポート役をチームとして期待してるときはパスでもいい。でも、あの場面はシュート打って欲しいと誰もが願うシーンで、チームプレイです。
●経験＆基本不足！
２失点はともにセットプレイから。だけど、アレで失点しちゃ駄目でしょ！！！
何故か。
欧州のクラブならどこでもやってる基本パターン。で、得点シーンで最も多いプレイで、１試合に１〜何度も出てくる場面。あの２コースの速いキックが正確に打てるかどうかがフリーキックを蹴任される大前提でしょう。
日本では狙いがよく解らないセットプレイでチャンス潰しますが、チームが一体化する明確な目標もって蹴るように心がけないと。
なにより問題なのは「あれで簡単に２点取れるなら、格下だ。負けていても必ず取り返せる」と、これからの対戦相手チームの士気が上がることです。
意思を持ったセットプレイが国内リーグで標準になっていないので、対応は難しいかも知れないですが、実地でなく図面上での位置取りと相手の動きを見る役目の確認など、代表的オーダーに対してのケアは最低限しないと駄目でしょう。。。 | | |
