「Weekly Needs」1998.2.5号(Vol.3 No.48)

「まち」から「仮設」へ。「仮設」から「まち」へ。

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我が輩は店員である


 わが輩は、長田にあるリサイクルショップの店員である。この辺の人間ではないが、ボランティアをしているうちになぜか帳場に座ることになった。しかし、お客さんが少ない。特に土曜日はひどい。人が通らないのだからどうしようもない。

 考えるに、不景気で土曜日は仕事を休んでいるところが多いのだろう。この辺はゴム屋さんが多いが、ゴム屋さんはもともと土曜休みのところは少ないはずだ。聞くと、やっぱり仕事が少ないらしい。あっても大手(某スーパーなど)は買いたたくので工賃が安い。時給500円にもならないので、やらん方がましや、という。
震災をきっかけに、郊外へ移っていったメーカーも多い。田舎に広い工場を建てて、パートを雇って、自分とこで全部やってしまうのだ。
 仕事がなければ人がいない、ということは 住人がいないということだ。しかし、新しいマンションがどんどん建ちよんのに、なぜだ?

 ひとつには、家賃が高くなったことがある。なんぼ余っているといっても、新築だから、2万や3万では貸さない。3万や4万の年金ではむりだ。
 それに、もし今までのたくわえで家賃は払えるとしても、なかなか貸してもらえない。年齢、収入、保証人、そして、障害、国籍…。いろいろうるさい。若くて、固い勤めで、保証人になれる人が近くにおるような家の人は、借家に住まない。家を買えないから、借家を探すのだ。土地持ちの、ええしの(=富裕な)家系でないから、借家に住むのだ。

 町から人が消え、商売も苦しくなる。これは別にここだけの現象ではない。震災がその動きを後押ししたのだ。産業の不振→コミュニティーの崩壊→孤独死の動きも今、日本中のまちで起こっている。わが輩の祖父も、ある田舎町で、家賃千円の長屋を80才を前にして追われ、その後、友を栄養失調による孤独死でなくした。被災地の問題は、他人事ではない。

 だから、被災地のまちづくりには注目している。被災地が全国を励ますことにもなるだろう。人口だけ戻しても、まちは戻らない。よそで仕事して、買い物して、寝に帰るだけの「植民地」では店は流行らないし、つながりも生まれない。地域内でお金を回していけるようにするのだ。そして、日本政府がこのまま見捨てたら、「独立」しようではないか。

(横田 ゆり)


インフォメーション


◆やすらぎコンサート◆
 神戸協同病院のロビーに日本フィルのメンバーが来ます。
入場無料です。
【日時】2月10日(火)午後2時〜
【場所】神戸協同病院1階ロビー
【演目】五木の子守歌、沖縄地方の子守歌、モーツァルトほか
【問】実行委員会 事務局: 078−611−4577

◆やかんちゅうがっこう せいとぼしゅう◆
 中学校卒業まで勉強できなかった人で、市内にすんでいる人が対象です。
申し込みは午後2時から7時までの間にしてください。
・兵庫区より東の人…兵庫中学校 北分校: 078−577−4390
・長田区より西の人…丸山中学校 西野分校:078−736−2521
【問】教育委員会 庶務課: 078−322−5763

◆ホームヘルパー◆
 家事、買い物、洗髪、体ふきなどをホームヘルパーが手伝います。
まず、お問い合わせください。
・兵庫区より東の人: 078−271−5353
・長田区より西の人: 078−579−2500

◆酒害ほっとライン◆
 酒によっておこる健康問題、家庭問題に同じなやみを持つひとや家族がこたえます。
【電話番号】月〜金曜 午前9時〜午後5時: 078−651−5909
      月〜金曜 午後5時〜午後10時: 078−681−8325


ウィークリーニーズ 3年間の軌跡(その2)
Vol.1Vol.2番外編

1995.3.12(日)〜1996.2.29(木)
Vol.1(全20号)+Vol.2(全13号)+番外編(全2号)=計35号)
その1へその3へ

地元への引き継ぎ
 地震のあった1995年の3月に、ボランティア団体の“ピースボート”より、地元のボランティア(すたあと長田:当初は『これからの長田を考える会』)に活動が引き継がれ、御蔵通5−5のプレハブも、印刷機械などもひきついで『ウィークリーニーズ』の発行がはじまった(※)。

1995年4月:神戸大・舟橋氏の長田報告参照

 

Vol.1(1995.3.12(日)〜7.30(日))
 震災の復興の遅さにいらいらしながらも、“家屋解体での粉じんの予防”“がれきの町の車いすガイド”、“長田復活祭長田マダンの紹介”、“菅原市場丸五市場神社前商店街パラールの買い物マップ”など、たくさんの情報を約1万人のかたにお伝えした。

 

Vol.2(1995.8.6(日)〜1996.1.28(日))
 長田には黒田福美さんソウル・フラワー・ユニオン(ソウル・フラワー・モノノケ・サミット)なども、何回も訪れてくれた。寅さんが“すたあと長田”の腕章を巻いて、菅原を舞台に映画ロケしてくれたりしたこともあった。なんといっても、神戸以外からも駆けつけてくれたボランティアの方、そして地元で、各仮設で配達してくれる人、新聞販売店の方のご好意に支えられながら、12ページのミニコミ誌が続けられた。

(和田 幹司)

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▲Vol.2 No.6('95.10.15)
(アジア秋祭り他)
▲Vol.2 No.7('95.10.29)
(寅さん長田ロケ他)


編集部の人々(当時)

▲松本佐代子さん
(初代編集長・右)
▲河合敏雅くん
(2代目編集長)
▲家田慈子さん
(副編集長・左)
▲和田幹司さん
(あきかん連載)
▲橋本吏賀さん
(イラスト担当)

(写真提供:家田 慈子さん)

 

1995年10月23日(月)に「すたあと長田」Webを開設 (Web製作担当 追記)


みんなの伝言板


 みなさんの「声」と「声」をつなぐコーナー。「ゆずります」「求めます」「集まってください」などなど、多くの人に呼びかけたいことがあったら、ぜひ連絡をください。
 (電話・FAX・郵便で「すたあと長田」までご連絡ください)

★志里池小の閉校レセプションと 卒業生全員の同窓会総会★
 4月から、志里池小は、神楽小と統合されます。
61年の歴史を閉じ、新出発となります。 卒業生、集まりましょう。

日時:3月29日(日)おひる12時〜午後3時
場所:志里池小 講堂
会費:5,000円(但し、52〜60回生は1,500円)

問い合わせは同窓会 事務局まで。
電話:078−671−7250


あきちゃんかんちゃん、街へ出る 第36回


あき:
冬らしい、きりっとした日が多いわ。なんだか、このふゆの“お星さん”はとってもきれいに感じるの。でも、もう2月。
かん:
旧正月のお祝いが、1日の日曜日にたかとり中学の体育館であったね。中国や韓国やベトナムの方たちがおおぜい、お祝いに参加してたね。
あき:
中国のおそば、あっさりしておいしかったし、まきずしもあったわ。まきずしは韓国にも日本にも、共通してあるたべものね。
かん:
その日の朝、たかとり教会にも立ちよったんだけど、たくさんの人がミサに来てたよ。ベトナムの方が多かったみたいだけど、神父さんのお話では「いつもは、もっと多いんです」とのことだった。
あき:
長田って、いろんな国のひとが住んでいるから、活気があるのね。仲良くしていきましょうよね。
かん:
ぼくは、外国で暮らしたことあるんだけど、言葉ができなかったから、市場なんかでも、よけいに親切にしてもらったよ。ありがたかったね。長田も外国の人が住みやすい町にしようよ。

※たかとり教会の中に神戸定住外国人支援センターがある。
 電話:078−731−6926

(和田 幹司)

▲2月1日の
『旧正月を祝う
つどい』の様子


この「ウィークリーニーズ」は以下の皆様の協力により配られています


◎新聞販売店様のご協力で長田区内に折り込み戸別配布
  ・神戸新聞 板宿北専売 ・毎日新聞 丸山販売
  ・毎日新聞 長田南販売 ・読売新聞 新長田IC
  ・読売新聞 丸山IC  ・読売新聞 御蔵IC

◎地元ボランティア団体・個人の協力により、
 各地区(市内広域・姫路など)の仮設住宅に配布
▽姫路「心のケア」ネットワーク:玉手・新白浜(姫路市)
▽鹿の子台ボランティア連絡会:鹿の子台第1〜8(北区)
▽有野台ボランティア:有野台第1〜3・五社・東有野台・有馬(北区)
▽神戸女子大学ボランティア活動本部:桜木町(須磨区)
▽北須磨ボランティア:西落合1〜2・名谷2(須磨区)
▽春風会・ひまわりの会:長田区内各仮設
▽兵庫商会:南落合第1〜3(須磨区)
▽阪神高齢者・障害者支援ネットワーク:西神第7(西区)

◎すたあとスタッフによる配達(仮設住宅・店舗など)
長田区内各仮設および店舗等・東白川台(須磨区)・学園東町第5(西区)・
星和台南ほか(北区)

◎コープこうべ様のご協力で店頭に据え置き
▽コープミニ ポートアイランド店
▽コープミニ 鹿の子台店


今号の制作スタッフ


編集長:     小野 幸一郎
副編集長:    吉田 信昭
編集:      駒場 正明
タイトル:    加瀬 久美
見出し・イラスト:家田慈子・瀬戸綾子・橋本吏賀
ワープロ入力:  横田ゆり・和田幹司

 「すたあと長田」は、いかなる政治・宗教団体ともつながりを持たず、また、どのような営利団体とも特別なつながりは無く、ボランティアスタッフにより全くの自主管理で運営しています。
 みなさんのお役に立てればと、情報発信活動として「ウィークリーニーズ」を無料発行しております。
 「ウィークリーニーズ」に対するご意見やご感想を、すたあと長田にお寄せ下さると嬉しく思います。これからの紙面作りに役立てたいと考えています。



numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp