「Weekly Needs」1995.4.9号(Vol.1 No.5)

Vol.1 No.5 表紙

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「長田を考える会」から「すたあと」へ


 3月3日の第1回会合以来、どのようにしてボランティア活動を長田に引き継ぐかということがテーマの「これからの長田を考える会」が、4月1日(土)をもって名称を「すたあと」と変更しました。活動内容は「考える会」と変わらず、ボランティア活動の引き継ぎ、「ウィークリーニーズ」発行を中心にしていきます。
 地方のボランティアが被災地を次々と去って行き、4月以降その数は激減します。また震災から2ヶ月近くが経過し「生活を助けるボランティア」から「自治を助けるボランティア」へとニーズが移っています。地元の人が、地元を再生させるためのボランティア活動を、地元の人で「すたあと」させる「すたあと」に、是非あなたも参加してみませんか。

ピースボート・そして「すたあと」への軌跡



すたあと活動報告



神戸を肺ガンから守りたい


 汗ばむこともある今日この頃、春のぽかぽか陽気に誘われて、防塵マスクをはずしている方を多く見かけます。あなた、今、わずらわしいマスクをしますか?それとも20年後にガンで死にますか?


「4・1こんなんうそじゃ」南駒栄コンサート報告


 4月1日(土)午後2時から、神戸各地にてチャリティーコンサート「4・1こんなんうそじゃ」が行われた。歌手の桑名正博さんが呼びかけ人で百名近くのアーティストとタレントが神戸市内の避難所等で一斉にコンサートを行った。南駒栄公園もその会場の一つ。日本人とベトナム人がテントで生活をしており、他とは異なった不思議な雰囲気のするところだ。畳8畳ほどのブルーシートの観客席と、5・6m位のテントのステージ。日本語とローマ字の手書きの歌詞カードもあり、いかにも南駒栄公園の人たちの手作りという感じがする。出演するバンドはプロ・アマ含め2組。
 さあ、午後2時、雲は多いがまずまずの天気。さあ始めよう!だが、最初のバンドが到着しない。50分程過ぎても来ない。しゃーないな、ということで残りの1バンドが演奏を始めた。観客は多くないが、みんな楽しそうにしている。バンド名は「にわか」。にわかに出来たからだそうだ。まず、2人でハーモニカのセッション。演奏するのは、ボランティアの青年とカナダの人だ。お互いがお互いの音と重なり合って調和したリズム感が心地よい。さらにエレキギターが加わる。さらに強調されたリズム。観客の子供達はみんな手に棒を持ち、バケツや鍋蓋をたたき出す。大人もとても楽しそう。
 午後3時、「ヤングマン」がラジオから流れだした。全ての会場が同じ歌で結ばれる瞬間だ。ラジオの向こうは大歓声。南駒栄公園でも大騒ぎ。みんなで「Y・M・C・A」と手を振り出す。ステージ反対側のテントの屋根の上でも子供達が踊っている。そして、ギターとサックスのセッション。さっきとはうって変わって落ち着いた感じに。掛かっていた雲も晴れ、とてもいい天気。ギターは静かに音を刻み、サックスはそれに動きを連ねる。幻想的なメロディーがあたりを包む。それが南駒栄公園の独特な雰囲気にとけ込んで、時が止まったよう。オリジナル曲も含め、一通り聞かせてくれた。最後は「見上げてごらん夜の星よ」「上を向いて歩こう」の合唱で締めくくられた。
 バンドが来なかったり、観客も決して多くはなかったが、演奏する人も聞く人も、みんなでコンサートを作っていたんだと、強く感じた。元気を届ける音楽の力は、どうやら南駒栄公園の人々に伝わったようだ。



numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp