==「長田でボランティアする。ええこっちゃ。」が合言葉。==
《人生ゲーム関西版》が人気をよんでいる。就職や結婚や転居や人生の転機があったりする《すごろくゲーム》である。地域カードがあって、自分の住むところも決める。京阪神などで18地域で、神戸近辺は芦屋、灘、北野町、明石、そして、わが長田が選ばれている。カードには、『ケミカルシューズで有名な神戸の下町。牛すじ、ソバ、ご飯をいっしょに炒めた《すじそばめし》は絶品。震災にめげずガンバレ』と書いてくれている。そばめしが好物のものは、認められてうれしくなってくる。
このゲームは途中ギャンブルもできるようになっており、ちいさな紙のおさつであるが、5億や10億があたったりする。血中に関西人の気質がこい地域は、このギャンブルが有利で、わが長田は濃度が最高の5度である。高い地域は、岸和田、河内、船場などであり、特色のある場所にしてくれている。
有名になった長田とすなおに喜びたい。震災後4年目に入り、なおも、努力やまけん気のいるわが町ではあるが、全国のかたが、応援と好意の気持でみてくれている町なのある。このすごろくに『ガンバッテヤ神戸!長田でボランティアする。ええこっちゃ。』という欄もある。ボランティアもいっしょに生活する町でもある。
(和田 幹司)
あきちにも さらちにも ながたには わかものが ぎょうさん 来てくれているよ プレハブをたて、花をうえる いまも ポツンとした |
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▲ボランティア団体の 事務所が集まる御蔵通 5丁目のプレハブ群 |
厳しい状況のなかで住宅再建を成された方、とりあえずプレハブやコンテナハウスの「仮設」を自力で建てて乗り切られた方、今もまだ「仮設住宅」などで避難生活をされている方、「元の地」には無理だったけれど長田には戻れた方、そして戻られなかった方……。
長田区は震災前と比べると人口が約4万人減ったそうです。震災前が約12万人だとすると、実に三分の一の人たちが、長田を去った・去らざるをえなかったことになります。商店主の方々のため息が聞こえそうです。
『復旧』とは、「もとどおりになる」こと。また、「もとの状態にする」こと。
『復興』とは、「いったん衰えた物事が再び盛んになる」こと。また、「再び盛んにする」こと。辞書にはそう書いてあります。
あの日から3年たった長田のまちは、果たして復旧の途にあるのでしょうか、それとも復興の途にあるのでしょうか?
震災後の「まちづくり」とは、実は、そこに住居を建てるための条件整備であったといえます。そしてまた、一人でも多くの人がまちに戻れるための模索であったともいえます。そしてそれは非常に地道な活動です。
更地が広がるまちの中で、それこそ昼夜を問わず、私心を抑え奔走した方々が、実はこの長田には大勢いらっしゃります。もちろんそのほとんどの方は自らも被災されておられるわけです。
そんな方々の努力は、一体どれだけ報われたといえるでしょう?
結局、人間あってのまちです。人間のいないまちなど滑稽です。
震災前のまちにはおそらく色んな人たちが住んでいらっしゃったと思います。しかし、震災後のまちには限られた人しか戻れないのが実状です。そして残念なことに、時間の経過と共に戻る意欲を失った人たちがいるのも実状です。
いま、長田のまちは「復旧」と「復興」の狭間の穴にはまりこんでいるのかもしれません。
震災から4年目、まだまだ多くの重く厳しい課題を背負いながら、多くの方々がまちのために奔走されることでしょう。そしてそれらの方々の思いが、「これからのまち」を照らしていくのでしょう。
「まちをつくる」とは、そこで生きていく人たちの、夢を広げることなんですね。
(小野 幸一郎)
※今回のW.N.47号は、1月22日発行を予定しておりましたが、大幅に遅れたことをお詫び申し上げます。(W.N.編集部) |
2tトラックに簡易印刷機を積み、長田区役所前の新湊川公園に到着したのは、震災からちょうど一週間目の1月24日でした。翌25日から約2ヶ月に渡りほとんど毎日発行し続けた《生活情報かわら版》、それがウィークリーニーズの前身にあたる『デイリーニーズ』です。
連日洪水のごとく流されていた震災の報道。しかし、当の被災された方々には情報が行き渡っているのだろうか? 水も電気もガスも止まり、生活環境が破壊されている時にこそ、何がどこにあるのかを伝える《かわら版》が必要なのでは……そんな東京の印刷屋さんの発想と『ピースボート』の機動力が一つになって実現しました。
最盛時には1万部以上発行し、『ピースボート神戸本部』では連日100名以上のボランティアが活動していました。
ライフラインの復旧と共にピースボートも救援活動から撤退することになり、地元ボランティアが活動を引き継ぐ形で「すたあと」がたちあげられたのでした。そして「デイリー(日刊)」は「ウィークリー(週刊)」となるのです。
(元デイリーニーズ編集員:小野 幸一郎)
▲1995年1月28日に配布された 「デイリーニーズ」第3号 |
※ピースボート神戸本部の人々(1995年4月:神戸大・舟橋氏の報告)
みなさんの「声」と「声」をつなぐコーナー。「ゆずります」「求めます」「集まってください」などなど、多くの人に呼びかけたいことがあったら、ぜひ連絡をください。 (電話・FAX・郵便で「すたあと長田」までご連絡ください)
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《すたあと長田 ウィークリーニーズ編集部より》
「すたあと長田」は、いかなる政治・宗教団体ともつながりを持たず、また、どのような営利団体とも特別なつながりは無く、ボランティアスタッフにより全くの自主管理で運営しています。みなさんのお役に立てればと、情報発信活動として「ウィークリーニーズ」を無料発行しております。