「Weekly Needs」1995.6.18号(Vol.1 No.15)
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パラソルの花開く
久二塚にパラール “オープン”
- 大変お待たせ致しました
- 「皆々様の優しさ、暖かさ、はげましありがとうございました。いろいろな方々に助けられてここまで来ることが出来ました。力を合わせてがんばります。」というメッセージは、パラール・テント村の中にあるランジェリー・ショップ『ななみ』から。6月10日(土)、大正筋商店街の横の焼け跡に、82店舗が集合する、仮設店舗での『復興元気村・パラール』がオープンした。
- ぎょうさん店がある
- 「市場が開いたから、今、自転車で来てん。どこに何があるのか分からんから、一度ぐるっと回ってみるわ」というくらい、店が多い。シューズ・家庭用品・寝具・お茶・お菓子・カメラ・婦人服・洋傘・ドラッグ・履き物・家具・野菜・肉・魚などのお店が入るテント村は空調もきいている。 店も多いが、人も多い。嬉しいことだ。駐車場を利用した「まちかどステージ」で、歌い終えた地元演歌歌手の原田 有望さんが和服姿で、お店の人達を励ましていた。「今は北区にいますが、長田に戻ってきます」と若い彼女は約束してくれた。
- 美容室は満員
- 第一勧銀と神戸デパートの空ビルが目印。JR・バス・地下鉄の新長田駅など足の便も良い。土地カンを得るため、パラールをぐいっと一周回ってみるのも良い。コインランドリー、コーヒー店、パーマハウス、医院、クリーニング、飲食店、カラオケ、米穀店などのプレハブ店舗が東館としてある。買い物は女性の活躍の場だ。パラール付近の店も人が集まり繁盛しだしたようである。髪を整える女性で美容院もいっぱいだった。
- 好物の店をまわる
- 夕方で、おなかがすいていたので、自分の好きなものが目に付いた。藤原商店の韓国本場キムチと、アツアツのチヂミ。西村川魚店のウナギ、めがねのおやっさんがいかにも職人さんだ。地のトマトが山盛りの牧本商店、手作り総菜の佐間商店、釣り好きおじさんの店、ひがし浦では淡路産のちりめんがやわらかそうだった。だいこんおろしでしょうゆかけたらうまいやろなあ。
- 大正筋のなつかしさ
- 学生時代、スキーに行くとき、オシャレで、ベレー帽を買ったことがある。今井帽子店だったと思ったが、おやじさんは、ドスキンのベレーを勧めてくれた。礼服にも使う黒の生地でできたベレーでスキーを得意げに楽しんだものである。これらの店が復興に向けて頑張ってくれているのは頼もしい限りだ。
- 柏もちは売り切れた
- お菓子の杵正の店頭には、片眼の入った『魔除けのダルマ』が置いてあった。復興は我々も神仏に祈る気持ちである。おいしそうな、おはぎの横の柏もちが在庫ゼロになっていたのは、幸先の良い『すたあと』だ。「ゴメンな、おばさん、これまでこれにかかりきりやってん。また、店回らしてもらうわ。」とお得意さんに話しかける。このお店の人の声も、服部珈琲店で聞いた。これまでのご苦労が実ってもらいたいものだ。
- 必ずやります長田の再生
- 折しも市会・県会議員選挙の最終日、街に出て呼びかける候補者も、そのポスターも復興一色だ。どの人も、「わが町長田の復興に力を入れます」「本気で復興がんばります」と言っている。その声がパラールにもこだました。パラールの付近には、まだ焼けた炎の跡のあるビルや、崩れてしまった家屋が多く残り、解体のクレーン車もガレキの処理をしている。5月下旬の菅原市場のオープン、そして久二塚のパラールのオープン。町々に勢いが出てきたのが確かに伝わる。復興は長田の全員が主役だ。必ずやりとげよう!という思いで一杯だ。
- 花咲けパラール
- 花くらぶ・花本花店。その名も、紛れもなく花屋さんだ。記念に『エキザカム』という、小さな紫の花が咲く鉢植えを買い求める。すると、おまけに朝顔がついてきた。この日、岐阜県から長田の街に花を植えに来てくれた人達もいた。
花咲けパラール。
花咲けよ、我が長田。
(幹)
☆パラールは水曜日が定休日です。ただし、6月中は無休!
営業時間 午前10時〜午後8時
地球大好き!神戸大好き! 神戸元気復興祭
すたあと本部から自転車で30分。おもいっきりペダルをこいだ、そうして着いたのがメリケンパークだ。そこで神戸元気復興祭をしているのを聞いて取材and遊びに行きました。中に入ると、すでに始まっていました。中にはたくさんの人達がにぎわっていました。
私が着いてすぐに、ノド自慢大会がありました。希望者が何人か舞台でカラオケを歌っていました。すごく歌のうまい人ばかりでした。2歳ぐらいの子供まで一生懸命歌っていました。
その次に見たものは、バスケットボールのゲームでした。そこのまわりにいる子供たちが2列に並んで、一人ずつフリースローをうって、勝った人が賞品をもらえるというゲームでした。みんな賞品めざして、とても必死にがんばっていました。
それが終わると、それぞれの県からきている人達の県名物をテントで売っているところに、私も何軒かいきました。そのなかで私がおどろいたのが、カツオを何匹かそのままもってきて、その場でタタキにして売っていました。それには私もとてもびっくりしました。
ほかには、作った竜を持ってきて、ししまいのように、8人ぐらいの大人の人たちがおどっていました。バクチクの音を響かせて、とても見てて、ビクビクしていました。
そのほか、小さい子供たちが、ビニールプールの中のうなぎを取ろうと必死に頑張っている光景も見ました。「地球大好き」というタイトルにあわせて絵をかいたりもしていました。大きなグランドでは、ミニサッカーゲームをしていて私も少しやってみたいと思いました。
いろいろなことがたくさんあっておとぎの国にいるみたいでした。いろんなゲームをして楽しんでいる小さい子たちを見て私も小さい頃に戻った気がしました。子供だけの劇は、大人までもが楽しんでいました。こういうイベントはもっともっと増やしてほしいと、見ていて思いました。
(MUKU)
長田のええ話
- その1 子供たちと生きる
- 阪神大震災被災地の神戸に、カウンセラーの立場から、子どもたちと遊んだり、お年寄りの方と話しながら、『その後の心の問題』を知りたいと思い訪れました。「『安心感』は戻ってきたのだろうか」と気掛かりでした。偶然、被災者の方々避難場所となっている御蔵小学校での『小さな話』二題。
乾ききったプランターの土盛。思わず、洗面器をかりて水をやりました。するとシオレかけていた真赤な花が、翌日、凛として咲いている。病みつきになり、水をやり始める。やがてこの『長田』を去る日を想い、いつも活動のあい間に遊んでいた友希ちゃんに「おいちゃんな、もうすぐ熊本に帰るんや、晴れた日には水かけてや!」「うん、ええよ!」『花とおじちゃん』の気分である。
さらに同じ学校で、朝の活動をおえて、何気なく校庭に視線が流れた時『グッバイ・マイラヴ』のなつかしい歌声。月曜日、午前8時30分頃。先生と生徒たちがメロディを響きわたらせながら一体となった瞬間、『ほっと』すると同時に、煌めくような想いにつつまれた。その感動的なシーンは、子どもって、いいな、と呟くには充分だった。
ぼくは、子どもが好きです。わが子も他人様の子も区別なく。保育園の園長を経験して以来、もしかしたら『子どもたちにかかわる』仕事が天職ではないかと思うようになった。『3歳児頃より人格者である』と信じて接している。そのあたりから、子どもたちに信頼されるようになり、呼応するように、ぼくは子どもたちが好きになった。今、子どもたちと共に生きている。
鬼海 正さん:プロフィール
熊本学園大学社会福祉学部研究生「介護福祉原論」
カウンセラー・ソーシャルワーカー
- その2 知っとった?動き出したであの時計
- 1月17日5時46分ー交差点にあるでっかい時計は、その時刻をさしたままピタリと止まってしまった。高速長田駅と場所をほぼ同じくするトヨタのショールーム。外壁に取り付けられた大きな時計には誰もがお世話になり、親しんできた。「ずっとこのままにしとくんかなあ。」と、気にしていた人も多いのでは?
6月10日正午前、この日兵庫トヨタ自動車株式会社の神戸営業所ショールーム前でセレモニーが開かれた。出席者は主に兵庫トヨタの関係者と長田の副区長。挨拶の後1分間の黙祷が行われ、12時ちょうどになった時、本多副区長がボタンを押しました。すると・・・動いたでー!!「時計を動かせてうれしい。やれやれやなあ。」と、兵庫トヨタの小笹所長も安堵のためいきをつく。
やっと、あの時計は動き出した。刻一刻、長田の街の復興と共に。ところで、6月10日って何の日かご存じですか?時の記念日なんですよ。
長田のEatころみっけ! 〜お好み焼き「ふる里」の巻〜
- 営業時間
- 11時〜22時
- 定休日
- 火曜日(祭日営業 翌日代休)
- 店長
- 宮田 硅次さん
- でんわ
- 612-6410
- メニュー
- のり巻600円、玉子モダン焼き750円などマスターのオリジナル・メニューを初め、オーソドックスなメニューも多くあります。餅・じゃがいもやキムチなどトッピングも150円〜250円で出来ます。
「いらっしゃい」と明るい威勢のいい声で迎えてくれた。早速カウンターに座り、マスターおすすめの玉子モダン焼きを頼む。手際良く焼かれていくのをジーッと見つめる。本当に早く焼き上がる。そして美味しい。素材は、天然のものしか使わず、ソースも4種類を使いわけ、その中には、オリジナル・ソースも含まれる。「マヨネーズは、使わない。」と言われるので、「どうしてですか?」という私達の素朴な質問に「ダシや素材の味が、消えてしまうからね。」との事。さすがに、お好み焼き屋さん一筋の職人さんだな〜と納得させられました。 アットホームな店作りを目指しているというマスター。奥さんと二人で営んでいるお店は、ホノボノとした雰囲気でした。
店長から皆様へ
『とにかく、まず自分が動かなければ。誰かがしてくれるのを待っていては、何も前進しない。お互い大変ですが、頑張っていきましょう。』
(阿部、古賀、田村)
長田に花を 心に花を
6月10日(土)、長田に岐阜県立加茂農林高校から生徒40人と先生7人、PTA9人の方々が、一千株の色とりどりの花を持って神戸に来ました。授業で育てた花や、集めた募金で買った花を、被災者の方々の気持ちが少しでもやわらげばという願いを込めて、兵庫高校、長田保育所、真野公園などに植えました。
- 私達にできること
- 「今までにも震災の募金を集めてはいたが、他にも自分たちにできることはないかと考えていた。4月始めに被災地の様子を見に行き、農林高校であることを活かしてできる、今回の活動を思いついた。」と話してくれたのは、活動の指揮をテキパキととっていた農業クラブの会長である足立伸幸さんでした。
- 花に目を向ける心
- 花を植えている時には、地元民も一緒になって、花をプランターに植え替えたり、水をあげたり。「これどうやって育てんの?」という質問も。「花に目を向けてこれから育てていきたい、という気持ちが伝わってきて嬉しい。」と、生徒会長の安江麻衣子さん。花植えが終わった後、兵庫高校周辺の道や公園の掃除をしてくれました。震災の時から手入れがされてなさそうなところを、とてもきれいにしてくれました。その最中にも「テレビや新聞などのマス・メディアではわからないことを自分の目で見、話を直接聞いたり、体で体験することができた。今後も自分たちができることを続けていきたいので、地元の人も頑張って下さい」と言う声をいくつも聞くことができました。
- 花エイドしよう
- 「花エイド」のエイドは、援助という意味。「花エイド」は、花によって心を和ませたり、明るさを取り戻そうという試みです。震災によって受けた被害は、何も命や家や仕事などだけではなく、私達の心の中にも及んでいます。気のやすまる暇もなく、精神的に無理をして一生懸命だった間の疲労を、花を育てたり、眺めたりすることで癒せれば良いと感じました。
(徳永 陽子)
numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp