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突然の作品(小学館「孔雀王ライジング」、リイド社「孔雀王戦国転生」)休載への、お詫びと近況のご報告

いやぁ…、参りました。またまた強制入院となり、出版社さんとその担当編集さん、ファンの皆様には、多大なご迷惑とご心配をお掛けし、今更、申し訳すら立たぬ作者です。すみませんです…。

これで漫画家生活三十二年間で、病院送りになったのは六回目ですが、今回の入院が一番ヤバかったです。この所の仕事の忙しさだけで無く、今年のワケの解らない天候異変のせいで、体調までもおかしくなり、毎度お世話になっている、J天堂医院の循環器内科(心臓)の主治医、I籐先生に「出来るだけ早く消化器内科の専門医にも診てもらいましょう!」と、ご紹介を受けたのが、肝臓の専門医Y科先生。直ぐさまゴールデンウイーク明け(その間救急以外は病院もお休み)の診察予約を取り仕事に戻ったのですが、戦国の原稿が終わる頃に、それは起こりました。

担当のNさんが「先生、これはマズいっすよ!」。…確かにコンビニ売りの漫画雑誌じゃマズい表現が、気付かず何ヶ所も…。とりあえず締め切りもギリだったので、最低限の修正でリイドさんに原稿を渡し、引き続きライジングの単行本の装丁。しかしこの時になり、さすがに私自身も体調の異変に気付きました。「捨覚の顔がどーしても思い出せない。」それどころか表紙原稿のペン入れも、パソコンでのセリフ直しも何をどうしていいのかまったく解らない有様…。さすがにここまでくると、社員達も気付き「先生の頭が変だ!!」ということで、J天堂医院の救急外来に担ぎ込まれ応急処置。そして一旦仕事を中断し、肝臓の専門家Y先生に正式に診察して頂いた所、 「荻野さん、今日からしばらくはウチに帰れないから。入院道具は奥さんに持ってきてもらってね。」と言われ、その日その場で入院となり、 以後一ヶ月間ずっとJ天堂医院の病棟で過ごしました。

病名は聞いたことすら無いものでした。「急性の肝性脳症」。体内で発生したアンモニアを、肝臓と腎臓が処理出来ず、それが静脈で脳に運ばれ、 脳が急性アンモニア中毒となり、行動不能、意識不明となりブッ倒れる。要は、心不全と肝不全と腎不全が同時に起こり、それこそ「死ななかったのが超ラッキー!な状態で入院出来た」みたいで、おまけにあとちょっと手遅れだと命は助かっても、肝硬変と、人工透析確実な超ヤバイ状態での入院だったそうです 。さすが最初の入院から二十余年間、二ヶ月に一回の検診を欠かさなかったJ天堂医院参りのおかげでした。ホント心から感謝しております、J天堂医院のお医者様方!! 看護師様方々!!!

とりあえず死の淵からは脱したものの、入院中はただひたすら退屈で、抗生剤と栄養剤の点滴に、アンモニア排泄のための利尿と下剤の服用による、 一日十回以上のトイレ通いの日々。腹痛と脱力感のおかげで活字中毒の私が読めた本がただの二冊。「月刊タブー」と早川文庫の「マネーの歴史」のみ…。 月刊タブーは相変わらず下らないヘイト話ばかりでそこそこ面白いが、「マネーの歴史」はまじめな論文なのに、数千年間変わらぬ人間の馬鹿さ加減が笑えました。 道理でノーベル経済学賞が無いワケで(正式にはノーベル銀行賞)、「経済は理屈では無く、欲や恐怖などの感情に動かされるもの」で、「借金だらけで悩んでるフツーの人が、教科書とジャンプ、どちらを面白がるのか?」と同じ理屈です。トランプ、安倍、プーチン、ドゥテルテ、金正恩…、 まるで三流劇画の親玉みたいな連中が、熱狂的に指示される理由もこれです。

…とは言っても、目下の自分の最大の問題は、世界経済の先行きより、まずは「現在の二本の連載をどうするか?」です。ようやく一週間前に退院出来た後は、 小学館K氏とリイド社N氏と三人で話し合った結果、大変有り難いことに両出版とも、「荻野さんの体力が戻るまで待ちます。中途半端に終っても、 荻野さんにとっても、両社にとっても何らメリットが無いのが、昨今の出版事情ですから。」…というとても有りがたい寛容なお言葉。 「解りました!とにかくどっちの作品も作家の責任として、キッチリ読者の皆様がご納得いくお話で終わらせて頂きます!!」

ということで、九月頃から両作品共、二度と中断が無く終わるよう、スケジュール調整をしております。再開はもうしばらくお待ち下さい。

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