荻野真作品の利用について
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拳銃神
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- 拳銃神
- 第一巻
- 初版:2000/12/16発行
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- 拳銃神
- 第二巻
- 初版:2001/03/24発行
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- 拳銃神
- 第三巻
- 初版:2001/06/24発行
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- 拳銃神
- 第四巻
- 初版:2001/09/24発行
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- 拳銃神
- 第五巻
- 初版:2001/12/15発行
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- 拳銃神
- 第六巻
- 初版:2002/03/24発行
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- 拳銃神
- 第七巻
- 初版:2002/06/24発行
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- 拳銃神
- 第八巻
- 初版:2003/02/24発行
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- 拳銃神
- 第九巻
- 初版:2003/06/24発行
ウチの息子に言わせると、この「拳銃神」が一番好きな作品だそうです。息子の友達たちも同じ反応で、「ゼヒ続きが読みたい」と言ってたそうです。ま、言われてみればその通りで、この作品を書いた動機も、私が中学生時代唯一ハマった少年漫画「荒野の少年イサム」へのオマージュだからなのです。
イサムが流行った当時は、TVではマカロニウエスタンの全盛期で、「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」「荒野の1ドル銀貨」が大人気で、ハリウッドの正当西部劇「シェーン」「OK牧場の決斗」「リオ・ブラボー」「荒野の七人」も次々にTV放映され、私自身も親戚のお兄ちゃんからもらったコルト・ピースメーカーで早撃ちの練習をしたり、お兄ちゃんのウインチェスターをいじりまくっておりました。
そんな懐かしいガンマン物語を書きたくて、ガンマニアの小峰氏やYJ誌のU君の多大なご協力を得て始めた連載でしたが、この連載の一年前に発病した心臓病が連載と共に悪化し、二回の入院・手術による連載中断や政府の銃規制強化のあおりをうけて、やむなく中断せざるを得ませんでした。
私自身の病気は遺伝的な体質らしく、読者の方々やYJ誌には大変ご迷惑をおかけしたことを申し訳なく思っております。しかし政府の銃規制のやり方には、私からもちょっと「?」と「不満」はあります。
連載当時、暴対法で食えなくなった暴力団が中国製のコピー銃を大安売りし銃犯罪が急増する中、警察官の銃使用の条件を変えるのに手間取った政府が、「それなら見た目、銃がこの国に無いことにしちゃえ」と、漫画やTVドラマでの銃使用の場面を自主規制という命令で禁止にしちゃったのがそもそもの原因。
おかげでこの漫画に来てたVシネマのオファーも立ち消え。YJ誌も単行本の増刷すらかけられず、小峰サンの話ではTVや映画業界では、銃アクションの技術者が大量に解雇されたそうです。そのため以後の映像業界ではアクション映画そのものがヘタになり、国内外の市場も急激に縮小。徴兵制のある韓国映画の迫力に完全な敗北状態です。
銃は人殺しのためだけの道具です。この世から無くなってしまえばいいものではありますが、少年時代に見た西部劇にはそれだけじゃない「何か!」が、銃には込められていました。それが当時の私の心を揺さぶり、息子の代になっても「ソレを受け取る心」は、あまり変わっていないように思えます。
「拳銃神」の主人公「的場イサム」は拳銃嫌いの「使えない警察官」です。しかしイザという時には躊躇なく人を殺せる「ガンマン」です。少なくとも私が見た西部劇のガンマンは皆、この「的場イサム」タイプであった記憶しております。
今回、再びこの「拳銃神」を多くの人々に見ていただける機会を下さったeBookJapanさんと、買って下さった読者の方々への感謝と共に、これをきっかけに昔の西部劇(ウエスタン映画)を再び御覧頂くきっかけとなれば、大変ありがたいことだと思っています。(荻野真・2010/12/03)