荻野真作品の利用について
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孔雀王-退魔聖伝-
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- 孔雀王-退魔聖伝-
- 第一巻『摩利支天』
- 初版:1991/02/25発行
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- 孔雀王-退魔聖伝-
- 第二巻『弁慶奇伝』
- 初版:1991/06/25発行
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- 孔雀王-退魔聖伝-
- 第三巻『黒き箱船』
- 初版:1991/10/23発行
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- 孔雀王-退魔聖伝-
- 第四巻『吸血鬼幻想』
- 初版:1992/04/22発行
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- 孔雀王-退魔聖伝-
- 第五巻『吸血鬼幻想2』
- 初版:1992/05/24発行
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- 孔雀王-退魔聖伝-
- 第六巻『魔眼』
- 初版:1992/10/24発行
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- 孔雀王-退魔聖伝-
- 第七巻『鬼(モノ)』
- 初版:1993/01/24発行
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- 孔雀王-退魔聖伝-
- 第八巻『天津神』
- 初版:1993/04/24発行
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- 孔雀王-退魔聖伝-
- 第九巻『天の岩戸』
- 初版:1993/07/24発行
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- 孔雀王-退魔聖伝-
- 第十巻『遠野』
- 初版:1993/10/24発行
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- 孔雀王-退魔聖伝-
- 第十一巻『未収録傑作選』
- 初版:1993/12/15発行
当時ピークを過ぎ下がり始めたヤンジャンの、発行部数減に歯止めをかけるべく再開した孔雀王の続編です。
…とは言うものの北斗の拳と同じで、かっちりエンドマークを付けてしまった作品の続編はしんどいもので、この作品ではエピソードごとにきっちりまとまったラストをつけるため、資料調べは前作以上に大変でした。
そのため作品のすべてを一人でつくる私のやり方では、どうあがいても休み無しの週間ペースの造りは不可能となり、ジャンプ風対決バトル的展開にせざるをえませんでした。しかしそのために始めた「八百万神編」でしたが、調べ始めると私の悪いクセが出て、もっと日本神話を知りたいとの欲求が強くなり、次の夜叉鴉につながる長い休載に入ってしまいました。孔雀王ファンの皆さん、本当に申しワケない…。
しかし申しワケ無いとは思いつつも、どこが申しワケないのかイマイチぴんとこないのも事実です。そもそも漫画の連載とはどこを終わりと考えていいのか誰も何も言ってはくれません。退魔聖伝の途中でどうしようもなく疑惑が深まり、当時の編集長に聞いたところ、「正直に言うと、お前がぶっ倒れて入院しない限り終わりは無い。」と言われました。そりゃなんぼなんでもムチャだと言うと、「だったら読者に飽きられてお前の商品価値が無くなった時。」と言われ、さらに突っ込むと、「おれがお前を切りたくなった時。だからお前には勝手に休む権利も、好きなことを書く権利も無い。それが昔からもこれからも漫画界の常識だ。」と、言われました。
では実際辞めたらどうなるのかと聞くと、「おれが業界に回状を出す。お前はこんなヤツだからもう誰も使うなってな。」
そしてその後妙に優しく、「なあ、グチャグチャ考えないでおれ達が担ぐ御輿に乗れよ。話なんかおれ達がつくるし、絵もお前そっくりに書けるヤツを捜してやるから。この世界それ以外で成功したヤツは一人もいないぞ。」
結局私はその忠告(脅迫か?)が守れませんでした。それゆえかこれ以後の作品もそれなりに売れましたが、大ヒットと大騒ぎされることもありませんでした。ある時は飲み屋の女の子に「この裏切り者!」と怒られました。理由を聞くと、「まるで私の期待するモノを書かない。」と言われ、これを読んで参考にしろと教えられたのが「静かなるドン」でした。しかしそれでわかったことは、「やっぱり守らなくてもいいや。」でした。こんな私の作品ですが今まで読んで下さった方々への感謝と共に、文句を言いつつやっぱり立ち読みででもチェックして、しっかりネットで文句を言い続けている方々にもやっぱり感謝です。
気にも留まらなくなった時こそが、その作家の本当の最後だと私自身がそう思っています。(荻野真・2010/9/3)