いつの頃か、まだ若いといえた頃、ラジオで朗読された作品が、しっとりとした、それでいてリズム感のある物語であるのに心を奪われた。それが「天草の雅歌」という辻邦生の作品であることを知って、それ以来、氏の小説やエッセイを楽しませていただくこととなった。
はじめは、小説をよく読んだが、氏の晩年から死後にはエッセイが出版される頻度が高まり、それらを読む機会が増えた。小説を読んだ時期には、読み散らして何も書き記すことなく過ごしたが、「辻邦生が見た20世紀末」を読んで、氏の全く違った一面を見た思いがして、何となく読後感を書いてみたくなって、主にアマゾン・コムのカスタマーレビューを利用させてもらうことにした。以下のレビューはそうして書いてきた氏と氏に関係する本の読後感である。
そんなわけで、かんじんの小説に関するレビューはほとんどない。そこで、それらを含め若い頃に読んで記憶に残っている作品の名前と、主要作品については簡単なメモを、「過去に読んだ主な作品」として冒頭に記した:
過去に読んだ主な作品 リストへ
薔薇の沈黙−リルケ論の試み 筑摩書房 レビューへ
風雅集 世界文化社 レビューへ
辻邦生が見た20世紀末 信濃毎日新聞社 レビューへ
微光の道 新潮社 レビューへ
海峡の霧 新潮社 レビューへ
銀杏散りやまず 新潮文庫 レビューへ
辻邦生のために 辻佐保子(著) 新潮社 レビューへ
言葉の箱−小説を書くということ メタローグ レビュー
のちの思いに 日本経済新聞社 レビューへ
「たえず書く人」辻邦生と暮らして 辻佐保子(著) レビューへ
灰色の石に坐りて―辻邦生対談集 中央公論社 レビューへ
モンマルトル日記 (集英社文庫) レビューへ
春の戴冠 新潮社 レビューへ
小説への序章―神々の死の後に レビューへ
パリの手記<1>−海そして変容 レビューへ
パリの手記<2>−城そして象徴 レビューへ
パリの手記<3>−街そして形象 レビュー
パリの手記<4>−岬そして啓示 レビュー
パリの手記<5>−空そして永遠 レビュー
詩と永遠 レビューへ
フーシェ革命暦 レビューへ
嵯峨野明月記 レビューへ
樹の声 海の声 レビューへ
雲の宴 レビューへ
森有正ー感覚のめざすもの レビューへ
光の大地 レビューへ
江戸切絵図貼交屏風 レビューへ