銀杏散りやまず 辻邦生(著) 新潮社(1993/07)
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辻邦生、父親を語る、では収まらないのです 2001/7/26
親父が亡くなった、という人はこの本を読もう、と薦めたい。そうすれば、ある人は身につまされるかも知れないし、ある人は、故郷を改めて想うかも知れないし、他の人は、歴史の中で自分はどう生きるのかと思いをめぐらし、そのうちの一人くらいは今日から日記をつけようかと思ったりするかもしれない。そして、父親が健在な人や自分が父親である人もこの本をよもう、と薦めたい。つまり、読み終わって気がついたら、この本を、(ここが大切なのだが)まったく父子論らしくない父子論、として読んでしまっていたのです。辻邦生、父親を語る、では収まらないのです。