% ゼータ関数

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\begin{document}

\noindent\textbf{ゼータ関数}

$\zeta$(ゼータ)関数はリーマン予想の核をなすものである。関数自体は
\begin{quote}
$\zeta(s) = \displaystyle \frac{1}{1^s}+\frac{1}{2^s}+\frac{1}{3^s}+\frac{1}{4^s}+\frac{1}{5^s}+\dots+\frac{1}{n^s}+\cdots$ \quad(※)
\end{quote}
である。$s = 1$のときは調和級数と呼ばれ、$\infty$に発散する。$s = 2$のときは、なんと$\displaystyle \frac{\pi^2}{6}$に収束する。では、他の$s$はどうなのか? $s$が偶数の場合は、オイラーによって正確な計算がなされている。$s = 4$の場合が$\displaystyle \frac{\pi^4}{90}$、$s = 6$の場合が$\displaystyle \frac{\pi^6}{945}$などである。しかし、$s$が奇数の場合は簡単ではない。素人目には大差ないようなことに見えても、きちんと値が求められる奇数の$s$はほとんどない。こんな有様なのに、$s$を複素数の範囲まで拡張したらどうなのか、というのがリーマンの$\zeta$関数なのである。

ただし、リーマンが$\zeta$関数を考えたいきさつは、別の方面からだったと伝えられている。当初の目的は、ある数までに素数がいくつあるかを調べることだったらしい。$100$までに素数は$25$個登場するが、$100$倍先の$10000$まで調べても素数は$25$個の$100$倍あるわけではない。$50$倍弱の$1229$個である。リーマン以前には、ガウスがこのような素数の分布を研究して一定の成果をあげている。リーマンも同じ研究に手を染めたところ、$\zeta$関数を用いることになったということだ。

ここで、$\zeta$関数のことを詳細に述べることはできない。私自身がよく知らないからだが、仮に熟知していてもとても数ページのレポートで述べられるものじゃないからだ。だから、$\zeta$関数が簡単な関数ではないことをちょっとだけ書くことにしよう。

$\zeta$関数は(※)の形であるが、このような式でありながら$s = -2^k$が零点である。第一に、ここが取っ付きにくい。しかし、$\zeta(1-s)$と$\zeta(s)$との間に成り立つ関係式をながめればそれは自明のこととなる。なぜかといえば、その関係式は
\begin{quote}
$\displaystyle \zeta(1-s) = \zeta(s)\times(何たらかんたら)\times\cos\left(\frac{\pi}{2}s\right)$
\end{quote}
だからだ。$s = 3$, $5$, $7$, $\dots$を考えれば、$\zeta(-2) = \zeta(-4) = \zeta(-6) = \dots = 0$が見えてくる(この関係式だけ見れば、$s = 1$, $-1$, $-3$, $\dots$を考えても$\zeta(1-s)$は$0$だろうと思えるが、実際には$0$ではない)。次に難しいのは、$s$が複素数である点だろう。複素関数は実数関数より扱いづらい。さらに、そのなかで零点になる$s$が$\displaystyle \frac{1}{2}+bi$の形に限られ、それが無数に存在するであろうという点だ。零点が無数にある関数の代表は実は身近にある。$\sin x$である。グラフに描けば、波打つ線が無限回$x$軸と交わる。すなわち零点が無数にある。ただし、それらは規則的に現れるので掌握はしやすい。$\zeta(s)$は不定期に零点が現れ、しかも実数部だけは$\displaystyle \frac{1}{2}$という性質がある。コンピュータによるシミュレーションでは、そのとおりの結果が出ているのだが、所詮コンピュータで調査できる値は限られている。

研究は着実に進んでいるらしいが、素人にはよく分からないことが多すぎるものだ。リーマン予想が証明されれば、それに付随するあまたのことが分かるらしい。全面解決はいつの日だろう。

\end{document}