% 数列の一般項
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\markright{tmt's math page}
\def\baselinestretch{1.33}
\begin{document}
\noindent\textbf{数列の一般項}
これはもうイジワルと呼ぶ以外のなにものでもない。何の話かというと
\begin{quote}
数列$1$, $4$, $9$, $16$, $25$, $\dots$の一般項$a_n$を求めよ。 \quad(※)
\end{quote}
の解についてである。これは誰がどう考えたって一般項は$a_n = n^2$だ。しかし、この問いかけでは解の特定はできないと主張する者がいる。なぜなら
\begin{quote}
$a_n = (n-1)(n-2)(n-3)(n-4)(n-5)+n^2$
\end{quote}
も立派に解となるからだ。言われてみればそのとおりで、これに対する反論はしにくい。かりに$25$の次は$36$だと言っても、それなら
\begin{quote}
$a_n = (n-1)(n-2)(n-3)(n-4)(n-5)(n-6)+n^2$
\end{quote}
と言い返されるのがオチである。
もっとも、こんな主張をする人だって真剣に反論しているのではない。出題者は解答者が迷うような安易な作問をしてはいけない、という戒めを含んだことを言いたいのだ。それに、こんな反論をされても出題が無意味になることはなさそうだ。なぜなら、いくら$(n-1)(n-2)(n-3)\dots$の項を付け加えようと、本質的に$n^2$にあたる部分は考えて求める必要がある。十分、推理力の訓練にはなるだろう。
しかし、数列の一般項を$n$を用いた多項式にしなくてよいなら、実はもっとズルイ方法がある。(※)を例にとれば
\begin{quote}
\def\arraystretch{.75}
\begin{tabular}{|c|c|c|c|c|c|}\hline
$k$ & 1 & 2 & 3 & 4 & 0 \\ \hline
$f(k)$ & 1 & 4 & 9 & 16 & 25 \\ \hline
\end{tabular}
\end{quote}
という表を作っておいて、一般項は
\begin{quote}
$a_n = f(n \bmod 5)$
\end{quote}
であると言えばよいのだ。$25$の次は$36$と言われたらどうするのかって? 簡単なことだ。表を
\begin{quote}
\def\arraystretch{.75}
\begin{tabular}{|c|c|c|c|c|c|c|}\hline
$k$ & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 0 \\ \hline
$f(k)$ & 1 & 4 & 9 & 16 & 25 & 36 \\ \hline
\end{tabular}
\end{quote}
に差し替えて
\begin{quote}
$a_n = f(n \bmod 6)$
\end{quote}
であると言い張るだけでよろしい。この方法なら、はじめの数項が示されたどんな数列にだって対応できるだろう。
\end{document}