% 自然数
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\begin{document}
\noindent\textbf{自然数}
$1$, $2$, $3$, $\dots$とどこまでも続く数が自然数である。
私たちの祖先は平地に生えている木を見て、$1$本の木が生えている状態と$2$本の木が生えている状態をきっと区別していただろう。採ってきた木の実が$8$個か$9$個かという状況も区別できただろう。$3$人で木の実を分ける場合、$8$個か$9$個かでは切実な問題が生じてしまう。割り切れないからだ。
私たちの祖先がこれらの違いを表すために用いたものが数字である。$1$本の木でも$1$頭の牛でも$1$個の石でも、とにかく一つあるものには数字の$1$を、$2$本の木でも$2$頭の牛でも$2$個の石でも、とにかく二つあるものには数字の$2$を、$\dots$というふうにあてはめた。そして最終的に$1$, $2$, $\dots$, $0$の$10$種類の数字でどんな大きな数でも表せるようになったのは、$0$という数字と位取り表記の発明によるものだ。
しかし私たちがものを数えるとき、ごく自然に$1$, $2$, $3$, $\dots$と数えるものだ。しかもこれらの数は数を構成する基本となる数である。そのため私たちはこれらの数に「自然数」という称号を与えよう。つまり自然数とは、人々が``自然に''口に出して数えはじめる数であると言える。
自然数の呼び方から、自然界に自然に現われる数と考える場合もあるかもしれない。木が生えたり木の実がなっている状態を思えば$1$から存在が始まるが、木がない状態や木の実がなってない状態も自然界には自然に存在する。この立場で考えると$0$, $1$, $2$, $3$, $\dots$を自然数と呼んでもよいだろう。
こう書くとなにかあやふやになってしまうので、中学・高校の教科書では$1$, $2$, $3$, $\dots$を自然数と呼ぶように決めているはずだが、$0$も自然数に含めるとする立場の数学者もいる。このへんはどの立場で自然数を定義するかにもよるが、とにかく分数のように人間が作為的に作った数でない数が自然数なのである。
\end{document}