% 社交数

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\begin{document}

\noindent\textbf{社交数}

社交数は友愛数の亜種である。ということは、完全数の亜種の亜種にあたる。自分自身を除く約数の和がその数に等しくなるものが完全数だが、そこから完全数の亜種が生まれ、さらにそのまた亜種が生まれるのはどういうことなんだろう。数学は完全なものを求めているけれど、不完全なものにも何らかの意味を見つけたいらしい。

Aの自分自身を除く約数の和がBになり、Bの自分自身を除く約数の和がAになれば、AとBのペアは友愛数と呼ばれる。仲睦まじい様子が浮かんでくるではないか。ところで、Aの約数の和を求めるという操作は、$1$回で終了するものではない。お望みなら求めた和に対しても同様に計算できる。だから、Aの約数の和Bに対して、再び約数の和を求められるのである。そして、偶然Aになったものだけが友愛数の栄誉にあずかる。

たいてい、ここで元の数に戻らなければ縁がなかったとあきらめるのが普通だ。しかし、この操作はあきらめなければ何度でも同じことを繰り返すことができる。ただし、根気がいる。$24$を取り上げてみよう。自分自身を除く約数の和に対して、また約数の和を求めることを繰り返せば
\begin{quote}
$\begin{array}{rcl}
24 & : & 1+2+3+4+6+8+12 = 36 \\
36 & : & 1+2+3+4+6+9+12+18 = 55 \\
55 & : & 1+5+11 = 17 \\
17 & : & 1
\end{array}$
\end{quote}
のように、和が素数になったあと、$1$で終了することがほとんどである。ところが、この操作に連鎖のある例がみつかっている。

細かい約数を書き並べることはしないが、
\begin{quote}
$12496$ $\to$ $14288$ $\to$ $15472$ $\to$ $14536$ $\to$ $14264$ $\to$ ($12496$)
\end{quote}
がそれである。巡り巡って再び自分自身に戻る様子が社会の構造に似てる。情けは人の為にあらず、巡り巡りて己がため。友愛数ほどに濃い関係ではないせいか、このような連鎖を持つ組は社交数と呼ばれる。

でも、本当に社交的なんだろうか。$12496$と直接つながりがあるのは$14288$であって、$14536$ではない。どちらかというと上意下達的な気もする。もっとも、社交数とはただの名称だから、こだわっても仕方ないことではあるが。

\end{document}