% 暦
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\begin{document}
\noindent\textbf{暦}
暦(こよみ)は天文学的に重要なだけでなく、暦なくして生活は成り立たないと言っても過言ではない。暦の作成には数学が随所に使われているが、いまはそのことを述べたいのではない。
一年$365$日というのは、一週$7$日とは相性がよくない。$365 = 7\times52+1$だから$1$日余る。そのためカレンダーを作成すると、毎年日付と曜日がずれるのだ。これはなんとかしたいと思う人はいつの時代でもいるもので、余分な$1$日、たとえば$12$月$31$日を曜日を与えない日(無曜日)にすれば、次の年の$1$月$1$日は今年と同じ曜日になる。そうすれば、毎年同じ日は同じ曜日となって都合がよい。困る人といったら、カレンダーを売る人ぐらいじゃないかな? 実際、そう考えた人はいたようだ。
でも、私ならもう一歩踏み込むね。こんなカレンダーが望ましい。
\begin{center}
\def\tabcolsep{4pt}
\hfill
\begin{tabular}{rrrrrrr}
\multicolumn{7}{c}{1月} \\ \hline
月 & 火 & 水 & 木 & 金 & 土 & 日 \\ \hline
$0\atop1$ & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 \\
8 & 9 & 10 & 11 & 12 & 13 & 14 \\
15 & 16 & 17 & 18 & 19 & 20 & 21 \\
22 & 23 & 24 & 25 & 26 & 27 & 28 \\ \hline
\end{tabular}
\hfill
\begin{tabular}{rrrrrrr}
\multicolumn{7}{c}{2 -- 12月} \\ \hline
月 & 火 & 水 & 木 & 金 & 土 & 日 \\ \hline
1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 \\
8 & 9 & 10 & 11 & 12 & 13 & 14 \\
15 & 16 & 17 & 18 & 19 & 20 & 21 \\
22 & 23 & 24 & 25 & 26 & 27 & 28 \\ \hline
\end{tabular}
\hfill
\begin{tabular}{rrrrrrr}
\multicolumn{7}{c}{13月} \\ \hline
月 & 火 & 水 & 木 & 金 & 土 & 日 \\ \hline
1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 \\
8 & 9 & 10 & 11 & 12 & 13 & 14 \\
15 & 16 & 17 & 18 & 19 & 20 & 21 \\
22 & 23 & 24 & 25 & 26 & 27 & $28\atop29$ \\ \hline
\end{tabular}
\hfill
\end{center}
すべての月は$4$週で、一年$13$ヶ月となる。余った$1$日は$13$月$29$日として、$13$月$28$日に続けて日曜日とするのだ。また、うるう日がある年は、$1$月$0$日を設けて、$2$日続く月曜日から始めることにする。
で、現在の$1$月$1$日から$12$月$31$日までを、このカレンダーとそっくり入れ替えるのではなく、$1$月$1$日は現在の「春分の日($3$月$20日$か$21$日\footnote{太陽の黄経が$0$\textdegree になる日が天文学における「春分日」で、その日を「春分の日」としている。地球の公転日数はだいたい$365\frac{1}{4}$日なので、時々うるう日を入れる必要がある。そのため黄経$0$\textdegree にあたる日がずれる。})」としたい。なぜなら天文学的には、春分点と呼ばれる方向に太陽が正対するときが公転開始地点(黄経)$0$\textdegree と決めているからだ。そして春分点を\textgt{春分}とし、$90$\textdegree 進むごとに\textgt{夏至}、\textgt{秋分}、\textgt{冬至}と巡る。さらに細かく$15$\textdegree ごとに区切ると\textgt{二十四節気}となる。
現在ではうるう年は、原則的に西暦年が$4$の倍数のときと決めてあるが、春分の日から一年を始めるとなると、場合によっては西暦年が$4$の倍数でないときにうるう日を入れなくてはならないかもしれない。でもその心配は、実際この暦が採用されたときに考えればよいことだ。
もしこの暦が採用されたとして、それでカレンダーを売る人以外の誰が困るだろう。ハロウィンは$9$月$2$日か$1$日、クリスマスは$11$月$1$日か$10$月$28$日になる(と思われる)ので『ハロウィン(oct.31)とクリスマス(dec.25)はおんなじ』と言うジョーク\footnote{octal($8$進)の$31$はdecimal($10$進)の$25$に等しい。}は過去のものとなる。
二十四節気や記念日などの``時季''で決まる日は、日付を付け替えるだけの話なので、季節の頃はまったく変わらない。たとえば、立秋は(日本では)まだクソ暑い頃だし、クリスマスは(北半球では)寒い頃だ。しかし語呂合わせなどで決めた日は、いまと異なる頃にすっ飛んでいく。たとえば、いい夫婦の日($11$月$22$日)は$10$月$26$日か$25$日になり、この日はいまでいうクリスマス前の時季にあたる。
違和感なんて最初のうちだけさ。毎年『同じ月日は同じ曜日』となれば、非常に計画的な生活を送れると思うのだけどね。
\end{document}