% カプレカー操作

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\begin{document}

\noindent\textbf{カプレカー操作}

これはまったく心を惹きつけてやまない作業だ。

$2$桁以上なら何桁でもかまわない。好きな数を用意しよう(ただし$777$のように、すべての桁が同じ数字では困る)。ここでは例として$3$桁の数を選ぶことにする。そして、用意した数を大きい数字の順に並べなおした数にし、そこから小さい数字の順に並べなおした数を引く。そして、延々と同じ操作を繰り返す。

たとえば$893$を用意したとすると、大きい数字の順は$983$で、小さい数字の順は$389$だ。その差は
\begin{quote}
$983-389 = 594$
\end{quote}
となる。続けて同じ操作をすると
\begin{quote}
$954-459 = 495$
\end{quote}
である。そしてこの後は
\begin{quote}
$954-459 = 495$
\end{quote}
の繰り返しになってしまう。

実は、不思議なことに$3$桁の数でこの操作をすると、$001$から$998$までのすべての数が$495$へ収束してしまうのだ。この操作は「カプレカー操作」と呼ばれている。

この操作は何も$3$桁の数にかぎったことではない。何桁の数でもできる操作だ。もし、あなたが$4$桁の数で試してみると、どんな数でも$6174$へ収束することが確認できると思う。$4$桁の数をすべて調べるとなれば、数千種類の数について計算をしなくてはならないが、コンピュータで簡単なプログラムを組めば楽にできる。

ただ、$5$桁以上の数になると$3$桁や$4$桁の数のようにきれいに収まらない。なぜか$2$桁の数でもきれいに収まらないのだ。たとえば$5$桁の数では
\begin{quote}
$\begin{array}{ccccccc}
59994 & \rightarrow & \cdots & (途中省略) & \cdots & \rightarrow & 59994 \\
83952 & \rightarrow & \cdots & (途中省略) & \cdots & \rightarrow & 83952
\end{array}$
\end{quote}
のようなループが現れる。$2$桁の数もループになるが、これは簡単に確かめられるのでやってみるとよいだろう。

カプレカー操作がこのような繰り返しをするのは、当然といえば当然である。なにしろ操作によってできる数は、決して始めに与えた桁数を超えない。はじめが$5$桁の数なら、いつだって$5$桁の数しか現れない。それなら、いつか必ず同じ数になるに決まってるじゃないか。それでも、なぜか惹かれるものがある。

\end{document}