% 完全数

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\begin{document}

\noindent\textbf{完全数}

自然数には約数がつきものだ。$6$の約数が$1$, $2$, $3$, $6$であることや、$7$の約数が$1$, $7$だけであることなどは調べればすぐに分かる。一般的に、数が大きくなる程に約数を多く持つ可能性が高い。$6$よりも$60$の方が多くの約数を持つようにだ。そもそも$n$という自然数は必ず$1$と$n$を約数に持つ。だからこれ以外の約数を持たない数は珍重され、素数などと呼ばれるわけである。それでも素数は$100$までに$25$個存在している。すると$1$と$n$以外にも約数を持つ数は$100$までに$75$個である。

大抵の人ならこの程度の考察で満足であろう。そして興味は$100$より大きい素数に移っていくのだろう。まるで、素数でない数には面白みがないように感じて。

だが、約数をたくさん持つ数にも特徴的な性質を見い出すことはできる。自然数$n$が約数$n$を持つことが自明だとすれば、$n$以外の約数は自明でないことになる(もっとも$1$だって自明な約数なのだけれど)。

すると不思議なことに、$6$は自明でない約数を足せば$6$になる。つまり
\begin{quote}
$6 = 1+2+3$
\end{quote}
だ。こういう数は結構ありそうなものだが、なかなか見つからない。$7$, $8$, $9$, $10$, $\dots$と順に調べてみると分かるだろう。そして、次にこの性質を持つ数は$28$まで見つからないのだ。さらに調査を続けるといささか嫌気がさしてくる。何しろ$100$までにはこれ以外に見つけることができないのだから。

こうなってくると、この性質の数は素数より珍しいことに気付く。しかも自明な約数$n$を除いた数の和が、再び自分自身になるとは何ということだろう。いつしか、こういう数は完全数と呼ばれることとなった。そして興味はその先に移るのだ。

結局、完全数はこの先$1000$まで調べてもあと一つが見つかるだけだ。$10000$まで調べてももう一つが見つかるに過ぎない。まさに完全数の名に恥じない出現の仕方ではないか。いまのところコンピュータを駆使して完全数を探す試みはされている。そして、なぜか完全数は偶数のものしか知られていない。完全数は出現の割り合いが極端に少ないせいもあって、不思議のベールに包まれたままなのだ。

\end{document}