% 条件付き確率の計算
\documentclass{jsarticle}
\pagestyle{myheadings}
\markright{tmt's math page}
\def\baselinestretch{1.33}
\begin{document}
\noindent\textbf{条件付き確率の計算}
箱の中に赤玉$10$個と白玉$5$個が入っている。また、赤玉と白玉の$1$個ずつが当たり玉であるとする。箱に手を入れて玉を$1$個取り出すとき、それが当たり玉である確率は$2/15$である。単純な話である。$15$個中、$2$個が当たり玉だからだ。
では、赤玉と白玉は材質が少し異なっているため、ある人は手触りで白玉がわかるとしよう。するとその人は、手で触って白玉を手にしたときに玉を取り出せば、$5$個中の$1$個を引き当てれば当たり玉を取り出せる。当たる確率は$1/5 (= 3/15)$だ。単純な話である。お、当たる確率が高まったぞ。
これは\textgt{条件付き確率}の一つの例である。つまり、取り出された玉が白玉である条件のもとで、当たり玉を取り出す確率を求めている。教科書的には
\begin{quote}
事象Bが起こるという条件のもとで事象Aが起こる確率を、条件付き確率$P(A|B)$といい、
\[ P(A|B) = \frac{P(A\cap B)}{P(B)} \]
で求める。
\end{quote}
というような記述がされている。条件付き確率の公式と言ってよいだろう。
公式に先の例を適用すると、事象Aとは『当たり玉を取り出す』ことであり、事象Bとは『白玉を取り出す』ということである。すると、$P(A\cap B)$とは『白い当たり玉を取り出す』こととなる。で、それらを確率として求めると、$P(A\cap B) = 1/15$であり、$P(B) = 5/15$であるから
\[
P(A|B) = \frac{1/15}{5/15} = \frac{1}{5}
\]
と計算できる。当然、先に求めた結果と同じになる。
ここで、ちょっと立ち止まってみよう。公式は、なんだか下準備をした上で計算したようだが、最初に考えたときは、単に白玉$5$個のうち当たり玉$1$個を取り出す確率$1/5$だったよね。そう、条件付き確率ってそういうことだ。条件に当てはまる部分だけきちんと分離できれば、求める確率は分離された部分に占める割合を求めることになっている。
公式を理解して使うことは大事なことだが、『策士、策に溺れる』ようなことになっていないだろうか。教科書の練習問題レベルなら、おそらく公式の出番はほぼないかもしれない。
\end{document}