% 方程式

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\def\baselinestretch{1.33}

\begin{document}

\noindent\textbf{方程式}

「$=$」で結ばれた式を「等式」と呼ぶが、特に
\begin{quote}
$x^2-5 = 3x-7$
\end{quote}
のような式を「方程式」と呼んで区別している。方程式というとその解を求めることに目がいってしまうが、解を求めることだけが方程式に与えられた役割ではない。たしかに$2$次方程式
\begin{quote}
$ax^2+bx+c = 0$ \quad(△)
\end{quote}
の解は
\begin{quote}
$x = \displaystyle \frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}$
\end{quote}
で求められる。$3$次方程式にも$2$次方程式のように解の公式は存在する。しかし、$5$次以上の方程式にはそのような解の公式が存在しない。これは$5$次方程式は「解けない」と言っているのではない。方程式の係数をあれこれいじくって計算するだけの方法ではだめということだ。実際、$5$次方程式
\begin{quote}
$x^5+x = 0$ \quad(◇)
\end{quote}
は$x = 0$を代入することで、$x = 0$の解をもつことがわかる。さらに因数分解することで
\begin{quote}
$x(x^2-i)(x^2+i) = 0$
\end{quote}
が得られるので、$x = 0$以外の解として$\pm i$の平方根である
\begin{quote}
$\displaystyle \pm\left(\frac{1}{\sqrt{2}}+\frac{1}{\sqrt{2}}i\right)$,\quad $\displaystyle \pm\left(-\frac{1}{\sqrt{2}}+\frac{1}{\sqrt{2}}i\right)$
\end{quote}
の$4$個の解があることがわかる。だが、残念なことにこれがすべての$5$次方程式にあてはまる解き方ではない。

方程式とは何だろう。それは
\begin{quote}
\bfseries 特定の値を代入したときだけ成立する等式
\end{quote}
のことである。(◇)はいま解いたように、特定の$5$個の値で等式が成立している。(△)では $x = 1$,~$2$の値に限って等式は成立している。

方程式の解は有限ではない。等式
\begin{quote}
$2x-y = 0$
\end{quote}
は一意的に解が求まらないが、この等式は立派な方程式である。なぜなら
\begin{quote}
$(x, y) = (1, 2)$, $(2, 4)$, $(3, 6)$, $\dots$
\end{quote}
のような特定の値でしか等式を成立させることはできないからだ。しかしこの方程式には特定の解が無数にある。この場合は方程式のすべての解を求める無駄な努力をするより、$x$と$y$の関係に注目したほうが視界が開けてくるというものだ。

\end{document}