% 「逆」必ずしも...
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\markright{tmt's math page}
\def\baselinestretch{1.33}
\begin{document}
\noindent\textbf{「逆」必ずしも$\dots$}
「逆は必ずしも真ではない」とはよく言われることだ。たとえば
\begin{quote}
$a > 0$\ ならば\ $a^2 > 0$\ である
\end{quote}
は正しい。しかしその逆の表現
\begin{quote}
$a^2 > 0$\ ならば\ $a > 0$\ である
\end{quote}
は間違っている。なぜなら$a > 0$である必要はなく、$a \le 0$であっても一向にかまわないからだ。
このような話をすると「そんな数学の理屈を言ったって、現実にはほとんど関係ないじゃないか」と反論したくなるだろう。ところがそうではない。こういう理屈が分からないから、実際の生活で間違った結論を導いてしまうのである。
もし
\begin{quote}
\bfseries 学校の成績が良い者はきちんと朝食をとっている
\end{quote}
という調査結果が公表されたとしよう。しかも、データを見る限り信憑性が高いと思われるとしよう。そこである親はこう考える。そうか、うちの子の成績が伸びないのは朝食をきちんととらせてないからだ。これからはきちんと朝食をとらせることにしよう。こんな具合だ。
だが、ちょっと待ってもらいたい。調査の文は
\begin{quote}
「成績が良い」ならば「朝食をとっている」 \quad(△)
\end{quote}
のであって、
\begin{quote}
「朝食をとっている」ならば「成績が良い」 \quad(▼)
\end{quote}
のではない。ここが微妙なところだ。
(△)は、はじめに成績が良いグループありきだ。そしてそのグループを調査したらほとんどのものが朝食をとっていることを意味する。ところが(▼)は、はじめに朝食をとってるグループありきだ。逆にすることで前提が違ってくるのだ。
よしんば調査の結果「朝食をとっているならば成績が良い」ことも事実だとしても、それが「朝食を``とれば''成績が良く``なる''」ことにはならない。私の見解では、成績の良し悪しは努力を長続きさせられる性格かどうかに関わっていると思う。努力の長続きがやがて習慣となることで、早起きや勉強を苦にしない体質になるのだろう。早とちりで、的外れの結論を導かないように注意したいものだ。
\end{document}