% 双子素数

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\begin{document}

\noindent\textbf{双子素数}

自然数の中で私達の目を引くものに素数がある。小さい順に並べてみると
\begin{quote}
$2$, $3$, $5$, $7$, $11$, $13$, $17$, $19$, $23$, $29$, $31$, $\dots$
\end{quote}
となっている。素数自体は大変重要な地位を占めていて、数論では大車輪の活躍を見せる。ある数が素数かどうかということはかなり大事なことなのである。

普通なら話はそこで終わる。しかし、素数を並べてみると少々余計なことまで目に付いてしまうものだ。そもそも素数は$2$を除けばみんな奇数である。これは当然。つまり視点を変えれば、素数とは奇数列からお眼鏡にかなったものだけが取り出されたと見ることができる。すると、たとえば$11$,~$13$や$29$,~$31$などは奇数列のお隣さんどうしである。隣組(となりぐみ)がお眼鏡にかなったわけだ。じゃあ、このような隣組の素数は一体どれだけあるのか? また、どれぐらいの頻度で出現するのか? といった興味が湧くものである。

調べてみると以外と多い。多いとなると、無限に多いかどうかも気になるけれど、現在のところそれは不明である。このような素数の組が\textbf{双子素数}と呼ばれるのだが、そうそう価値ある性質でもなさそうだ。どちらかといえば枝葉の部類なのだろう。

数学の良い(ときに悪い)習慣として「拡張」とか「一般的」とか称することがある。双子素数を拡張すれば、それは三つ子素数、四つ子素数、$ldots$と続くのであろう。実際、最初の三つ子素数は$3$, $5$, $7$である。「さあ次は」と意気込む気持ちは分かるが、意気込みは空回りすることが多く、この場合がまさにそれにあたる。実は「次」はないのだ。これは簡単に証明できる。そして証明が終わると、これまでの勢いが一気にしぼんでしまうのが常だ。まったく数学の性質に関することは気まぐれが多い。

しかし、それでも四つ子素数に未練を残す人もいる。論理的に三つ子がなければ四つ子は存在しっこない。だが、定義を少々いじれば四つ子素数を誕生させることは可能だ。奇数を$5$個連続して並べると、少なくとも一つは素数でない数が混じるが、それが中央の数だけだったら残りの$4$数を四つ子素数と呼ぼうとするものである。たとえば$5$, $7$, (9), $11$, $13$の並びがそれにあたる。さて、一体どこまで「何々子素数」は作られるのであろうか。

\end{document}