% 円順列
\documentclass[dvipdfmx]{jsarticle}
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\def\baselinestretch{1.33}
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\begin{document}
\noindent\textbf{円順列}
数学の単元に『順列・組合せ』なるものがある。違う言い方をすれば『場合の数』といって、要するにいろいろな場面で何通りの並び方を考えることができるかを問うのだ。簡単な例を示そう。『A, B, C, Dの$4$人が一列に並ぶとき何通りの並び方があるか』と問われたら、『$4! = 24$(通り)』と答える。そんなにあるか?と思いつつ、``ABCD''と``ABDC''は異なる並び順であると考えれば、実際$24$通りあることが確認できる。
しかしこれが『A, B, C, Dの$4$人が円周上に等間隔に並ぶとき何通りの並び方があるか』と問われたら、『$4!/4 = 6$(通り)』もしくは『$(4-1)! = 6$(通り)』と答える。並び順の一例を図示すると、左図と右図は\.図\-\.の\-\.上\-\.で\-\.は違って見えるが、本質的にはいずれも『Aから時計回りにBCDと並んでいる』から同じ並び方と考える。そのため円順列は、単に一列に並ぶ場合の数より少なくなる。
\begin{center}
\begin{tikzpicture}
\draw[dashed] (0, 0) circle (1);
\draw (0, 1) circle (0.2) node {A} (1, 0) circle (0.2) node {B} (0, -1) circle (0.2) node {C} (-1, 0) circle (0.2) node {D};
\begin{scope}[shift={(5, 0)}]
\draw[dashed] (0, 0) circle (1);
\draw (0, 1) circle (0.2) node {C} (1, 0) circle (0.2) node {D} (0, -1) circle (0.2) node {A} (-1, 0) circle (0.2) node {B};
\end{scope}
\end{tikzpicture}
\end{center}
異なる計算方法があるのは考え方の違いだ。前者はとりあえず$24$通りを計算してしまうが、その計算はAの位置により本質的に同じ並びを$4$回重複して数えているため$4$で割る必要がある。後者はAの位置は問題でなく、Aから時計回りに並ぶ順が本質なので、残る$3$人の並び順だけ数えればよいから$3!$で計算する。そして、このような考えは数学特有の\textgt{``作法''}なのである。
そう、円順列の数え方は日常的にお茶を飲む行為と違って、茶道でお茶をいただく行為のようなものだ。どこか浮世離れしているのである。
だいたい$4$人が円周上に等間隔に並ぶときって、日常的には中華料理店の円卓に座るような状況が一般的だろう。それなら先の$2$図は異なる状況だ。たとえば左図のAの背面が窓なら、左図のAは窓外の景色を見られないが右図のAなら見ることができる。ということは、中華料理店では$24$通りの並び方があることになる。
でも数学は$4$人の周りの状況を考えない。まるでそこにはテーブルと$4$人しかいないみたいに。茶室が外の世界から隔絶されているようなものだ。で、茶室では作法にしたがって振る舞う。だから数学で円順列を考える際は、数学の作法にしたがって振る舞わなければならないのである。
\end{document}