% ケーキのn等分
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\def\baselinestretch{1.33}
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\begin{document}
\noindent\textbf{ケーキの$n$等分}
ケーキを$n$人で均等に分けることについて考えよう。と言っても、それは比較的簡単である。円形のホールケーキなら、円周を$n$等分する点を求め、中心から等分点へ向けてナイフを入れればよいだけだ。
ケーキが正方形でも問題ない。円形のケーキ同様に、正方形の周の長さを$n$等分する点に向けて中心から、つまり対角線の交点から等分点へ向けてナイフを入れればよい。
ならば矩形(くけい)---長方形の、いまとなっては古風な呼び方だ---はどうだろう? 端から順に$(n-1)$回ナイフを入れればよいだろうって? たしかに、一般的なカステラだったらそれでよいだろう。端も中央も同じだからね。でも、一般的なホールケーキはそうじゃないことが多い。なぜなら縁、つまり側面にクリームなりチョコレートなりが塗ってあるだろう。この場合、切り分けたケーキは両端だけクリームなりチョコレートなりが余分についている。誰だって、端っこが欲しくなるよね。
\begin{center}
\begin{tikzpicture}[scale=0.3]
\draw[line width=1pt] (0, 0) rectangle (14, 7);
\foreach \x in {1, 2, 3, 4, 5, 6}
\draw[line width=0.3pt] (2*\x, -0.5) -- (2*\x, 7.5);
%
\begin{scope}[shift={(22, 0)}]
\draw[line width=1pt] (0, 0) rectangle (14, 7);
\draw[line width=0.3pt] (7, 3.5) -- (0, 7);
\node at (4, 7){$\frac{4}{7}a$};
\draw[line width=0.3pt] (7, 3.5) -- (8, 7);
\node at (11, 7){$\frac{3}{7}a$}; \node at (14, 6.5){$\frac{1}{7}b$};
\draw[line width=0.3pt] (7, 3.5) -- (14, 6);
\node at (14, 4){$\frac{4}{7}b$};
\draw[line width=0.3pt] (7, 3.5) -- (14, 2);
\node at (14, 1){$\frac{2}{7}b$}; \node at (12, 0){$\frac{2}{7}a$};
\draw[line width=0.3pt] (7, 3.5) -- (10, 0);
\node at (6, 0){$\frac{4}{7}a$};
\draw[line width=0.3pt] (7, 3.5) -- (2, 0);
\node at (1, 0){$\frac{1}{7}a$}; \node at (0, 1.5){$\frac{3}{7}b$};
\draw[line width=0.3pt] (7, 3.5) -- (0, 3);
\node at (0, 5){$\frac{4}{7}b$};
\draw[line width=0.5, <->] (0, 8) -- node[above] {$a$} (14, 8);
\draw[line width=0.5, <->] (15, 0) -- node[right] {$b$} (15, 7);
\end{scope}
\end{tikzpicture}
\end{center}
だから必然的に正方形同様、中心から放射状にナイフを入れなくてはならない。どうすれば等分点がわかるだろう? 横の長さ$a$、縦の長さ$b$として計算してみよう。
まず、ケーキの(底)面積は$ab$である。これを$n$等分するなら一人$\dfrac{ab}{n}$の分け前がなくてはならない。したがって、分け前の三角形の底辺が \underline{$a$側}なら高さは$\dfrac{b}{2}$だから、底辺の長さ$x$は
\begin{center}
$x\times\dfrac{b}{2}\div2 = \dfrac{ab}{n}$\quad を解いて\quad $x = \underline{\dfrac{4}{n}a}$~、
\end{center}
三角形の底辺が \underline{$b$側}なら高さは$\dfrac{a}{2}$だから、底辺の長さ$x$は
\begin{center}
$x\times\dfrac{a}{2}\div2 = \dfrac{ab}{n}$\quad を解いて\quad $x = \underline{\dfrac{4}{n}b}$
\end{center}
となる。下線を引いたところの対応に注目だよ。
要するに、三角形の底辺が$a$側だろうと$b$側だろうと、その側の$\dfrac{4}{n}$を底辺にすれば目的の面積を持つ三角形を切り取れるってことだ。だから縦横の比には関係なく、$a$側と$b$側にまたがる場合でも底辺の長さの比が合わせて$\dfrac{4}{n}$になっていればよいのである。
右の図は$7$等分の例になっているが、辺上に書かれた分数は、その側の長さの
\[
\dfrac{4}{n}\times a、\qquad \dfrac{k}{n}\times a+\dfrac{h}{n}\times b\ (k+h=4)、\qquad \dfrac{4}{n}\times b\qquad\dots(※)
\]
のいずれかになっているだろう。(※)は重要な公式として覚えておいて損はない。
\end{document}