% 微分

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\begin{document}

\noindent{\bf 微分(differential)}

微分という字面から、微 (かす) かに分けるという意味が読み取れる。「細分」「精分」「僅分」のような言葉からは汲み取れない、上手い名称であると感心する。「微」は、わずかを意味すると同時にぼんやりの意味も含む。一見すると微分の計算は、細かく精密な処理をしているようだが、実際はどんぶり勘定に近いものがあるのだ。

微分の定義をここでの話題に沿う形で示せば
\begin{equation}
f'(a) = \lim_{b\to a}\frac{f(b)-f(a)}{b-a} \label{defOfDiff}
\end{equation}
である。この式は、数学が苦手な人なら逃げ出したくなるような式だ。しかし冷静に見てみよう。

$f(a)$というのは、たとえば$f(x) = x^2$のような関数---これはときに$y = x^2$と書かれる---に$x = a$を代入したものである。ということは、(\ref{defOfDiff})において
\[
\frac{f(b)-f(a)}{b-a}
\]
が意味するところは、$x$の区間$[a,~b]$に対する「変化の割合」を計算しているだけである。変化の割合は、平均変化率と呼ばれることもある。

そして、変化の割合に対して$\lim_{b\to a}$とすること---すなわち$b$の値を$a$の値にごくごく近付けること---は、区間$[a,~b]$をの幅をほとんど$0$に縮めているのに等しい。そうすることで何が分かるかは今は置いておくが、こういったことが微分の考えの基本である。

ほとんど$0$に近い区間を計算している印象から、微分が精密な処理であることを感じさせるのだろうが、基本的に変化の割合を考えている点が、どう見たって大雑把であろう。何しろ、関数がどのような変化をしていようとも、そこを変化の割合という直線的変化とみなしているからだ。つまり、はじめの関数の性質をぼかしている。まさに「微」の字を使う意義がここにある。

だからこそ「微分可能」かどうかが議論の的にもなる。はじめから関数を精密に調査できる仕組みがあるなら、そもそも調査が可能かどうかは議論にならない。微分とは、一旦大雑把に調査範囲を決めて、調査の範囲を絞り込む手法である。そのために、どうしてもはじめに決める範囲にノイズが入り込むのは仕方ないのである。

\end{document}