% 1089
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\def\baselinestretch{1.33}
\begin{document}
\noindent\textbf{1089}
ちょっとした計算で不思議な感動を味わうことができる。
はじめに勝手な$3$桁の数を用意する(ただし$757$のように、一の位と百の位が同じ数字では困る)。そして、用意した数の逆順の数を作る。具体的な例を出せば、$3$桁の数として$173$を用意した場合、その逆順の数は$371$だ。また、$3$桁の数として$500$を用意した場合,その逆順の数は$005$と考えてもらう。
そうして二つの数が出来上がったら、大きい方から小さい方を引いてみる。さっきの例なら
\begin{quote}
$\begin{array}{rcl}
371-173 & = & 198\\
500-005 & = & 495
\end{array}$
\end{quote}
などとなる。さて、引き算をした答について、また逆順の数を作る。いまの例なら$891$や$594$という数ができるはずだ。そして今度は、引き算の答と逆順の数を足してもらう。つまり
\begin{quote}
$\begin{array}{rcl}
198+891 & = & 1089\\
495+594 & = & 1089
\end{array}$
\end{quote}
とする。
偶然にも同じ答$1089$になった。しかしこれは偶然ではない。必然の結果である。言いかえれば、どんな$3$桁の数(ただし一の位と百の位の数字が違っていること)を持ってきても、上で述べた操作をすれば必ず$1089$が現れるということだ。
このことは、実際に$001$から$998$までのすべての数について調べてみればわかる。ちなみに$001$を用意すると、引き算の答は
\begin{quote}
$100-001 = 099$
\end{quote}
という$3$桁の数になることに注意してほしいが。
しかし、何もすべての数について確かめる手間をかけなくても、この不思議を解明することはたやすい。$3$桁の数を$100a+10b+c$とおいて同じ作業をし、少し考えれば納得できるだろう。ちょっと目には不思議なことでも、タネがわかればどうということはない。
\end{document}