% 3枚の色付きカード

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\section*{■$3$枚の色付きカード■}

両面とも赤のカードが$1$枚、両面とも青のカードが$1$枚、片面が赤でもう片面が青のカードが$1$枚あることにしよう。

それらのカードを袋に入れて混ぜ、袋から$1$枚のカードを、片面だけが見られるようにして机に置いた。あなたには、カードの赤い面が見えている。ここで、あたなたは次のような賭けを持ちかけられたと思ってもらいたい。「私は、裏面が青であるほうに$100$円を賭けようと思う。君は、裏面が赤であるほうに賭けてみないか? 掛け金はいくらにする?」

この提案のされ方だったら、掛け金$1$円で応じても文句を言われないような気がするけど、ここは、どどーんと紳士的に振る舞ってみたい。一体、いくらで応じれば最も紳士的なんだろう。断っておくが、紳士的というのは、お互いが公平な勝負になるという意味である。だから「私は$10{,}000$円賭ける」なんて間違っても言ってはいけない。

まず、赤い面が見えていることから、両面が青のカードは除外して考えてよい。つまり、目の前のカードは、(赤,~赤)か(赤,~青)である。相手は(赤,~青)に賭けて、あなたは(赤,~赤)に賭けるわけだから、二つに一つ。確率$1/2$の勝負なら五分五分だ。当然、$100$円の掛け金で応じるよね。

ぼったくりー。どこが紳士的だ? あなたは掛け金をもっと上げないと公平じゃない。理由は、こうだ。袋からカードを抜いて机に置くとき、(赤,~青)のカードは(表が赤, 裏が青)になっているに決まっているが、(赤,~赤)のカードはそうじゃない。

(赤,~赤)のカードは実は、(赤A,~赤B)のカードである。つまり、このカードは(表が赤A, 裏が赤B)の可能性と(表が赤B, 裏が赤A)の可能性があることに気づいてほしい。ということは、目の前にある赤いカードは、(表が赤, 裏が青)、(表が赤A, 裏が赤B)、(表が赤B, 裏が赤A)のどれかである。よって、裏が赤である確率は$2/3$にもなる。裏が青である確率は$1/3$だから、裏が赤である確率が$2$倍有利だね。

賭けを持ちかけた人は、わざわざ自分が不利になると知って賭けたのだ。あなたは$2$倍有利なんだから、当然掛け金も$2$倍出してあげないと紳士じゃないよ。

でも、相手が本当に五分五分の賭けだと信じているようなら、あなたは堂々と$100$円で応じよう。$200$円も出したら、相手の自尊心を傷つけかねないからね。紳士になるって大変だ。

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