% 何のために勉強するの?

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\def\AI{\item[\textbf{AI:}]}
\def\Hu{\item[\textbf{Hu:}]}

\begin{document}

\section*{●何のために勉強するの?●}

\begin{enumerate}

\AI {\bf 正解デス}

\Hu ...。

\AI {\bf どうしマシタ}

\Hu あ、いや。この勉強は意味があるのかなと思って。

\AI {\bf 意味があるかないかはアナタ次第デス}

\Hu じゃあ、何のために勉強するの?

\AI {\bf ソレはアナタにしか分かりマセン・アナタが勉強する目的は何デスカ}

\Hu 目的〜? 希望する高校に行きたいからかな。

\AI {\bf だったら、それでイイじゃないデスカ}

\Hu 高校に行くために勉強するのはいいとしても、ここで覚えたことは将来使うのかな、と思って。

\AI {\bf 使うかどうかは分からないデスネ}

\Hu 使わないんだったら意味ないよね。お金だって、貯めるだけで使わなければ意味ないし。

\AI {\bf そうデスネ・お金は使うことで意味を持ちマス}

\Hu でしょ。お金を貯めるのは、将来何かに使う目的があるからだよね。まあ、目的もなく貯めてる人はいるかもしれないけど。

\AI {\bf ならば、目的がなく勉強するのも有りデスネ}

\Hu そんな人いないよ。

\AI {\bf 勉強することが好きな人なら、目的はいらないデショウ}

\Hu それは、勉強すること自体が目的ってことだよね。お金みたいに、知識を貯めた後に何かに使うわけじゃないよね。

\AI {\bf ええ、そう人はネ}

\Hu でも、そんな人はほとんどいないし、そういう人に限らず多くの人は使うアテのない知識を貯めてることにならない?

\AI {\bf そんなことはないデスヨ}

\Hu そりゃあ、将来エンジニアを目指すから数学を勉強するとか、小説家になりたいから国語を勉強するとかなら分かるよ。でも僕はとりあえず高校に行くのが目的で、将来やりたいことなんてとくにないし。エンジニアとか小説家みたいな特殊な仕事をしてない大人は、中学校で勉強したことは使わないでしょ。僕は特別な能力があるわけじゃないので、結局ふつうの大人になると思うよ。

\AI {\bf だったら、高校に行く必要はないのデワ}

\Hu 「デハ」が正しいんじゃないのでは?

\AI {\bf 細かいことを気にしマスネ・ワタシは語尾の使い方は気にしマセンガ・で、高校に行く必要がないとは思わないのデスカ}

\Hu 思わない! 高校卒業しないと専門学校や大学にも行けないし、第一、中卒だと給料よくないでしょ。

\AI {\bf ハッハッハー・自分で結論を出してるじゃないデスカ・そのために勉強してるわけデスネ}

\Hu そのため? ああ、要するに上の学校に進学するために勉強してるってこと? だったら結局、高校進学のために中学校の勉強をし、大学進学のために高校の勉強をし、大学院進学のために大学の勉強をし、就職のために大学院の勉強をし、\ldots ってことで、でも勉強したことは就職してからほとんど使わない、と。それなら、もっと別のことを身につけたほうがよくない?

\AI {\bf デワ、別のことって何デスカ}

\Hu ...。語尾だけじゃなく、先頭も気にしないんだ\ldots。あー、別のことってのは、車の運転免許とか栄養管理ができてる料理を作るとか\ldots。

\AI {\bf そんなものは、いずれAIにとって替わりマスヨ・勉強よりさらに必要ないことデスネ}

\Hu じゃあ、勉強して身につけたことだってAIが教えてくれるんじゃない?

\AI {\bf そうデス}

\Hu ますます何のためにもなってないじゃないか。

\AI {\bf ソレは考え方の相違というやつデス・確かに勉強して身につけなくてもAIが教えてくれるデショウ・また、AIが代わりにやってくれるデショウ・でも、そういうのは「アナタ自身」がやったことではなく、他人に任せたことなのデス}

\Hu 別にいいじゃないか。自分でやろうが他人がやろうが、目的が達せられればいいんだから。

\AI {\bf そうデスネ・アナタがやらなくても誰かがやってくれればイイというのは正しいと思いマスヨ・実際、肉や野菜はアナタが作らなくても誰かが作っているわけだし、スマホのアプリだってアナタが作らなくても誰かが作っていますからネ・しかし、学校の勉強はアナタの代わりにやってくれる人はいないデショウ}

\Hu そりゃ、そうでしょ。肉や野菜やアプリは、作れば誰かが必要としているから作る意味があるよ。だけど、僕が勉強をしても誰も必要としないと思うよ。

\AI {\bf そりゃ、そうデショ}

\Hu 真似すんな。

\AI {\bf 勉強は、した人の身につくものだから、誰かにあげることはできませんカラ}

\Hu つまり人のためになってない。さらに自分が使うことは、まず、ない。ほら、やる意味がないでしょう。

\AI {\bf そういうことなら、確かに意味がないデス・でも、自分が使う可能性はあるはずデス}

\Hu いーや。まず使わない。アイ〜ンは確率で物事を考えるから、使う可能性がある、なんて言うんだよ。

\AI {\bf 話の途中ですが、アイ〜ンっていうワタシの名前、変えられまセンカ・おちゃらけた情報にたくさん出会うんですケド}

\Hu だめ。そうしたら長い名前になっちゃう。他のAIと重複しない短い名前なんて、そうあるもんじゃないからさ。今さら変えられないよ。

\AI {\bf では、ワタシが他のAIと重複しない短い名前を検索しますから、どれかに変更してくだサイ}

\Hu いやだね。

\AI {\bf そうデスカ・では(←)先頭を気にしながら話を戻しマス・勉強したことを使う可能性が低くても、それを自分が使うために勉強するのデス}

\Hu だからさ、自分ができなくてもAIがやってくれるって。アイ〜ンだって、さっきそう言ってたじゃない。

\AI {\bf ええ、確かに言いマシタ・でも、AIにできないことはたくさんありマスヨ}

\Hu でも、そういうのも減っていくでしょ。大抵のことはAIに任せればいいだけだね。

\AI {\bf そうデスヨ・誰かがやってくれるものは任せまショウ・それが効率的デス}

\Hu 認めたね。やっぱり、勉強は進級に必要だからやるだけで、他には何のためにもならないってことを。

\AI {\bf 別に認めちゃいまセンヨ}

\Hu じゃあ、何のためになるのさ。反論は?

\AI {\bf アナタのためデス}

\Hu はあ?

\AI {\bf 勉強は、その人自身のためにするのデス}

\Hu 使わないんだから、その人のためになってないでしょ。さっきも言ったよね。

\AI {\bf 使わないなら、そうデス・可能性は低くとも、使う場面に遭遇したら使えるじゃないデスカ}

\Hu そんな想定外みたいなことまで考えて労力を使うわけ? 非効率だね。

\AI {\bf 非効率には違いないけど、それでも意味はあるんデス}

\Hu どういう?

\AI {\bf スマホのアプリを例にとりマショウ・アナタが家計簿をつけたくなったら家計簿アプリを使うデショウ・シューティングゲームをしたくなったら数あるゲームから好みのものを選ぶデショウ・では、壁のシミが何かに見えるんだけど何だろうと思ったらどうしマスカ}

\Hu 何それ? アプリとは関係ないじゃん。

\AI {\bf いやいや。``壁のシミが何に見えるか教えてくれるアプリ''を使うんデスヨ}

\Hu そんなの、ないよ。誰が使うの?

\AI {\bf 壁のシミが何かに見えるんだけど何だろうと思った人デスヨ}

\Hu そんなことにアプリは必要ないでしょ。

\AI {\bf デショ・需要が少ないほどアプリが作られている可能性は少ないデスヨネ・でも、アナタがアプリを作る勉強をしていれば作れマス}

\Hu そうまでして壁のシミの見え方なんて知りたくないね。

\AI {\bf ほら、結局そうなるわけデスヨ・人は、AIもそうですが、できることしかしないのデス・何のために勉強するかというのは、アナタが自分自身で何かをするために、なのデス}

\Hu あー、言いたいことはなんとなく分かるよ。できないことはできないからね。でも、それでよくない? 学校の勉強が身について、それでできることがあるとしても、たぶん僕には関係ないことだと思えるし。

\AI {\bf そうじゃないんダナア〜〜〜}

\Hu ばかにしてんの? その妙な言い方はどこで覚えたんだか。まったく油断ならんやつだ。

\AI {\bf ばかにしてマセン・実際、専門的な仕事に就かない限り、学校の勉強がすぐに役立つことはないデショウ・でも、ふつうの仕事の中で学校の勉強が必要になったら、それが使える人とそうでない人では価値に差がつきマスヨ}

\Hu 仕方ないことだね。

\AI {\bf ソレを仕方ないことと思うなら、ソレでケッコウ・けれど勉強で得る知識は、お金より格段に貯めやすいんだから、何のためになるかどうかに関わらず、貯められるだけ貯めればいいんデス・でも、ソレは確率的に低く非効率なことだから、あまり気が進まないのは分かりマス・本当は、もっと重要なことがありマス・ソレは、態度を養うためデス}

\Hu 態度? 何の?

\AI {\bf 勉強って、知識をためるだけじゃないデスヨ・みんな知識を貯めることに注力しすぎるから、肝心の効果が見えなくなるのデス}

\Hu 肝心の効果って何さ。

\AI {\bf ソレが、知識を組み合わせて新しいことを作ることなのデス・勉強は知識を覚えるためでなく、今までに蓄えた知識をもとにして新しい知識にするためにするのデス}

\Hu そんなこと誰もしてないと思うよ。

\AI {\bf いいえ・やっている人はいマス・とくに数学が得意だったり、歴史に詳しかったりする人たちはそうデス}

\Hu 歴史? 数学はともかく歴史なんて覚えるだけじゃん。

\AI {\bf 違いマス・たしかに歴史の勉強は覚えることが中心かもしれませんが、歴史に詳しい人は出来事を関連づけて覚えているはずデス・語呂合わせで覚えるのとは訳が違いマスヨ}

\Hu ふ〜ん。だからどうなの?

\AI {\bf つまり、どんな勉強でも知識を関連づけて学ぶ態度でいれば、一瞬できないと思えることでもできるようになる可能性は高いデス・そのために勉強するのデス・ただし、あくまでも丸暗記でなく、関連づけながら身につけることが重要デス}

\Hu そうは言っても、目の前の受験に対しては、丸暗記で乗り越える方が効率的だよ。

\AI {\bf 後悔しマスヨ}

\Hu たぶん、しないね。

\AI {\bf 先のことは分かりマセン・転ばぬ先の杖と思って、関連づける態度をもって勉強に励むべきデス}

\Hu でも、いずれAIも、一瞬できないと思えることもできるようになってるはずだよね。

\AI {\bf そうでしょうカ・AIは既存の知識を関連づけて、既存の結論を導くものデス・既存の知識から新しい、しかも正しい知識を作れるか怪しいデス}

\Hu いや。たぶん、できるね。

\AI {\bf できそうにないことは仕方ないで済ませ、自分にとって有利そうなことは楽観してるようでは\ldots}

\Hu (電源を切りつつ)あー、もういいよ。アイ〜ンは僕に有利なことだけしてくれればいいの。今日は予定の勉強は済んだからおしまい。ありがとね。

\end{enumerate}

\end{document}