% 0.999...は1ではありませんよね?
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\def\F{\item[\textbf{F:}]}
\def\T{\item[\textbf{T:}]}
\begin{document}
\section*{●$0.999\cdots$は1ではありませんよね?●}
\begin{enumerate}
\F $0.999\cdots$は1ではありませんよね?
\T $0.999\cdots$が1でないとすると、どちらか一方が小さいということになりますね。
\F $0.999\cdots$のほうが小さいです。
\T どれぐらい小さいのですか?
\F $0.000\cdots$なんとかです。
\T それは0のことではありませんか?
\F いいえ、0ではなくて、0と区別できないぐらいの小ささです。
\T そうすると、$0.999\cdots$にその数を足したものが1ということですか?
\F そうです。
\T では、その数を$\ddot0$で表してもかまいませんか。
\F ええ。
\T では、改めて書くと$(0.999\cdots)+\ddot0 = 1$というわけですね。
\F そうです。
\T ところで、$9.999\cdots$と10は等しいと思いますか?
\F いいえ。
\T それなら、小さいのはどちらですか?
\F $9.999\cdots$のほうです。
\T どれぐらい小さいのですか?
\F それは\ldots さっきと同じで$\ddot0$だけ小さいはずです。
\T すると、$(9.999\cdots)+\ddot0 = 10$というわけですね。
\F はい。
\T 10は1の10倍だと思いますが、$9.999\cdots$も$0.999\cdots$の10倍でありませんか?
\F \ldots そうですね。
\T $(0.999\cdots)+\ddot0 = 1$だったわけですから、全体を10倍すると$(9.999\cdots)+10\cdot\ddot0 = 10$になりますね。すると、$\ddot0 = 10\cdot\ddot0$でなくてはならないので、$\ddot0 = 0$ではありませんか?
\F $\ddot0 = 10\cdot\ddot0$まではいいと思いますが、だからといって$\ddot0 = 0$ではありません。$\ddot0$は$\infty$の無限小版とでもいうべきもので、$10\times\infty = \infty$と考えるように、$10\cdot\ddot0 = \ddot0$となるような数だと考えます。0ではありません。
\T 分かりました。あくまでも$\ddot0 \ne 0$であり、かつ、$(0.999\cdots)+\ddot0 = 1$であるということですね。
\F はい。
\T では、両辺を2乗してみましょう。$\{(0.999\cdots)+\ddot0\}^2 = 1^2$の左辺を展開して、$(0.999\cdots)^2+2\cdot(0.999\cdots)\cdot\ddot0+\ddot0^2 = 1$がいえますね。
\F はい。
\T $\ddot0$が$\infty$のような性質をもつならば、$\ddot0$は何倍しても$\ddot0$だから$2\cdot(0.999\cdots)\cdot\ddot0$も$\ddot0^2$も$\ddot0$ですから、ここは$\ddot0+\ddot0$になって、結局$\ddot0$に落ち着きますね。つまり、2乗すると$(0.999\cdots)^2+\ddot0 = 1$になりますね。
\F はい。
\T ならば、2乗する前と2乗した後を比較して、$(0.999\cdots) = (0.999\cdots)^2$ではありませんか。$0.999\cdots$は2乗したものと同じ値になっていますよ。
\F そうですね。
\T ある数を2乗しても、ある数と同じになるような数は0か1しかないのではありませんか?
\F \ldots。
\T $0.999\cdots$は明らかに0ではないので、それなら$0.999\cdots$は1ではありませんか?
\F \ldots 訂正します。先ほど$10\cdot\ddot0 = \ddot0$でいいとしましたが、$10\cdot\ddot0$は$10\cdot\ddot0$のままです。$0.999\cdots$と1の差が$\ddot0$ならば、10倍すれば差も$10\cdot\ddot0$になっていいと思います。
\T そうですか。あくまで$(0.999\cdots) < 1$であり、その差は、これ以上ないほど小さな値、でも0ではないと言うわけですね。
\F はい。
\T $1+(0.999\cdots)$はいくつですか?
\F $1.999\cdots$です。
\T では、$\{1+(0.999\cdots)\}/2 = (1.999\cdots)\div2$ですね。筆算で割れるはずなので、計算してみてください。
\F ええっと、$0.999\cdots$になります。
\T この答である$0.999\cdots$は、1に足した$0.999\cdots$と同じ値ですか?
\F 同じだと思います。
\T それなら、$(0.999\cdots) = x$とおくと$(1+x)/2 = x$ですから、$x = 1$ですよね。
\F それは、方程式ではそう見えるだけだと思います。$\{1+(0.999\cdots)\}/2$は、1に1より小さい数を足して2で割っているので、答が1より小さくなるのは当たり前ではありませんか?\hspace{1zw}$x = 1$というのは$(1+1)/2 = 1$のことなので、これもまた当たり前です。つまり、$\{1+(0.999\cdots)\}/2 = (0.999\cdots)$は$(1+1)/2 = 1$とは別の当たり前のことです。
\T なるほど。ところで$\{1+(0.999\cdots)\}/2$は1と$0.999\cdots$の平均を求める当たり前の計算ではないですか?
\F そうです。だから1と1より小さい数の平均が1より小さい値になるのは当然です。
\T しかし、異なる値$a$, $b$の平均は$a$と$b$のちょうど真ん中の値になるはずだから、平均値は$a$より大きく$b$より小さい数値のはずですね。そうすると$(0.999\cdots) < ^{平均値の}(0.999\cdots) < 1$ですね。
\F はい。
\T $0.999\cdots$がこれ以上ないほど1に近い数だとしたら、$0.999\cdots$と1の間に$0.999\cdots$があるのはおかしくありませんか?
\F \ldots。
\T $a$, $b$が同じ値なら平均値である$(a+b)/2$もまた同じ値なので、$a = (a+b)/2 = b$ですね。$0.999\cdots$が1だからこそ、$(0.999\cdots) = \{1+(0.999\cdots)\}/2 = 1$と言えるのではないですか?
\end{enumerate}
\end{document}