% 梅雨明けは地方ごとに違うのに...

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\section*{▼梅雨明けは地方ごとに違うのに$\dots$▼}

日本では、「梅雨入り」と「梅雨明け」の発表はかなりの関心をもって迎えられる。毎年、沖縄地方から梅雨入りが報告され、東北地方で梅雨明けが発表されるまで$3$ヶ月ほどの期間がある。東西方向と南北方向に長くのびる国土の特性を考えると当然だ。

似たようなものに「桜前線」がある。桜の開花が南から北へと徐々に移動していくのは、まさに国土の特性のなせる業である。とりわけ桜が注目を浴びるものだが、桜に限らず、多くの動植物は時季により地域により盛衰の幅があるものだ。

このように気候に左右されることがらは、地域ごとに多小のずれをともなっているものだ。なのに、なんで「残暑」だけは全国一斉に「立秋」から付きまとうんだ。

「残」という字は「残飯」「居残り」「無残」など、とかくマイナスのイメージに登場する。残暑もその例に漏れない。東京近郊の話をすれば、$7$月中--下旬にようやく梅雨が明けて、「さあ、これから盛夏だ」と思う間もなく、$8$月$8$日頃\footnote{「二十四節気」は太陽の黄経を$24$等分して定めたものである。カレンダーにある「春分」や「啓蟄」などがそれだ。これは天文学的な地球の位置に対して定まるので、うるう年等の理由で、正確な日にちが決まらないのだ。}に立秋が来た途端「残暑見舞い」が叫ばれる。この瞬間に盛夏という前向きの暑さが、「いつまで暑さが残ってんだよ」という後ろ向きの暑さに変わる。そして残暑は$9$月中旬まで$1$ヶ月以上も続くのだ。

学生にとっては$10$日ほどの盛夏の後、$1$ヶ月以上も残暑の中で夏休みを過ごさなくてはならない。おまけに、学年の中間休暇だからという理由で、宿題なるものが与えられることも多い。また、仕事をしている人が夏休みをとる場合は立秋後が多いので、わざわざ残暑の中で休暇をとるはめになる。これでは、とても夏を楽しむ気持ちになれない。それどころか、残暑の期間が長すぎて気が滅入ってしまう。もしかしたら、人格形成に悪影響をおよぼすかもしれないのだ。

私には$8$月末まで盛夏が続いているように思える。「残暑」を口にするなら、せめて$8$月$24$日頃に巡ってくる「処暑」まで待ってほしいものだ。そうすれば、盛夏$1$ヶ月に対して、残暑も半月程度になるだろう。

しかし理想を言うなら、「残暑」も「梅雨明け」同様に、地域ごとに基準を設けて発表してほしいものだ。

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