% それ以上でもそれ以下でもない
\documentclass[dvipdfmx]{jsarticle}
\pagestyle{myheadings}
\markright{tmt's Math Page}
\renewcommand\baselinestretch{1.33}
\usepackage{tikz}
\begin{document}
\section*{▼それ以上でもそれ以下でもない▼}
政治家とか著名人とかが会見で『○○については△△とします』みたいなことを言ったとしよう。こういう会見では、たいてい悪意ある人が紛れているもので、『本当にそれだけですか? そのことばには含みがあるんじゃないですか』なんて勘ぐりを入れるのが常だ。すると『言ったとおりです。\textbf{それ以上でもそれ以下でもありません}』などと返答して、正直に述べていることを強調したりするものだ。
しかし日常使うことばなんて曖昧なもので、数学みたいにきっちりと唯一の意味を表すことは稀(まれ)だ。この場合だって、悪意ある人が『
\newcommand\Remark{
\draw[dashed] (0, 0) rectangle (2, 3);
\draw[dashed] (0, 1.25) rectangle node{それ} (2, 1.75);
}
\begin{center}
\begin{tikzpicture}
\begin{scope}
\Remark
\draw[thick] (0.1, 1.35) rectangle node[above] {\textbf{それ以上でも}} (1.9, 2.9);
\end{scope}
%
\begin{scope}[shift={(3, 0)}]
\Remark
\draw[thick] (0.1, 0.1) rectangle node[below] {\textbf{それ以下でも}} (1.9, 1.65);
\end{scope}
%
\begin{scope}[shift={(6, 0)}]
\draw (0, 0) -- (0, 3);
\end{scope}
%
\begin{scope}[shift={(8, 1.5)}]
\node {\textbf{ない}};
\end{scope}
\end{tikzpicture}
\end{center}
ということは、何ももなくなっちゃいますよ。○○については何もしないんですか』などと無茶なことを言い出すかもしれない。
しかし、『それ以上でもそれ以下でもない』を好意的に解釈すれば『それ以上でもなくそれ以下でもない』と読み取れる。それなら
\begin{center}
\begin{tikzpicture}
\begin{scope}
\Remark
\draw[thick] (0.1, 0.1) rectangle node[below] {\textbf{それ以上でもなく}} (1.9, 1.15);
\end{scope}
%
\begin{scope}[shift={(3, 0)}]
\Remark
\draw[thick] (0.1, 1.85) rectangle node[above] {\textbf{それ以下でもない}} (1.9, 2.9);
\end{scope}
%
\begin{scope}[shift={(6, 0)}]
\draw (0, 0) -- (0, 3);
\end{scope}
%
\begin{scope}[shift={(7, 0)}]
\draw[dashed] (0, 1.25) rectangle node{それ} (2, 1.75);
\end{scope}
\end{tikzpicture}
\end{center}
ということだから、まさに「それ」についてだけ述べたことになる。
まあ日常使うことばなんて、時代や世代で多少の食い違いが生じるものだから、揚げ足をとるのはいかがなものですかね。
\end{document}