% コスパとタイパ

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\section*{▼コスパとタイパ▼}

コスパとタイパということばがある。言わずと知れたコストパフォーマンスとタイムパフォーマンスである。コスパは『費用あたりの成果』を、タイパは『時間あたりの成果』を比べるモノサシを意味する。

たとえば『A) $3$枚$100$円のクッキー』と『B) $10$枚$300$円のクッキー』ではBの方がコスパが良い。実際Bは『$100$円あたり$3.3$枚』のクッキーに相当するので、費用あたりの枚数がAよりも多い。もちろんクッキーの大きさは同じでなければならない。もっとも比較の仕方を一枚あたりにすれば『A) $33.3$円/一枚』『B) $30$円/一枚』で、Bが割安---すなわちコスパが良い---となる。

タイパについて言えば、たとえば何かの製品を『A) $1$時間で$5$個製造』するのと『B) $3$時間で$12$個製造』するのでは『B) $4$個/一時間』の方が非効率---すなわちタイパが悪い---となる。これも比較の仕方を一個あたりにしても同じ結論に至る。

誰しもコスパやタイパを良くしたいのはやまやまで、できるならコスパもタイパも良くしたいものだ。しかし多くの場合、コスパとタイパはトレードオフの関係にある。トレードオフとは、シーソーもしくは天秤棒のようなもので、一方を高くすると他方は必ず低くなるものを指す。よく『安くて良いもの』という言い方をするが、大抵は『安いものは質がよくなく』『質がよければ高くつく』ものだ。

ただし、何の視点で見るかは人それぞれなので、ある人にとってはコスパがよく見えても別の人にはそうでもないということはある。次の例はどうだろう。野球の試合はコスパは良がタイパは悪い、サッカーの試合はコスパは悪いがタイパは良い、というものだ。

得点について計算してみよう。たとえば観戦料が$5{,}000$円だったとして、野球が両チーム合わせて$5$得点なら『$5$点/五千円』だ。一方、サッカーが両チーム合わせて$1$得点なら『$1$点/五千円』だ。費用あたりの得点は野球の方が多い---つまり野球のコスパは良い、となる。

ボールの動きについて計算してみよう。試合時間は野球は$2$--$3$時間ほどだがサッカーは$2$時間弱だろうか。でも、一定時間の範囲でボールや選手が動いている時間はどうだろう。正確に計算できないが、野球ならその時間の$2$割ほどしかプレイしてないのではないか? サッカーならその時間のほとんど---たとえば$8$割以上---はプレイ時間だろう。これは『野) $2$割/一定時間』『サ) $8$割/一定時間』であり、時間あたりのボールの動きはサッカーの方が多い---つまりサッカーのタイパは良い、となる。

さて、あなたはどう思うだろう。おそらく賛同してくれないんじゃないかな。そんな費用や時間なんてことより、贔屓(ひいき)のチームが勝つか負けるかが大事なことに違いない。きっと、勝てばコスパもタイパも最高、負ければコスパもタイパも最低だと思うのでね。

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