% 超常識人の立ち位置

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\begin{document}

\section*{▼超常識人の立ち位置▼}

俗に言う
\begin{center}
\bfseries 馬鹿と天才は紙一重
\end{center}
とは、凡人から見た場合、当人の行為が凡人の常識から外れているため、馬鹿な行為なのか常識を超えた行為なのか区別がつけられないことを指す。決して、馬鹿が紙一枚ほどの壁を超えて天才になることを意味しない。なぜ凡人(常識人)は馬鹿(非・常識人)と天才(超・常識人)をはっきり区別できないのだろうか。

その理由は、数学でいうところの$3$次元的な空間認識が関係している。まず常識とは
\begin{center}
\bfseries ある人にとって普通のこと
\end{center}
であるから、ある人から見て普通じゃないことが非常識である。つまり、互いに異なる行為を持つ二人にとっては、お互いが相手を非常識な人間として見ることになる。要するに他人はほぼ非常識な人間なわけだが、似たような行為を持つ人たちのグループがあればグループ以外の人が非常識に見える。これが(世間的な)常識と呼ばれるものである。

\begin{center}
\begin{tikzpicture}
\draw[thick] (0, 0) circle (0.5) node[above] {常識グループ};
\draw[thick] (3, 0.7) circle (0.2) node[above] {非常識グループ};
\draw (0, 0) circle[x radius=4, y radius=1];
\draw (0, 1.5) node {$\uparrow$} (0, -1.5) node {$\downarrow$};
\end{tikzpicture}
\end{center}

すると、常識グループの周りに非常識グループがウヨウヨいるクラスターがあちこちに存在することになる。さて、ここで天才(超常識人)の登場である。彼・彼女らはどこにいるのだろう。それは$\uparrow$、$\downarrow$の方向である。

いま、これを読んでいる君たちには、常識グループの``左右方向''を非常識グループが取り囲み、超常識人は``上下方向''にいるように見えているだろう。でも私が言いたいのは上下左右という絶対的な方向ではなく、常識人から見える非常識人の方向と超常識人の方向が$90$\textdegree 違うこと、つまりそれらが\textbf{直交している}ということである。

非常識人と超常識人は見た目や行為では区別できないので、非常識人も超常識人も、常識人の周りを平面的に囲んでいるようにしか見えないはずだ。すなわち、凡人からはどっちも単に常識グループ外の者にしか見えないだろう。だから、この図は次のように見るべきかもしれない。

\begin{center}
\begin{tikzpicture}
\draw[thick] (0, 0) circle (0.5) node[above] {常識グループ};
\draw[thick] (2.75, -2) circle (0.2) node[above] {非常識グループ};
\draw (0, 0) circle[x radius=4, y radius=1, rotate=-45];
\draw (1, 1) node {$\nearrow$} (-1, -1) node {$\swarrow$};
\draw[dashed] (0, 0) circle[x radius=4, y radius=1, rotate=45];
\end{tikzpicture}
\end{center}

こんな状態だと、おそらく常識人の周りを回っているグループが非常識人か超常識人か区別できないだろう。人は$3$次元の認識はそれほど得意ではないのだ。そのため凡人には非常識人も超常識人も「俺たちとはズレてんな」としか思えない。しかし超常識人の立ち位置は、非常識人の立ち位置とは全く異なっているのである。

結局、常識人・非常識人・超常識人はそれぞれ空間的に異なる3方向を向いていることになるので、互いに互いを理解できない。だから、あなたが常識人・非常識人・超常識人のどれであろうとも、誰かを見て「ズレてんな」と思うのは当然のことなのである。ただし、あなたが常識人・非常識人・超常識人の誰であるかはわからないけれど。

\end{document}