% ○○あたりいくらの攻防

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\section*{▼○○あたりいくらの攻防▼}

電気製品などはその性能を良く見せるために、どれだけ有利なのかを述べた文言を並べるものである。たとえば省エネを強調する場合、電気代が一年間で最大○○円お得だとか、電気代は一日あたりわずか○円だとかである。どちらもよく目にすると思う。でも、なんで$2$通りの言い方があるの?

私の目にはいずれも不誠実に映る。「最大○○」という言い方は人を馬鹿にしているとしか思えないが、それを不問にしても計算の考え方が不適切である。

ちょっと具体的な数値をあげてみよう。たとえば冷蔵庫なら年中電気を流しているだろうから、比較的安定した電気料金になりやすい。ただ電気料金は、基本料と使用料の別があったり電気自体の価格変動があるので、あまり単純な計算で済ますのは気が引けるけど話を進めよう。

古い冷蔵庫の電気代は一ヶ月で$1{,}000$円かかっていたとして、新しい冷蔵庫はそれが$750$円で済むようになったとする。一年間では$250\times12 = 3{,}000$円もお得だ。また、一日あたりの電気代では$1{,}000\div30 = 33.3$円が$750\div30 = 25$円になった。こういうときは大抵
\begin{center}
\bfseries 一年で$3{,}000$円お得!
\end{center}
と宣伝するだろう。一日当たり$8.5$円お得!では、あんまり得したように思えないからだ。

でも、冷蔵庫ではなくヒーターみたいな時間単位で使用するものは、$1$時間あたり$15$円などと宣伝するものだ。時間単位で使用するからじゃないよ。だって、一日$6$時間、冬季の$3$ヶ月に限って使っても$15\times6\times90 = 8{,}100$円かかる。$24$時間つけっぱなしなら、一日で$15\times24 = 360$円だ。$1$時間あたりを前面に出すのもうなずけるというものだ。

じゃあ、冷蔵庫だって$1$時間あたりで計算すれば? 新しい冷蔵庫なら$1$時間あたり$1$円ちょいだ。これだったら家に$5$台は置けるぜ。

さて、ならばどういう考えで計算するのが適切なのだろう。それは、支払い方に準ずることだ。電気代は大抵一ヶ月ごとに支払う。だったら一ヶ月を単位に比較するべきだろう。新しい冷蔵庫なら、
\begin{center}
\bfseries 一ヶ月で$250$円お得!
\end{center}
だ。冷蔵庫は$10$年は使うから$10$年で$3$万円もお得!だとか、$1$時間あたりわずか$1$円!などは論外である。目くらましにあわないよう注意しないとね。

余談だが、買い物をしてポイントを得る機会は多いものだが、ポイントはどれほどお得なのだろうか。$100$円あたり$1$ポイント還元、$1$ポイント$1$円相当などと言っているが、そもそもポイントってお金か?

ポイントは純粋にお金ではないにしても十分お金に近いものだとするなら、ポイントを貯める行為は、お金を払ってお金を貯めていることになるだろう。お金を貯めるなら使わないことが一番じゃない? ポイントでしか交換できないものならポイントを貯める意義は十分あるけど、お金として使うならポイントではなく現金を貯める方がよくないかな。もしかしたら、ポイントで目くらましにあってないか?

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