% 3周しました

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\section*{▼3周しました▼}

数学やプログラミングの勉強に関して、『$3$周しました』とか『何周すればよいでしょうか?』などのつぶやきをたびたび目にする。すると私は『そういう勉強の仕方しかしてこなかったんだね。カワイソウニ』と思うものだ。

たしかに受験勉強などにおいては、『参考書や問題集を△周するのがよい』などという助言が溢れていて、実際そのようにして合格を勝ち取った人たちも多い。だからと言って、数学やプログラミングの勉強---とくにプログラミングの勉強---に役立つ助言ではない。そもそも``△周する勉強法''は限られた状況においてのみ効力がある。その状況とは
\begin{itemize}
\item 比較的少量の限られた範囲の勉強であること
\item 勉強したことが身についているのは短期間でよいこと
\end{itemize}
だと思われる。

この状況が特段当てはまるのは、学校の定期試験だろう。試験範囲は短く区切られているし、覚えたことを試験後に忘れても大きな問題ではないからだ。定期試験をもう少し広くとらえれば大学入試も似たようなものだから、△周する勉強法は効果的である。

で、勉強がそういうものだと思って学生時代を過ごしたなら、学校を卒業してから何かしらの勉強をすることになったとき、同じようにやることになる。資格試験などはそれでよいかもしれないけれど、そうでない場合はまるで役に立たない。

そもそも△周勉強法は、試験で点数を取るための効率重視の勉強法である。試験で点数を取るためには、解答用紙に``正解さえ''書ければよいのだ。正解を書くまでの経過なんてどうでもよい。だから極端なことを言えば、絶対にバレなければカンニングをしてもよいことになる。でも、バレたら困るので誰も不正はしないよね。そこで誰もが合法的に、バレずにカンニングする方法をしているのだ。それが
\begin{center}
\gt 丸暗記して、そのまま解答用紙に書く。
\end{center}
である。△周勉強法はそのためのものだ。同じ参考書なり問題集を何周もすれば、自然と(理解ではなく)暗記できてしまうものだからね。違う言い方で繰り返すよ。単に何周かするだけでは、理解ではなく暗記ができるだけだからね。

それで、あるとき数学やプログラミングの勉強を始めることになった場合、性懲りもなく書籍やネット上のサイトを使って△周勉強法をするハメになるのである。カワイソウニ。それだと、何も身につかないってのにさ。

何かを身につけたければ方法は一つしかない。繰り返し試みることである。それで初めて理解ができる。数学なら問題を解く際、例題を真似たり前に戻って調べたりして、試行錯誤を繰り返すのだ。もちろんうまくいかないことも多いが、諦めずに続けることだ。プログラミングならコードを書く際、サンプルコードを真似たり書籍やサイトで調べたりして、実行とエラーを繰り返すのだ。もちろん訳がわからないことも多いが、諦めずに続けることだ。

こういうのが本当の勉強ってやつなのに、知らないんだね。的外れなものを使って何周しても時間の無駄になるってことを\footnote{△周勉強法は、タイムパフォーマンスはよいがコストパフォーマンスはよくない。逆に、繰り返し試みる勉強法は、コストパフォーマンスはよいがタイムパフォーマンスはよくない。}。△周勉強法は``◯◯(資格、定期など)試験''に限り適用できるシロモノであるって肝に命じてほしいものである。

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