各日本語入力プログラムの特徴(BeOS,OS/2,超漢字,X68000,Solaris)

このページは、「BeOS R5」「OS/2 Warp 4」「超漢字 B-right/V R2」「Human68k(X68000)」「Solaris8」で動作する日本語入力プログラムの特徴を、リコーの太田純さん提供の文章と画面写真で紹介しています。

BeOS R5

アップルをスピンアウトしたジャン=ルイ・ガセー氏率いるBe,Inc.によって開発されたOS。マルチメディアに強く、OS内部の徹底したスレッド化によって軽く機敏な動作を実現し、開発元ではメディアOSと呼んでいた。当初はPPC603デュアル搭載の独自アーキテクチャー機BeBoxとしてハードウエアの形態で商品化されたが、その後PowerMac、Intelアーキテクチャーへと次々に移植され、R3からは単体のOSとして販売されるようになった。Unicodeベースだったため、フォントと日本語入力プログラムを用意すれば英語版でも比較的容易に日本語を扱うことができた。R4では日本語版も登場したが、OS市場の壁は厚く、R5でパーソナルエディションを無償で配布したのちにBeOSそのものは開発終了となってしまった。本家Webサイトも閉鎖されたが、現在でもBeBitsなどでOS本体や開発環境が入手可能。

BeOS R5の日本語入力プログラム

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BeOS R5の日本語入力プログラム
BeIM (Japanese)環境設定画面環境設定
BeIM (Japanese)変換画面変換画面
BeIM (Japanese)(00-06-26)
BeOSR5に標準で搭載されている日本語IM。開発はエルゴソフトであり、辞書サイズからみてEGBRIDGEのAI変換エンジンを採用していると思われるが、そのわりにはかしこくなく、ユーザーには不評だった。[辞書サイズ:3.5MB]
CannaIM 1.01環境設定画面環境設定
CannaIM 1.01変換画面変換画面
CannaIM 1.01(99-05-24)
BeOSR3では日本語TrueTypeフォントを入れれば日本語を表示することができたが、入力するにはCanna3.5β2ベースのkanBeというプログラムが使われていた。R3にはIMインターフェースがなかったため、実際の入力ではkanBeのウインドーでかな漢字変換を行い、クリップボード経由でアプリケーションに貼りこむ必要があった。CannaIMはこのkanBeをIMとして作りなおしたものだ。[辞書サイズ:0.6MB]
skkIM 1.1.3変換画面変換画面
skkIM 1.1.3(00-04-10)
形態素解析を行わない日本語入力プログラムskkのBeOS移植版。ソースパッケージとして配布されているので、gccベースのデベロップメントキットを利用してコンパイル・インストールする必要がある。[辞書サイズ:2.8MB]
EGBRIDGE9.0環境設定画面環境設定
EGBRIDGE9.0変換画面変換画面
EGBRIDGE9.0(00-07-12)
WindowsやMacOSに載るEGBRIDGE9.0のBeOS移植版。変換パレットは画面写真のEGBRIDGEスタイルのほかにBeIMに近い雰囲気をもったBeOSスタイルも選択できる。BeOS R5のプロフェッショナル版に付属するほか、単体でも販売されていた。[辞書サイズ:7.1MB]

OS/2 Warp 4

マイクロソフトはMS-DOSの後継OSとしてIBMと共同でOS/2を開発していた。OS/2と独立に開発を進めていたGUI OSであるWindowsの成功もあり、マイクロソフトはWindows3.0のころにIBMと訣別した。その後は初期Windowsの系統であるWindows95とOS/2の技術をベースにしたWindowsNTの両面でOS開発を進めていくことになる。マイクロソフトと別れたIBMは独自にOS/2の改良を進め、2.0ではOS本体を32ビット化してPM(プレゼンテーションマネージャー)を搭載し、その後GUIが32ビット化されたWarp3、PnP対応のWarp4をリリースする。残念ながら4.5xで開発は中止され、今後のサポート終了もすでにアナウンスされている。

OS/2 Warp 4の日本語入力プログラム

OS/2 Warp 4の日本語入力プログラム
WritingHeads/IM32環境設定画面環境設定
WritingHeads/IM32変換画面変換画面
WritingHeads/IM32(96-10-11)
IBM純正の日本語入力プログラムであるWritingHeadsの32ビット版。16ビット版はWindows3.1用のIMEとしても販売されていた。当時としてはわりと強力なカスタマイズ機能をもち、スタイルとして「ネイティブ」のほかにATOK風の「サンプルA」とVJE風の「サンプルV」が標準で提供されている。[辞書サイズ:1.6MB]

超漢字 B-right/V R2

パーソナルメディアは松下電器によるBTRON3仕様の16ビットOS、ET-MasterをAT互換機に移植して1B/Vとして販売していた(昔から変わったものを扱うのが好きだったのだ、この会社は:-)。後期の3B/VではJIS補助漢字を含むCJK漢字を扱うことができたが、これに「今昔文字鏡」の9万字フォントを搭載し、さまざまな漢字を扱える「超漢字」としてリリースした。その後、今昔文字鏡の進化に合わせて扱える漢字を増やし、またPnPOSとして対応パーツや周辺機器を増やしながら超漢字2、超漢字3、超漢字4と進化を続けている。

超漢字 B-right/V R2の日本語入力プログラム

超漢字 B-right/V R2の日本語入力プログラム
VJE-Delta 2.5環境設定画面環境設定
VJE-Delta 2.5変換画面変換画面
VJE-Delta 2.5(1999ごろ?)
超漢字には専用版のVJE-Delta2.5が付属する。バックスはVJE-Delta2.0のころからUnicodeやWindowsNTの拡張漢字仕様であるXKPに対応しており、TRONコードへの順応性も高かったはず。超漢字というOSは低レベルの構成要素をユーザーに見せないため、ドライバーの日付や辞書サイズは不明。

Human68k

シャープが販売していたモトローラMC680x0ベースの16ビットPCであるX68000シリーズに付属するOS。開発したのはシステム系に強い北海道のハドソンで、MS-DOSを拡張したような見かけと操作性をもつ。日本語入力プログラムとしては、純正のASK68KのほかにシティソフトからFIXER4が販売されていた。X68000はGUIベースのシステムでもあり、Human68kのGUIシェルであるシャープ純正のSX-Window、ユーザーコミュニティーによって開発されたコンソールターミナルベースのKo-Windowという2つのウインドーシステムが広く使われていた。シャープは現在X68000のBIOSROMおよびHuman68k、SX-Windowのシステムファイルを無償で公開しており、各種OS上のエミュレーターで利用できる。

Human68kの日本語入力プログラム

Human68kの日本語入力プログラム
ASK68K 3.02変換画面変換画面
ASK68K 3.02(94-05-07)
Human68kに標準で付属する日本語入力FEP。機能と操作性のいずれもMS-DOSのFEPと同じレベルにある。開発元はアクセスで、同社が現在販売している組み込み用途のWebブラウザーNetFrontにもASKかな漢字変換モジュールが組み込まれている。[辞書サイズ:0.6MB]

Solaris8

SolarisはSunワークステーションのOSプラスGUI環境の総称で、OSコアの部分はSunOSと呼ばれるSVR4ベースのUNIXだ。GUI環境はOpenWindowsとCDE(共通デスクトップ環境)の2本立て(いずれもX11ベース)だが、今後はCDEに1本化される。SolarisにはSun純正のSPARCアーキテクチャーに対応するSPARC版のほかにPC/AT互換機対応のIntel版がある。Solaris8には標準でcs00、ATOK8、ATOK12、Wnn6という4種類の仮名漢字変換サーバーが付属する。

現在のX11アプリケーションはXimpというプロトコルを介して変換サーバーと通信し日本語入力を行うのが一般的だ。Solarisではhttと呼ばれる入力サーバーが用意され、アプリケーションと変換サーバーの仲介を行っている。httはアプリケーションに対してはXimpをしゃべるが、変換サーバーとは製品ごとに異なるプロトコルで通信する。たとえばcs00とはXciで話し、Wnn6とはXjsiで話すという具合だ。ATOK12はX11環境に依存しないIIIMPという次世代プロトコルを用いる。ATOK8は例外で、変換サーバーが直接Ximpをしゃべるので、ATOK8に限りhttによる仲介は必要ない。なお、httは「樋浦が徹夜で作りました」の頭字語で、OS屋でSunの名物男でもある樋浦秀樹氏の名前に由来する。

Solaris8の日本語入力プログラム

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Solaris8の日本語入力プログラム
cs00環境設定画面環境設定
cs00変換画面変換画面
cs00(1999-12-08)
Sun純正の仮名漢字変換サーバー。Ctrl+Wで変換、Ctrl+Kで確定という操作体系はWindowsやMacのユーザーにはなじみにくい。変換精度にも見るべきものはなく、サードパーティー製品が標準で付属する現在となってはわざわざ選ぶ理由はほとんどない。[辞書サイズ: 0.4MB]
ATOK8環境設定画面環境設定
ATOK8変換画面変換画面
ATOK8(1999-12-08)
Solaris2.1以降にはATOK7、2.5以降にはATOK8が付属する。WindowsやMacではもはや過去のものだが、とにもかくにもAI変換を採用した製品であり、Solarisでは広く使われていたようだ。Solaris8でATOK12に世代交代し、その役目を終えた。[辞書サイズ: 2.7MB]
ATOK12環境設定画面環境設定
ATOK12変換画面変換画面
ATOK12(1999-12-02)
Solaris8から付属するようになった新しいATOK。操作パレットや候補一覧表示を含め、WindowsやMacに遜色のない操作性を実現している。他のOSではより新しいバージョンのATOKも出ているが、変換エンジンの骨格はATOK12以降大きな変更はなさそうだ。[辞書サイズ:8.9MB]
Wnn6環境設定画面環境設定
Wnn6変換画面変換画面
Wnn6(1999-09-10)
Wnnは京都大学、立石電機(現オムロン)、アステックが産学協同で開発してフリーソフトウェアとして配布し、UNIX上の標準となった日本語入力プログラムだ。Wnn6はAI変換を搭載した商品版のWnnであり、オムロンソフトウェアが開発を担当している。Solarisには2.5以降で付属するようになった。収録単語は岩波書店の辞書に基づく。[辞書サイズ:3.3MB]

作成日:2002年 12月 31日 火曜日