このページは、Windows3.1上で動作した日本語入力プログラムの特徴を、リコーの太田さん提供の文章と画面写真で紹介しています。
マイクロソフトは8086の時代にWindowsの開発を始めたが、Windows1.0は640KBの制約でほとんど実用にならず、80286に対応したWindows2.0もCPUのメモリー管理機構が不完全だったため実用性に難があり、それほど普及していない。Windowsが実用になったのは完全な仮想メモリー管理機構をもつ80386の登場以降であり、Windows3.1で本格的な普及が始まった。日本語版Windowsでも標準でIMEが付属するのはWindows3.1からだ。
しかし、Windows3.1は完全なマルチタスクOSではない。複数のアプリケーションを同時に動かすためには、各アプリケーションが自分に割り当てられたCPU時間を使い切ったときに自分自身でOSに制御を返す必要があった。アプリケーションがCPUを抱えて異常終了するとOSごと落ちてしまう。WindowsがマルチタスクOSとして完成するのはWindows95以降のことだ。
環境設定 変換画面 WX2−Winかな漢字変換 (91-10-14) Windows3.0に対応したエー・アイ・ソフトのIME。ファンクションガイドや候補一覧はDOS版のWXII+とほぼ同じものが画面最下行に表示されていた。 |
環境設定 変換画面 Katana(刀)/WIN Ver 4.00 (92-03-01) Windows3.0Aに対応したサムシンググッドのIME。これより前にWindows3.0に対応したKatana3.5があった。ファンクションガイドや候補一覧はWX2-Winなどと同様にDOS版とほぼ同じものが画面最下行に表示されていた。 |
環境設定 変換画面 日本語 FEP KAREN (内部テスト版 03) (92-10-05) 富士ソフトウエアがデータ管理ソフトSuper Folderに添付して販売しようと開発していたWindows3.0A用IME。画面はβテスト版で、実際に販売されたかどうかは不明。 |
環境設定 変換画面 VJE−γ V1.20 (92-10-13) バックスが販売するVJEシリーズのWindows3.0A対応版。Windows3.0対応のV1.00はすでに91-05-31に登場している。当初から候補一覧をウインドー形式で表示でき、またマウスで文節や挿入ポイントを変更できるなど、操作性では最も進んでいた。 |
環境設定 変換画面 MS IME (93-05-01) Windows3.1に標準搭載されたマイクロソフト純正のIME。Windows3.0や3.0AにはIMEが標準搭載されておらず、「MS-KANJIインターフェースかな漢字変換」と呼ばれるブリッジを経由して、MS-KANJI APIに対応したDOS版のFEPを利用して日本語入力を行っていた。当時はこのようなIMEを「デバイス型IME」、MS IMEのようにWindowsアプリケーションとして書かれたIMEを「プロセス型IME」と呼んでいた。 |
環境設定 変換画面 NEC-AIかな漢字変換 (93-05-10) NEC版Windows3.1に搭載されていたNEC純正のIME。ファンクションガイドや候補一覧はDOS版と同じものが画面最下行に表示されていた。 |
環境設定 変換画面 日本語入力アプリケーション《E1Win3.1》 (93-06-28) イーストが単体販売していたWindows3.1用IME。これより前にWindows3.0に対応したE1Winも販売されていた。 |
環境設定 変換画面 OAK/Win (93-07-20) 富士通の日本語ワープロWindows版OASYSに付属していたIME。操作設計は単文節変換をむりやり拡張したもので、候補一覧を表示する機能が用意されていない、変換操作後に「取消」キーを押してからでないと文節選択の操作が行えないなど不便きわまるものだった。 |
環境設定 変換画面 WPIME version 1.1 (93-10-11) Windows版のWordPerfect5.1Jに付属していたIME。WPFEPと同じくDOS版のEGBridgeをソースごとOEMして独自に改造およびWindows対応を行ったものらしい。 |
環境設定 変換画面 日本語変換システム ATOK8 for MS-Windows (93-11-08) 初めてWindowsに対応したジャストシステムのWindows3.1用IME。DOS版のATOK8から半年遅れで登場した。AI変換を採用したWindows初のIMEでもある。このころすでに他社製品のほとんどは候補一覧をウインドー表示するようになっていたが、ATOK8はまだ画面最下行に表示していた。ウインドー表示を採用するのはATOK9からだ。 |
環境設定 変換画面 Writing Heads V1.0 (94-01-25) Windows3.1に対応した日本IBMのIME。WindowsアプリケーションでありながらMS-DOSプロンプトでも利用できる初めての製品だった。それにしても何ともピンとこない製品名ではある。 |
環境設定 変換画面 DFJ2/WIN Version 1.50 (94-06-12) Windows3.1に対応したデービーソフトのIME。タイトルバーにモード表示ボタンを配置できたり、“フラッピー”(デービーソフトがMS-DOS時代に販売していたゲームのキャラクター)をマウスカーソルにできたりするなど、やや異色の製品だった。 |
環境設定 変換画面 MS-IME2 日本語入力システム (94-07-26) MS IMEの改良版であり、MS-Officeに付属していた。さまざまな文字種文字幅の候補が表示されるなど、当初のMS IMEと比較すると使いやすくなっていた。候補一覧を画面最下行に表示することもできた。 |
環境設定 変換画面 ERGO SOFT EGBRIDGE V6.0 (94-10-07) Windows3.1に対応したエルゴソフトのIME。エルゴソフトは当時すでにMacintosh版のEGBRIDGEを販売しており、Windows版もGUI設計はすぐれていた。候補一覧表示には他社製品とは一風違った味がある。 |
環境設定 変換画面 VJE-Delta Ver1.1 (94-11-10) Windows3.1に対応したバックスのIME。 ATOK8に1年遅れでようやくAI変換を実現した。Writing Headsと同様にMS-DOSプロンプトで利用できた。 |
環境設定 変換画面 WX3 for Windows Ver.3.00 (95-01-27) AI変換を搭載したエー・アイ・ソフトのWindows3.1用IME。VJE-DeltaもそうだがWX3もボタンのデザインはひどい。こういうところにももっとお金をかけてほしかった。 |
環境設定 変換画面 エルゴソフトEGBRIDGE Ver. 7.0 (95-07-15) AI変換を搭載したEGBRIDGE6.0の後継製品。変換画面や環境設定はEGBRIDGE6.0とほとんど同じ。EGBRIDGEのお家芸で500文字一括入力変換が可能だが、100文字を超える入力を受け取ると異常終了するアプリケーションが続出したため、このバージョンから入力文字数の上限を設定できるようになった。 |
作成日:2002年 11月 3日 (日) 更新日:2002年 12月 31日 火曜日