各日本語入力プログラムの特徴(過去)(制作中。暫定版)
このページは、現在は開発やサポートが休止状態ではあるものの、過去に使われてきた日本語入力プログラムを紹介しています。それぞれにリコーの太田純さんのコメントを付けました。いろいろな種類があることに、よりよい日本語入力を求めた先人たちの情熱が垣間見えるのではないでしょうか。
なお、現行/過去の区分は、現在でも開発またはサポートが続いているということを目安に分けました。
目次
DFJ (デジタルファーム)/DFJ2 (デービーソフト)
太田さんの「ここがポイント」
- DFJはデービーソフトとBUGの共同出資によるソフト開発会社デジタルファームで作られたもので、デービーソフトのワープロ「p1.EXE」に搭載されていた。DFJ2はデービーソフトの開発で、p1.EXEの後継者にあたるワープロ「ARUGA」に搭載されていた。
- BUGはISDNルーターMN128の開発元として有名であり、上記各社はハドソンなどとともに「サッポロバレー」文化を作っていた。fjに出没している某滝川さんは当時BUGにいた。
- DFJとDFJ2は内部構造がだいぶ違う。基本的なリソースは継承されているだろうがまったくの別開発という印象。
- DFJはシンプルな作りで派手なところがどこにもなかったが、理科系の文章に強いという風評もあり、わりと好評だった。ただしデバイスドライバーとしての出来はやや不十分であり、環境によってはうまく動かないことがあった。
- DFJ2はプログラムとしての完成度も高くカスタマイズ機能も充実していたが。
E1 (イースト)
太田さんの「ここがポイント」
- いちおうFEPとして製品化され販売されていたが、どちらかというとアプリケーション組み込み用途で販売するためのデモ製品的な位置づけだったらしい。ソース込みでライセンス販売するという広告が当時の技術系雑誌にたまに載っていた。
- 操作性も見かけもシンプル、というか付加機能がほとんどない。変換辞書はおまけ程度の粗雑なものがついていた。
FIXER (シティソフト)
太田さんの「ここがポイント」
- ワープロ「テラ」の日本語入力部をFEP化したのが始まり。テラは日立B16のMS-DOS版などもあり、PC-9801以外への移植にわりと積極的だったという印象がある。FIXERはシャープX68000版もあったはず。
- わりと初期のころからAI変換を標榜していたが、用例辞書をもっていないので文法レベルの処理だけだったのではないかと思う。
- 入力文字のうち濁点半濁点が独立の文字として表示されるとか、変換キーを押すといっぺんに最終結果が表示されるのではなく、先頭文節のみ変換された結果、次の文節まで変換された結果のようにつるつると表示が更新されるなど、ユーザーインターフェースにはわりとクセがあった。
- FIXERを開発した深水さん(ずいぶん若かったはず)はオタクハッカーの典型みたいな人のようで、アセンブラーでごりごり書いた変換カーネルがいっぱつで動いたという逸話(だか噂だか)が当時あった。
- Windows対応の製品は出なかった。最後まで2万8千円という価格を下げなかった。
Katana (サムシンググッド)
太田さんの「ここがポイント」
- カード型データベース「Ninja」に付属していた。もともとはワープロ「即戦力」の日本語入力機能から出発したらしい(?)
- 大塚商会のワープロ「オーロラエース」にOEM採用されていた。そちらでの名称はACE。
- 短縮入力機能が豊富だったこと、送り仮名基準で省略を選ぶと送り仮名全省略(「申込」のような)が可能だったことなど、データ入力指向の製品だった。
- カナキーで日本語入力のオン・オフが可能。
- Windows95対応の32ビット版Katanaも開発されていたらしい(アスキー社内にベータ版があったらしい。サムシンググッドはアスキー傘下に入りアスキーサムシンググッドとなっていた)が製品化はされなかった。
MGR2/JJ (リードレックス)
太田さんの「ここがポイント」
- MGR2はワープロ「弘法II」に付属していた。前バージョンのMGRは辞書をROMで搭載したPC-9801用Cバス辞書ボードをもつ製品として有名だった。JJはMGR2の後継
製品でデータ管理ソフト「F1データボックス」に付属していた。
- 性能的にも機能的にもあまり特徴はなかった。
NEC AI(NEC)
制作中
おてもと (言語工学研究所)
太田さんの「ここがポイント」
- 言語工学研究所は管理工学研究所でワープロ「松」を作っていた人がスピンアウトして作った会社らしい。
- OEMで亀島産業(現AIロジック)のエキスパートシステムに搭載されていたほかは製品化状況不明。
- 操作性は松茸にわりとよく似ていた。
sj3
太田さんの「ここがポイント」
- ソニーが開発したかな漢字変換プログラム。
- ソニーが開発・販売していた4BSDベースのUNIX WSであるNEWSに標準搭載するために開発された。
- ttyベースのクライアントsj3はuumやcanuumと違ってインライン変換(カーソル位置での変換)が可能。
「太田さんの『ここがポイント』」は、太田純さんがネットニュースに投稿された記事を、ご厚意により使わせていただきました。使用した記事は以下のとおりです。
なお、太田純さんから、「間違いがあったらそれは太田の責任」と記載しておくよう、お申し出がありました(「太田さんの『ここがポイント』」以外は阿部が執筆していますので、太田さんの責任ではありません)。
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作成日:2002年 8月 20日 (火) 更新日:2002年 11月 4日 (月)