「Weekly Needs」1997.12.4号(Vol.3 No.44)

「まち」から「仮設」へ。「仮設」から「まち」へ。

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ふるさとへの想い

〜ふきのとう だより〜

 また、寒い冬がやってきました。年が明けると地震から3年ですね。皆さんいかがお過ごしですか。

 震災で奈良に移った人の会『ふきのとう』は活動を続け、現在110世帯に会報を送り、毎月1回《つどい》として茶話会を開いています。この《つどい》は人気で、毎月25〜35名も集まり、ふるさとの話に花が咲くんですよ。いつも明るくワイワイ ガヤガヤ、ときには誰かの「海が見たいね」「いつ帰れるんやろ」の一言でしんみりしたり、皆にとってこの日ばかりは気をつかわずに地震の話が出来る日でもあります。《被災地を離れた人は余裕のある人》というイメージがあるかもしれませんが、仮設住宅に何度申し込んでも当たらず親せき等をたよってやむなく離れた人、帰りたい一心でもままならない人が、今でも数多くいるのです。

 さて、『ふきのとう』にとって 今年もいろんな事がありました。ふるさとへ帰れた方からのたよりも届きます。長田区へも、今年2世帯がもどられました。
(おーい、遠藤さん、山田さん、お元気ですか?)
「マーケットに買い物に行っても〈久しぶりやね、元気?〉と声をかけてもらえてうれしい」
「やっと、夜に眠れるようになりました」等々、うれしそうな声。
奈良に残る者にとって、親しくなった人が先にふるさとに帰るのは、さみしい事でもあるのですが、やっぱり、うれしい。
一人一人が元気になってゆく事が一番です。

 もうひとつ長田のご縁で、今年うれしい事がありました。6月の事ですが、長田区で『黒田征太郎が描く8日間ライブ』と題した イベントが開かれましたよね。その時、長田区の谷口さんご夫婦が黒田さんに頼んでくださり、『ふきのとう』のポスターが出来上がりました。イベント期間中、たくさんの黒田さんのポスターが長田区を彩ったと聞いています。このプレゼントは本当にうれしかった!!
(谷口さん、本当にありがとう!)

 被災地内にいる人は、外に出ても帰りたい一心で過ごす人のいることを、そして被災地外にいる人は、まだまだ復興の進まないふるさとの状態を、お互いに忘れずにいたいものです。

 暖冬とはいえ、これから寒さが厳しくなります。
皆さま、どうぞお身体を大切に、新しい年をお迎え下さいますよう。

(震災で奈良に移った人の会『ふきのとう』代表: 米川 広子)


インフォメーション


◆保健所の健康相談◆
 病気は、予防・早期発見が大事です。不安なことはどんどん聞いてみましょう。
【毎週 火曜日】
  ■成人・老人 健康相談 午前9時30分〜11時
  ■成人 栄養相談    午前9時30分〜11時
  ■血液検査       午前9時〜11時
【毎週 水曜日】
  ■精神保健相談     午前9時30分〜11時30分
【問】長田保健所:078−579−2311

◆長田こころのケアセンター◆
 イライラしてませんか。さびしくないですか。
こころと身体の問題について電話で相談をうけます。
【電話】078−579−2600
【時間】月〜金 午前9時〜12時 祝日は休み

◆大腸ガン検診◆
 40才をすぎたら大腸ガン検診を受けましょう。痛くありません。
【申し込み】生年月日を書いて、400円切手を同封して下記まで送ってください。
 65才以上の人はハガキで申し込んでください(切手はいりません)。
【送り先】兵庫県 予防医学協会
 〒658 神戸市東灘区御影本町4-4-20
【しめ切り】1998年(平成10年)1月31日(土)
【問】健康増進課:078−322−5257


「再建」は、これからなのに


 もうすぐ震災から3年目です。実はこの3年目で、「震災特例」として緩和されていたり認められていた諸制度のいくつかが、「期限切れ」になります。

 3年・5年という「期間」はひとつのメド・区切りとしてよく使われる訳ですが、それはあくまで「メド」であって、3年経ったから「ハイ無事解決」というわけではないでしょう。そこには「見直し」や「検討」があるべきなのですが……。

 聞くところによると、神戸も東の地区では住宅の再建率は100パーセントを越えているらしいですが、長田を含めた西の方はまだ50パーセントに満たないそうです。それには様々な理由があげられるでしょうが、ともかく「住宅の再建」も「まちの再建」もまだまだこれからといえます。

 この3年、多くの支援制度や補助制度が作られてきました。その中には残念ながら「あんまり役に立たなかったもの」もありました。また、「時期尚早」といえるものもありました。まだまだ多くの方々が困難な状況にある今、4年目から何が必要かを、行政をはじめとした関係各所の方々に今一度真剣に検討していただかなくてはならないでしょう。

 得もすれば神戸の中でさえ「風化」しつつある「震災後の現実」。しかし、被災地の本当の意味での「復興」の正念場はこれからと言えるのではないでしょうか。
 震災から2度目の寒い季節が訪れました。粘り強く(でも身体をこわさずに)、「声」をあげていきましょう。

(小野 幸一郎)

 

FMわぃわぃ
77・8MHz


みんなの伝言板


 みなさんの「声」と「声」をつなぐコーナー。「ゆずります」「求めます」「集まってください」などなど、多くの人に呼びかけたいことがあったら、ぜひ連絡をください。
 (電話・FAX・郵便で「すたあと長田」までご連絡ください)

★共同作業所『くららべーかりー』再建のための募金のお願い★
 障害者の集う共同作業所『くららべーかりー』は、新長田地区の山吉市場内でパンを焼き続けています。
 ところが区画整理が進む中で、市場が取り壊されることになり、私たちは立ち退かねばならなくなりました。
しかし『くららべーかりー』は再建しなければならないのです。障害をもつ仲間たちはみな『くららべーかりー』を生きる場として励んでいるのです。
 半年間走り回って新しい土地を見つけました。土地を購入し建物を建てます。しかし、資金の準備はありません。当面、資金をお借りして再建します。そしてお借りした資金の返済のために、皆様方に募金のお願いをいたします。
 誠に勝手な申し出でございますが、募金活動にご協力賜りますようにお願い申しあげます。
共同作業所『くららべーかりー』再建委員会
  代表 石倉 泰三

《共同作業所『くららべーかりー』再建募金》
◇送金先◇
・〒653 神戸市長田区明泉寺町1-6-5 石倉 方
    くららべーかりー再建委員会
・郵便振替 口座番号 01180−6−10050
          (加入者名  石倉 泰三)


あきちゃんかんちゃん、街へ出る 第34回


あき:
えー、もう12月!“まだ更地のところ、まだ仮設に入っている人たち、どうしてくれるの!”と叫びたいわ。震災のこと忘れてる人も多くなってきたし……。
かん:
時間がかかるんだね。しんぼう強く、ねばりの気持ちで、精一杯、前を向いて歩こうよ。
あき:
日々の生活の中で、なにか、ひとつでも、げんきの素をみつけることかしら。
かん:
助けあうのは、まちのひとだから、町にでかけ、人のいる場所に行ってみることかなー。銭湯、市場、公園、高取山、寒いけど、そとに出てみようよ。
あき:
先週、駒林中学校で《くつっ子まつり》があったでしょ。今年で5回目、一番多い人出だったわ。大勢の人といっしょに、わたしもお気に入りの靴が買えて幸せ……。
かん:
くつのメーカーの方も“景気づけに、安くしたよ”と言っていたね。運を自分たちでつかもうよ!

※日刊の新聞10月28日によれば、ケミカルシューズの生産額は震災前の約半分。それでも、くつっ子まつりでは懸命にがんばる姿がみられた。

(和田 幹司)

▲「靴がいっぱい、人もいっぱいの
《くつっ子まつり》
次回も楽しみだわ」(あき)


この「ウィークリーニーズ」は以下の皆様の協力により配られています


◎新聞販売店様のご協力で長田区内に折り込み戸別配布
  ・神戸新聞 板宿北専売 ・毎日新聞 丸山販売
  ・毎日新聞 長田南販売 ・読売新聞 新長田IC
  ・読売新聞 丸山IC  ・読売新聞 御蔵IC

◎地元ボランティア団体・個人の協力により、
 各地区(市内広域・姫路など)の仮設住宅に配布
▽姫路「心のケア」ネットワーク:玉手・新白浜(姫路市)
▽鹿の子台ボランティア連絡会:鹿の子台第1〜8(北区)
▽有野台ボランティア:有野台第1〜3・五社・東有野台・有馬(北区)
▽神戸女子大学ボランティア活動本部:桜木町(須磨区)
▽北須磨ボランティア:西落合1〜2・名谷2(須磨区)
▽春風会・ひまわりの会:長田区内各仮設
▽兵庫商会:南落合第1〜3(須磨区)
▽阪神高齢者・障害者支援ネットワーク:西神第7(西区)

◎すたあとスタッフによる配達(仮設住宅・店舗など)
長田区内各仮設および店舗等・東白川台(須磨区)・学園東町第5(西区)・
星和台南ほか(北区)

◎コープこうべ様のご協力で店頭に据え置き
▽コープミニ ポートアイランド店
▽コープミニ 鹿の子台店


今号の制作スタッフ


編集長:     小野 幸一郎
副編集長:    吉田 信昭
タイトル:    吉田 信昭
見出し・イラスト:家田慈子・橋本吏賀
ワープロ入力:  横田ゆり・和田幹司

 「すたあと長田」は、いかなる政治・宗教団体ともつながりを持たず、また、どのような営利団体とも特別なつながりは無く、ボランティアスタッフにより全くの自主管理で運営しています。
 みなさんのお役に立てればと、情報発信活動として「ウィークリーニーズ」を無料発行しております。
 「ウィークリーニーズ」に対するご意見やご感想を、すたあと長田にお寄せ下さると嬉しく思います。これからの紙面作りに役立てたいと考えています。



numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp