==枕木(まくらぎ)や赤れんがのこり、運河(うんが)がある町==
しんさいのあと、たくさんのものがあたらしくなってゆく、わたしたちの町なんだけれど、木のやわらかさや水のながれを見つめる時間も、あわただしい毎日のなかで、たいせつにしたいものだ。
ひょうご運河に行ってみよう。菅原市場から、JRの南、梅ヶ香町1丁目、増田製粉の正門のあたりを東におれると、赤れんがのへいのある道にでる。
すこし歩けば、もう運河の支流だ。材木もぷかぷかういている。さんぽしている犬のあとをついてゆくとふみきりにでる。
和田岬線がとおっている。まくらぎで出来たへいもある。なんとも、ふしぎな風景なのだ。もとにもどり、市バスの道を海のほうへ、さらに歩いてみる。
左に寄り道して、川崎車両もおもしろいのだが、やめにして、たかまつ橋まで10分ほど歩くと、運河をひらいた八尾善四郎の像がたつ貯木場にでる。
明治に、この運河が出来たおかげで、長田にいっぱい会社がきてくれたという。時間のかかる、わたしたちの今回の復興であるが、つぎの世代のひとたちに、なにが残せるのだろう。
それは、ものではなく、残るのは、きっと、人の心だろう。
(和田 幹司)
空き地のへいになった枕木 よこを 日に数本の 通勤の列車が走ってゆく あぶらを十分すって 枕木さんよ 地震のあとも |
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▲梅ヶ香町1丁目辺りの 枕木でできた塀 |
[2](2)シルバー住宅・コレクテイブ住宅(前号の続き)
仮設あるいは地域には虚弱な老人が多く、単なる公営住宅への入居では孤独死が心配される。一方、福祉施設は非常に不足している。こうした状況を考慮して、公営住宅の約2割にシルバーハウジングが採用されることとなった。神戸市で約2000戸が建設される。新規では長田区には4カ所、計139戸できる。
(→東尻池第2・西尻池・浜添・片山:下記の表を参照)
シルバー住宅とは、
所在 | 名称 | 完成時期 | 戸数 | 備考 | |
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須磨区 | 既着工 | 松風第3 | 1996. 7 | 44戸 | 特養ホーム併設(後述) |
新規 | 松風第4 | 1997. 7 | 46戸 | ||
新規 | 白川台 | 1997.12 | 27戸 | 一般住宅あり | |
長田区 | 既整備 | 長田北第2 | 1992. | 38戸 | 特養ホーム併設 |
新規 | 東尻池第2 | 1997. 9 | 20戸 | D型デイ併設(後述) | |
新規 | 浜添(コレクティブ型) | 1998. 3 | 21戸 | 一般住宅8戸あり | |
新規 | 片山(コレクティブ型) | 1997. 3 | 6戸 | ||
新規 | 西尻池 | 1998. 7 | 92戸 | 一般住宅あり |
21世紀の超高齢化社会への対応としても歓迎されるが、被災地シルバー住宅は大きな課題をもっている。
@介護などのケアは付いていない
別にヘルパーさんを頼む必要がある。また寝たきりになった場合、介護ができる家族がいないと、住宅を退去しなければならない。
Aソフト体制の見直しが必須
入居希望者は「見守ってほしい」後期高齢者(75歳以上)が中心である。中でも虚弱老人は「閉じこもり」がちであり、そのままではねたきり・痴呆への道を急いでしまうことになる。被災地のシルバー住宅は一層「ふれあい」と「ケア」が求められるわけだが、現状の《ソフト》=《生活支援員による「見守り」システム》では、「閉じこもり」を防止できない。生活支援員と協力して地域でも支えていこう。
コレクテイブ住宅は「(老若)複数世帯の協同居住」である。長田区には2カ所、計35戸できる(浜添29・片山6)。
「真野(浜添)ふれあい住宅」は、高齢者21戸と一般8戸の老若世帯構成であり、より助け合いが期待できる。1階にある協同室は床暖房で快適だ。ここで雑談したりお茶を飲んだり、たまには気のあったもの同士で料理を作り楽しく食事もできる。一般の公営住宅と違い、通路は南側に広くとってあり、花壇やテーブルも置かれる。北側(裏側)はバルコニーで区切られず通路になっているが、2軒ごとに各住居を分けた通路とつながっており、まるで路地のようだ。玄関の引き戸を閉めて自分の部屋にこもっても、裏側の通路から「どないしたん。」と声をかけてくれる。下町長屋のごとく自然と、住民がふれあい助け合えるつくりになっている。
人の孤立を防ぎ「ふれあい」と「自治」を育てていくのがコレクテイブ住宅であるが、21世紀は超高齢化だけでなく、シングル化(一人暮らし)が進む。公営の実験住宅ができる意義は大きいが、初めての試みである。地元のみんなで支えていこう。
(つづく)
(神戸協同病院院長:上田 耕蔵)
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