「Weekly Needs」1997.6.12号(Vol.3 No.32)

「まち」から「仮設」へ。「仮設」から「まち」へ。

前号へVol.3目次次号へ


長田区の福祉のまちづくり(1)


 1995年(平成7年)国勢調査(総務庁)では神戸市の高齢化率(65歳人口比率)は13.5%に対して、長田区の高齢化率は17.2%であった。現在高齢化率は年に0.4〜0.5%上昇している。また1996年度(平成8年度)の1年間でも長田区の人口は約4000人減ったので(震災前は年2000人減っていた)、2000年(平成12年)には高齢化率は20%を超えることが予想される。2020年には30%をさらに超えるだろう。

 

[1]なぜ福祉のまちづくりが必要か
 安心して高齢者が暮らせるまちづくりは避けて通れない課題となっている。なぜなら、

@住みなれたまちで人生を送ることをもっとも望んでいるのは高齢者である。
A親・高齢の親類が安心して暮らせたら、その子供たちも安心だ。
B福祉施設や集会室は、また地域のコミュニテイの基地でもある。
 若者にとっても住みよいまちになる。
C福祉施設は、(もう来ないだろうが)大災害時の防災拠点になる。
D高齢化のピークは2020年〜2030年、つまり今のはたらき盛りの40歳代が
 大挙して後期高齢者(75歳以上)になる時である。

福祉のまちづくりは、まさに中年の課題である。20年後を考えて今から行動しよう。

[2]福祉のまちづくり
 ハードでは、
@バリヤーフリーのまちや家
Aシルバー住宅(含・コレクティブ住宅)
B福祉施設
それ以上に必要なのはソフトである。
C福祉サービス事業
D老若世帯間の地域コミュニテイ
しかしそれ以前の課題として、地元に必要数の公営住宅を建てること、生活を支える地域の産業をどう復興するかがある。

ハードソフト
バリヤーフリーのまちや家コミュニティー作り
シルバー住宅
コレクティブ住宅
生活支援員の業務
福祉施設福祉サービス事業
必要な小規模公営住宅の建設・地元産業の復興

▼(1)バリヤーフリーの(ひとにやさしい)家やまち▲
 まちについては歩道などの段差は少なくなってきている。JR新長田新駅舎にもエレベーターが設置された。新規公営住宅もバリヤーフリーで建築されてきている。しかし一般家屋はどうかというと、どうもそうではない。せっかく苦労して再建する場合でも、たとえば玄関の段差などは昔のままだ。自分の体が不自由になった場合のことを考えて建てていないのは残念だ。しかし狭い敷地に再建した場合、車イスで動ける廊下のスペースをなかなかとれないという面もある。
(つづく)

(神戸協同病院院長:上田 耕蔵


インフォメーション


◆第3回 いもほりツアー◆
 気分転換にいもほりに行きませんか。おとなも子どもも土にまみれて1日楽しみましょう。
あとは“千人風呂”で汗を流してすっきりできます。
【日時】6月22日(日)(※小雨決行)
    午前7時30分 西神中央駅 出発
    午前8時   高速長田駅 出発
【行き先】奈良県 天理市
【募集人数】100人
【費用】おとな、子ども どちらも1000円(幼児は無料)
【問・申し込み】天理教 長楽分教会 荒川さん…078−731−2455
        関久分教会 江上さん…030−747−3713

◆在宅寝たきり者 訪問理容・美容◆
 寝たきりの人の家へ出むいて散髪をします。訪問する時に付きそってくれる人が必要です。
【費用】1回 2000円
【日にち】7月1日(火)〜来年3月31日の間に2回
【申し込み】はがきで【問】まで。抽選を行います
【しめ切り】6月30日(月)
【問】市役所 公衆衛生課 〒650 神戸市中央区加納町6−5−1
【電話】078−322−6265

◆ケアライン119 利用者募集◆
 いざというときに、ボタンをおすだけで消防署に連絡がいく電話機があります。持病があって不安な人、ひとり暮らしの人、近くの民生委員さんに相談してください。
【条件】家に電話があり、消防署から連絡があったとき、近所の人2人がかけつけて協力してもらえる人で、次の5つの中に入る人
@65歳以上のひとり暮らしの病弱な人
Aひとり暮らしの重度障害者
Bひとり暮らしで命に関わる発作が起こる病気を持っている人
C高齢者だけで暮らしていて、そのうち1人が@〜Bの条件にあてはまる人
D条件AとBに当てはまる人で、2人暮らしだが1人きりでいる時間が長い人
【申し込み】民生委員、児童委員をつうじて消防署へ
【しめ切り】7月15日(火)
【問】市役所 予防課:078−325−8510


やっと見つかりました


 昨年9月、神戸市のご厚意により仮設作業所に入り、その後、多くのみなさまのご支援とご協力をいただきつつ、あたらしい場所を求めて活動して参りましたが、条件が合わなかったり、社会の理解が得られなかったことで、なかなか見つからず不安と焦りの日々がつづきました。仮設の使用期限が迫った今年2月、隣の仮設からあたらしい場所に移った作業所の所長より「おなじ建物の一階があいてるから使ったらどうですか」と、あたたかいお誘いをいただき、早速手続きを済ませました。

 しかし、重度の障害を持つ仲間が安心してつどい、安全に働ける場にするためには、建物内外のさまざまな改造が必要であり、その費用を一作業所の力だけで捻出するのは、とても困難なことです。そこで、今回の移転・設備改装・各種備品の購入等にあたり、各方面に支援のおねがいをし、助成団体や多くの方々からご援助をいただき、無事5月23日に移転を終えました。ここに謹んでご報告いたしますと共に、改めまして心より深くお礼申しあげます。

 12名の仲間は、あたらしい作業所でよろこびと希望にあふれながら作業を再開いたしました。100平方米以上あるひろいスペースを活用した定期的ミニバザー等の催しや地域交流センターの設置等で、過去5年あまり続けて参りました《障害を持った仲間の社会参加と自立生活の推進》を図るため、地域交流を重視したさまぎまな活動に、全力で取り組む所存でございます。どうか、今後ともご支援とご指導をたまわりますよう、よろしくお願い申しあげます。

(ゆとり作業所所長:柚鳥 孝通(ゆとり たかみち))

※ゆとり作業所は、障害者の自立を目指して活動しており、震災でそれまでの作業所を失いましたが、来る9月には新しい作業所で6周年をむかえます。


みんなの伝言板


 みなさんの「声」と「声」をつなぐコーナー。「ゆずります」「求めます」「集まってください」などなど、多くの人に呼びかけたいことがあったら、ぜひ連絡をください。
 (電話・FAX・郵便で「すたあと長田」までご連絡ください)

★「くるまっぷ」さしあげます★
 くるまイスの方のための地図をつくりました。
 エレベーターの位置や自動ドアの有無など、くるまイスをお使いの方に便利な情報を記載した地図を無料でさしあげております。
 ご希望の方はハーバーランドのインフォメーションセンターと三宮のフェニックスプラザで配布しております。
【発行】 アクティブKOBE
【連絡先】福神 岳志(ふくじん たけし)
【電話】 050−660−4975

 

すたあと長田 スタッフ募集中

『ウィークリーニーズ』配達スタッフ大募集!


あきちゃんかんちゃん、街へ出る 第28回


あき:
雨あがり、長田区役所のまわりは、花もいきいき、木々もいきいき、高取山もみどりがいっぱいだわ。
かん:
ゆっくり、あるいてみると、あじさいがうつしく、彫刻のある花壇が、こんなところにもと思うもんね。
あき:
久保町で8日間、黒田征太郎さんの『夕暮れコンサート』があったでしょ。長田には、絵と音楽とこころも、また、いっぱいだったわ。 ありがとう。
かん:
あのとき、パラールの方なんかにお聞きしたんだけど、あのあたり、本当に店舗つきのビルができるのは、まだ5年くらいかかるんだって。
あき:
途中で、受け皿のおみせで営業はつづけられるんだけど、私たち、これからも、長い、ながーい《復興のみち》なんだわ。
かん:
みんなそうだね。 逃げたりしないで、しんどさをかかえながら、ちょっと、気分をかえながら、花や音楽や散歩も楽しんで、元気よく、あるいてゆこうよ。

※区役所のあたりをぐるっと歩けば、『蒼生』『風の門』『ブロンズの神様へ』などの彫刻がある。

(和田 幹司)

▲長田区役所の西側にある彫刻
『僕の旅(風の門)』峯田義郎 作


この「ウィークリーニーズ」は以下の皆様の協力により配られています


◎新聞販売店様のご協力で長田区内に折り込み戸別配布
  ・読売新聞 丸山IC   ・読売新聞 新長田IC
  ・神戸新聞 五位の池専売 ・毎日新聞 丸山販売
  ・毎日新聞 尻池販売   ・読売新聞 御蔵IC

◎地元ボランティア団体・個人の協力により、
 各地区(市内広域・姫路・大阪など)の仮設住宅に配布
▽姫路「心のケア」ネットワーク:玉手・新白浜(姫路市)
▽鹿の子台ボランティア連絡会:鹿の子台第1〜8(北区)
▽有野台ボランティア:有野台第1〜3・五社・東有野台・有馬(北区)
▽神戸女子大学ボランティア活動本部:桜木町(須磨区)
▽北須磨ボランティア:西落合1〜2・名谷2(須磨区)
▽春風会:長田区内各仮設
▽兵庫商会:南落合第1〜3(須磨区)
▽阪神高齢者・障害者支援ネットワーク:西神第7(西区)
▽りんくうネット:大阪府りんくうタウン内仮設

◎すたあとスタッフによる配達(仮設住宅・店舗など)
長田区内各仮設および店舗等・東白川台(須磨区)・学園東町第5(西区)・
星和台南ほか(北区)

◎コープこうべ様のご協力で店頭に据え置き
▽コープミニ ポートアイランド店
▽コープミニ 鹿の子台店


今号の制作スタッフ


編集長:     小野 幸一郎
副編集長:    吉田 信昭
編集:      澁江 美貴
タイトル:    加瀬 久美
見出し・イラスト:家田慈子・澁江美貴・徳永陽子・橋本吏賀
ワープロ入力:  小野幸一郎・横田ゆり・和田幹司

 「すたあと長田」は、いかなる政治・宗教団体ともつながりを持たず、また、どのような営利団体とも特別なつながりは無く、ボランティアスタッフにより全くの自主管理で運営しています。
 みなさんのお役に立てればと、情報発信活動として「ウィークリーニーズ」を無料発行しております。



numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp