プロデューサー、鳥羽修とは?
中:青山さんの場合はどうされてるんですか?家ではどんな感じで?
青:家である程度打ち込みで、まあ分かる程度のデモを作って。
中:打ち込みはコンピュータで?
青:コンピュータですね。リズムが入ってコードが入ってギターが入ってという感じのを。
それでまあ、リズム録りのスタジオに持って行くと。
中:それを適時バンドの音に差し替えるんですね?
青:そうですね。まあ2、3回一発録りで録って。今回もそんな感じです。特に今回は
重要なダビングは鳥羽君のスタジオで。
中:鳥羽さんの家ってやっぱり機材、充実してるんですか?
青:うん、かなり充実してますよ。湾岸スタジオよりも良い(笑)。
中:湾岸スタジオってどんな感じなんですか?
青:湾岸は普通の民家で、12畳程の空間にコンソールと
テレコと最小限のエフェクターとグランドピアノが
置いてあるんですけど。生ピアノは鳥羽君家では
録れないんだけど、アップ・トゥ・デイトというか、
割と今の機材がありますね。HDレコーディングとか
出来ますよ。
中:音の感じって全然違うんですか?
青:どうかな?そんなに違いはないと思いますけど。
まあ前回は湾岸でエンジニアが鳥羽君でやってた
けど、やっぱり鳥羽色ってのは大分出てますわね。
鳥羽さんの"Small Town Studio"
中:その場の機材の感じというよりは、鳥羽さんの色が強くなる感じですか。
青:鳥羽君の機材の使い方は独特だし、結構凄い音が出ますよ。
中:その時の趣味も反映されつつ、
青:そうそう。もう最近は完全に信頼しきっちゃってるんで。
鳥羽君が「これ、やりたいんだけど」「あ、やってやって」って(笑)。
(拍手しながら)「わぁ〜」って(笑)。
中:(笑)じゃあ出来た音には特に口とか挟まないんですか?
青:アレンジには挟みますよ。でも、モノが出来てミックスの段階になると、もう
何も言わないっすよ。聴いてて「ああ、イイじゃん、最高!」とか言って(笑)。
ホントはもう少し追求しなきゃいけないのかも知れないけど。
中:でも事前の要望のようなものは、おっしゃるんですよね。
青:それも今回全然言ってないんだよね。まあ少し話はしたけど、もう鳥羽君の
やりたいようにして全然バッチリだから。
中:前作と比べても今回の方が何も言ってないんですか?
青:そうだね。今回は鳥羽君のスタジオだし(笑)やっぱり彼が一番よく分かってる
訳だから。(レコーディング中に)聴いてるものも殆ど近かったし。
中:リチャード・トンプソンの新作とか、ですね。他には何か?
青:鳥羽君はもう、完全にミッチェル・フルーム&
チャド・ブレイクなんですよ(笑)。CDが山の
ように積み上げてあるんだけど、その一番手の届く
ところに置いてある。参考にしてるんだろうね。
中:音の感じにもその辺は如実に表われている、と?
青:いや、そうはなってないですよ。エフェクターの
使い方とか細かいところを参考にしてるんだろうね。
中:確かに、強いて言えば「スーパースケルトン」がその
辺の音の手触りかなというくらいで。ロン・セクス
ミスの1stっぽい音というか。
青:まるっきりマネしようっていうんじゃないんだけど、凄く細かいことなんだと思い
ますよ。ディレイがここを使ってる、とかさ。
中:まるで「サンレコ」の解説のような(笑)。
青:そうそう。誰にも分からないような細かいことを参考にしてるんだと思うよ。
でも全体の質感とかは絶対鳥羽君のサウンドなんだよね。まあ、ある程度
こっちも独自の曲を作っているという自負があるのでどう転んでも下手な
ことにはならない自身はあるんだけど。
「今回はマイナーの曲はありません!」
中:新作のレコーディングは、いつから始まったんですか?
青:リズム録りが9月に入ったくらいからかな?3〜4日で8曲か9曲?そこで
バンドものを録って。
中:曲作りはどんな感じで?レコーディング中にも並行してやってたんですか?
青:今回はねぇ、前のアルバムが終わったくらいからちょこちょこ書き始めてて。
"STARLAB"って曲は今年の正月には出来てたんですよ。年末年始くらいに出来て
「やった!」って思って。徳間に聴かせに行ったんですよ。そしたら何か
「ちょっと弱い」とか言われて…。
中:え〜(笑)
青:「これは絶対シングルだ!」と思ったんだけど…でもレコーディングし始めたら
急に「これいいじゃないですか!」とか言い始めて(笑)。何だヨ〜って。
中:今回も選曲会議は?
青:やってましたよ。スタッフに出来た曲を聴かせる。
今回は博文さんがいなかったんで、荻原君と芝さんがきて。
中:今回、新作用には何曲くらい?
青:結構ありましたよ。25、6曲くらいあったと思うけど。
中:前作と比べて大幅に変わった点とかってありますか?
青:今回はマイナーの曲はありません!マイナー基調の曲は無いです。
メジャーだけど暗いって曲はありますけど(苦笑)。
中:既にライブで披露されてる"ON THE DUNES"や"HIDEAWAY"は?
青:入ります。あれもメジャーだけど最も地味な感じの曲ですけど(笑)
今回はもっとハデな曲もあるし、ロックしてる曲もあるし、ゲストもいるし。
歌ってもらってるんですよ真城さんと、さかなってバンドの
中:ポコペンさんですか?それは凄い!
青:ええ。コーラスってよりは殆どボーカル。ポコペンさんは
もう好きなんで「是非!」って言ってお願いしたんですよ。
中:さかなは年間ベストにも挙げられてましたよね。
青:あれは感動したからなぁ。
中:『WELCOME』は私もベストに選ばせてもらってます。
余談になりますけど、別件で自分の年間ベストを選んだ後で
青山さんのベストを見たら、半分くらい同じで(笑)
青:だから、きっと同じなんだろうなって思いながら出したん
だけど(笑)。
さかな"WELCOME"
荻原君の聴かせてくれる音楽は刺激になりますね
立:趣味が近い人って今まであんまりいなかったんですか?
青:いや、結構いますよ。
中:以前「直枝さんしか話が合わない」っておっしゃってたと思うんですけど。
青:最近直枝さんも趣味違うみたいなんですよ(笑)。ナウいもの、若者の聴く音楽、
好きじゃないですか。凄く研究してる。レコードも沢山聴いてるし。今日荻原君が
行ってるフレイミング・リップスとかも聴いてるし。
中:青山さんは最近の音楽は全然?
青:選曲会議の時とかは、荻原君が「こういうバンドが
いるんだ」って参考CDいっぱい 持ってくるんだけど
「ふ〜ん」って言ってこういう状態(耳を右→左に
抜ける仕草)なんだけど(苦笑)。
全員:(苦笑)
中:特にサイケとかって分かりにくいですからねえ。
青:サイケ?フレイミング・リップスってサイケなの?
中:そういう括りで語られることも多いですよ。最近は
少し事情が違うかも知れませんけど。
青:あの〜、最近の傾向としてやっぱり、ボーカルがヘロヘロしてるのが多いじゃ
ないですか。ゴメスとかにしてもそうだけど、それが最近のトレンドなのかねぇ、
なんてことを言ったりしましたね。あとマーキュリー・レヴとか、アルバム通しで
じっくり聴くといいのかも知れないけど。
中:あくまでアルバムトータルとしてのイメージというか。
青:ああいう場(=選曲会議)って「ハイ、次、ハイ、次」って感じだから(笑)
余計に印象に残らないってのもあるのかもね。
中:でも荻原さんのお陰で聴く音楽の幅がかなり広がったんじゃないですか?
青:そうそうそう。彼のお陰で変わりましたよ。変わったっていうか刺激になりますね。
…あまり周りにそういう人いないんだよね。ディレクターとかでもあまり音楽
知らなかったり話合わなかったりするし。まあ、彼はルーツものとかは全然で。
自分の世代より前の音楽とかになると…ね。30年代のブルースの話とか出来ないし(笑)。
中:でも、そういう人だから刺激になるというのはありますよね。
青:だから、マウス・オン・マーズとかも選んだけど、ああいうの自分がまさか聴く
とは思わないじゃない?ハイ・ラマズも全然知らなかったしなぁ。まあ、あの辺は
全部徳間だから聴けるってのもあるんだけど(笑)。最近、荻原君の聴かせて
くれるものはアタリが多いんで。
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