『青山陽一が選ぶ、'99年間ベスト10』

青山です。99年ベストの解説書いてみました。
よろしくです。

1. Los lobos/This Time

前作に比較すると衝撃は少ないようでいて、良く聴けば聴くほど驚異のバンドである
ことが分かる。ロックンロールの奥深さに溜飲を下げる今日この頃。

2. Latin Playboys/Dose
イダルゴの爆発する才気あふれる仕事はこちらで堪能。このアルバムは特にイダルゴ
が殆どのパフォーマンスをしてるみたいです。それでもラテン・プレイボーズとしての
グループのテイストが強力に出るのもすばらしい。他の3人の味も充分感じられるし。
インターネットで流された彼らのライブのテープを鳥羽君に聴かせてもらったけど、
素晴らしかったです。祈来日。

3. Houndog/Houndog
ロボス関連3連発。いやーイダルゴいい仕事しすぎですわ。愛にあふれためくるめく
ブルーズ世界に浮遊するシアワセ。究極のリラクゼーション・サウンドとはこれ。

4. Five Style/Miniature Portraits
そう考えるとリラックスすることは私にとって今年の大きなテーマだったような気
もしてくるのですが、このアルバムもなんというか妙にホイホイした抜け方(しか
もスゴイ)を持った演奏ぶりが痛快至極。ビーフハートのマジック・バンドやミー
ターズなどとアンサンブルのコンセプトに近いものが。

5. John Hall/Recovered
今年はかのジョン・ホールさんにギターをお貸しした年として私の中で長らく記憶
されることになるであろう1999年でした。春先のセルフカバー集が良かったので期
待して聴いたこの新作でしたが、妙に肩に力が入ってしまっていた前スタジオ作に
くらべ、リラックス(またも)した様子が伺えて気持ち良く聴けました。
"Circle"という久々に名曲と呼べる曲が入っていたのも嬉しかった。残念ながら
12月10日に亡くなったリック・ダンコの最後のパフォーマンスも聴けます(涙)。

6. さかな/Welcome
今年一番の衝撃はこれかもしれない。とても日本人のセンスとは思えない。こうい
うのが一般に認知されるような素晴らしい世の中がこないかなあ。歌も曲も詞も演
奏もサウンドも極めてオリジナルで、まるで60年代のロックバンドの名盤のあの太
い音がしてます。アンビリーバブル。あまりに感動したのでポコペンさんに不肖私
のアルバムでロックンロール・シンガーになっていただきました。

7. Mouse On Mars/Niun Niggung
リラクゼーションサウンドもここに極まれりで、こういうものに面白みを感じるよ
うになった私が変わったのか彼らが変わったのか。くっだらない思い込みの押し付
けが横行する"ロック界"においては正にサウンド・デザインの良さのみで勝負する
彼らのさわやかなこと。

8. NRBQ/NRBQ
さわやかといえば彼らの芸能生活30年であった今年、それを記念するこのアルバム
のジャケのそっけないまでのさわやかさはどうだろう(笑)。不協和音にこれほど
の清涼感をにじませられるバンドも他にないですわな。今回もシビレるほどの名曲
がいくつか入っています。ジョニーもだいぶこなれてきました。

9. Randy Newman/Bad Love
毒々しさと情けなさとを行ったり来たりする中年男の美学。こんな親父に私はなり
たい、と思わせてしまうのが(私だけ?)ランディ・ニューマンのオソロシイところ。
今度のも要所要所でスゴいです。健在。

10. Richard Thompson/Mock Tudor
なんだか日本発売見送られてばっかりのトンプソン氏ですが、ますます突っ走って
おられるようです。謎めいたサウンド作りはフルーム&ブレイク組の撤退により後
退していますが、曲がますます出来て出来て仕方ないといわんばかりの好調ぶりに
は頭が下がります。歌の内容を検証するまでには至りませんが、きっと次の段階に
入ったのでしょう。超人。

番外
1. Traffic/John Barleycorn Must Die
突然発売されたこのリマスター盤にはなんと当時の2曲のアウトテイクとかつてお蔵
入りになった伝説のライブアルバム"Live November 70"からの2曲が含まれていると
いう驚愕のウルトラC再発! 個人的に最大のニュースでしたが、あまりこの感激
をわかってくれる人がまわりにいない・・。

2. Paul Butterfield's Better Days/Live At Winterland Ballroom
ベターデイズのライブがこんなにも凄かったとは思いませんでした。ザ・バンドや
フィートやロボスやネヴィルズに匹敵する歴史的なとんでもないグループなのがこ
れを聴けば一発でわかります。悪魔の如きどアタマのリフ、死にます。

3. Eddie Hinton/Hard Luck Guy
ヒントンの遺作が今年になって発売。これもひょっとして彼のアルバム中最高かも
しれない傑作になりました。とにかくリアル感を強調したサウンドが素晴らしい。
マッスルショールズまだまだ死なず。

4. Dan Penn and Spooner Oldham/Moments From This Theatre
で、これが死なないマッスルショールズの動かぬ証拠。この二人がタッグを組んで、
まさか日本でそのライブを観ることができようとは。まさに男心に男が惚れる、って
やつです。ダン・ペン氏の歌唱は今が最高の脂が乗ってるのでは? スプーナーの
素朴で甘いウーリッツァーの調べもたまらんです。

⇒Aoyama's Choice Archive 1998 1997