中:正直言うと「松本隆30周年イベント」という場所に青山さんがいる、という状況が
結構意外だったんです。影響を受けた音楽、こと邦楽に関して、井上陽水などの
話は聞いていましたが、風待のライブでのMCの時のように歌詞について言及される
機会って、あまり無いじゃないですか。
青:うん。まあでも、聴いてましたよ。その頃は特に。
中:その時は歌詞の面でも惹かれていた、ということですか?
青:やっぱり曲かなぁ…でも歌詞のハメ方が、あまり日本語に聞こえなかったって
いうか、切ってるところが独特だったりするじゃない?それでスンナリ聴けたんだ
と思う。あまり日本語の歌詞って感じで入ってこられるのは好きになれなかっ
たんで。
中:説明的なものというか
青:説明的っていうか…日本語でドーン!と言いたいこと言われる曲は嫌いで(笑)。
中:詩を聞かせる前提で作られている曲はダメってことですかね?そういう意味だと
はっぴいえんどは確かに異質でしたよね。
青:そうそう。
中:詩だけ取っても素晴しいんだけど、曲と絡んだ時の絶妙な感じが。
青:そうなんだよねぇ。
中:直枝(政広)さんも初日におっしゃってましたけど、「お正月と云えば」なんて
歌詞がロックで聞けるとは思わなかったって。
青:「炬燵」とかさぁ(笑)。凄いなあって思って。自分もコタツって使っちゃった
けど。
立:ああ、ありましたねぇ。
中:ですから最初「風待」に出演されるという
のが意外だったんですけど、普通ロックや
ポップスであまり使われない言葉を使っ
て音楽を作っているという意味では、確か
に共通点があるのかなぁと思ったんですね。
青:松本さんの歌詞と比べて、ですか?
中:'80年代の歌謡曲作家としての松本隆の
イメージからは見えづらいかも知れません
が。それでも他の歌謡曲の歌詞に比べると
少し異質というか、例えばよく例に出される
「木綿のハンカチーフ」なんか、構造が凄く
変わってますよね。
「風待ミーティング」(1999.11/9,10)
青:ああ、そう言われればそうですかね。でもやっぱり曲に乗っかって初めて感動が
生まれるっていうのがいいですよね。
でも「木綿〜」、メチャメチャ感動したなぁ。あの時特に感動したんですけど。
中:オリジナルって強いですよね。初日の「ウオンチュ〜」も凄かったですよ(笑)。
レコードと寸分違わないあの声に、思わず鳥肌が立ちました。
青:松田聖子とか演る人いなかったよね?
中:真城さんが初日に演られてましたよ。「蒼いフォトグラフ」という曲です。
青:有名な曲なんですか?松田聖子の曲って初期の曲しか知らないから。
'80年代の歌謡曲って完璧に抜け落ちてるんだよなぁ。やっぱり歌謡曲って
'70年代のイメージが。原田真二も'78年とかですもんね。で、'80年代になると
もうロックになっちゃうから、歌謡曲はちょっと…って感じで軽蔑しちゃう
風になってて。この10年間は抜け落ちてるなぁ。
中:そんな青山さんが歌謡曲のプロデュースを手がけると、面白いかも知れませんね。
青:あ、でも最近森川美穂さんのアルバムをやりましたよ。作曲と演奏とアレンジで。
1曲は他人の曲だったんだけど、アレンジと演奏を2曲。まあ、殆どBM'Sなんです
けど、また例によって(苦笑)。
中:コーラスは?
青:自分の作った曲には入れました。まあ、歌謡曲ですわ(笑)。
中:(笑)でも今回のその依頼ってどういう経緯で?
青:今回はbenzoとかにアレンジ頼んでて、何ちゅうんだろう?ロック寄りっていうか
ポップス寄りっていうか、歌謡曲な感じとは違うスタッフで作りたかったんじゃ
ないかな?
森川美穂さんってそれまで知らなかったんだけど、ボンドガールらしいっすね(笑)。
中:(笑)ボンドガールと2曲。
青:多分(自分と)同じくらいに出るんじゃないかなあ?2.23とか。
「五島良子は凄いですよ」
中:五島(良子)さんの時は歌詞の依頼だったじゃないですか。
青:何で歌詞頼むかなぁ?曲ならいくらでも書くのに。
中:よほどのファンなのかなと思ったんですけど、依頼された方が。
青:あ、マネージャの人が結構グラファンを見てた、という話らしくて。
中:でも詩とアレンジいじっちゃうと殆ど青山ナンバーになりますね。
元は全然違う感じだったんですか?
青:一応デモ貰ったんですよ。五島良子は凄い
ですよ。エレピとリズムしか入ってないん
だけど、やっぱりねぇ、ほとばしってます
よ、才気が。歌詞とかも無くってダーって
歌ってるだけなんだけど、凄いなあって。
中:じゃあそんなにアレンジは
青:アレンジは完璧に変えちゃってるけど(笑)
まあ元がリズムボックスとエレピだけだから。
しかし果たしてそのパワーに追従できるアレン
ジだったか?というと甚だ疑問なんですけど…。
中:アレンジって結構指示とかされるんですか?
五島さんとの共演(97.11.14)
青:「これはやってほしい」ってのは指示入れるけど、あとはまあメンバに任せますね。
やっぱりノリとかそういうものを尊重したいし。でも他の曲からまるっきり浮いて
しまったような(苦笑)。他は二の線なのに、何かねぇ、色が。私の作るのは
どうにもイナタいロック系で(笑)。アレンジャーとしての才能ってのは、どう
なんだか。
中:最近はロック系の人がポップスとか歌謡曲、アイドル系なんかを手がけるのが主流に
なりつつあるじゃないですか。スガシカオがSMAPをやったりとか。今度オリジナル
ラヴがV6の曲を作るらしいですし。
青:彼等は自宅の設備がちゃんとしてるし、やっぱり自分の家でカタチのあるものを
作れるってのは強いんじゃないかなあ。
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