4.4.「さっき見てきた神戸・長田展」が写真集に!!

 


1995年11月に東京都庁などにて開催された神戸市長田区住民による長田のまちの写真展「さっき見てきた神戸・長田展」(女優の黒田福美さん・写真家の中村征夫さん方主催)の展示作品がこの度、写真集として出版されました。

『 ホッと写真塾 アプローチ approach 』

−生きていく「街」の瞬間。−
(監修◆黒田福美・中村征夫 :三五館)ISBN4-88320-082-5 \1,000.-(税込)

です。上記写真展の詳細については下記記述をご参照下さい。
「すたあと長田」スタッフも写真教室に参加し、作品も写真集に掲載して頂きました。(^^)
(1996.6.26 記)

1.いえ2.かん(1)3.りか4.かん(2)
猫:
『それでもぼくは、ここでいきていくんだ』
『巫女さんの笑顔 (^^)』 『見慣れてしまったガレキの山…
コワイ、コワイ。』
『長田の人々』
※いえちゃん狙ってます※長田神社にて ※すたあとの南側です※日経'95/11/18コラム参照


★☆ いえちゃんによる特別解説 ☆★

1.いえ
 このネコはしょっちゅう見掛けるネコでした。撮影場所は「すたあと長田のプレハブ事務所」(長田区御蔵通5-5)の西側なのですが、震災前、ここにはアパートも含め長屋が何軒かあったそうです。この写真のネコは、きっとその何処かで飼われていたのでしょう。主を無くしたあとも自分の場所を探すように、ここで暮らしているのです。ちゃんと、首輪もしたままで…。
「それでもぼくは、ここでいきていくんだ。」
くらいのキャプションが相応しいかな…。

2.かん(1)
 すたあと長田スタッフ最年長の、「かんちゃん」こと和田幹司さんの写真。実は「かんちゃん」は、この長田神社の神主さんと仲良しなんだそうです。 (^^)

3.りか
 りかちゃんの写真に写っているのは、「すたあと長田のプレハブ事務所」のすぐ南側の、今はもう無くなった瓦礫…。私自身、当時はほんとに何とも思わなくなってたな…と思い出しました。『そこに瓦礫がある』っていう知覚があっただけで…。だからこそ、りかちゃんのコメントにある「コワさ」が自分自身の胸にも伝わってくるのです。
※巻末のりかちゃんのコメントも、熱いものを感じさせてくれて「じーん」ときます。

4.かん(2)
 すたあと長田の「Weekly Needs」連載『あきちゃんかんちゃん』でもお馴染みの和田幹司さんのこの写真は、写真展開催当時、日経新聞朝刊コラム『春秋』(1995.11.18(土))でも取り上げられていました。「長田のおじさんたちが輪になって話をしている」写真です。
 まさに、辛さも喜びも共有している、人々の様子が伺える写真だな、と思います。地元の人でなければ見過ごしてしまう「自然なままの人と街の姿」を捉えています。やっぱり『さすが和田さんや』と思いますね。 (^^)

※上記の写真の他に、「すたあと長田」もお世話になっている方の撮った写真なども掲載されています。例えば『七五三での長田神社の男の子』…。他にも『FMわぃわぃ』の収録スタジオでのスタッフの1コマとか…。

★ まとめ ★

 この写真集『approach』は、「Weekly Needs」でも是非とも紹介してみたいところです。「Weekly Needs Vol.3」のテーマ=『まちから仮設へ。仮設からまちへ。』にも沿うように思うのです(「まちの姿を仮設の人に見てもらう」という意味ですね)。
#普段の姿の自分のまちが写真集になって世に出たのを知ったら、
#地元の人もきっと嬉しくなるんじゃないかな…。 (^^)

 また、監修者の黒田福美さん・中村征夫さん御両名のお考えでもある「これらの写真をもっとたくさんの人に見てもらいたい」という、この写真集発行の主旨に沿って、神戸・長田の外の人にも広く知らせていきたい…。

 なぜなら、この『approach』に収められている写真は、「ひと」や「まち」の自然な、ありのままの姿を語っていると思うからです。「復興に向けて」などという言葉で飾りたてられた顔ではなく、かといって新聞などの写真のように、殊更に困難・苦悩・悲哀ばかりをにじませた顔でもない。気負いのない、それぞれの感情を持った「素顔」が、1枚1枚の写真の中に自然な形で映し出されていると思うのです。

 この写真集が「長田の人々による」という点で他に例がないというのはもちろんのこと、各人が写真に込めたメッセージ性の高さにも注目してもらいたいと思います…。

(1996.6.29: いえ)

いえちゃん
いえちゃん


1995.11.17 女優・黒田福美さんとの語らい


 1995年11月中旬、東京都庁第二本庁舎において、女優の黒田福美さん方主催による、神戸市長田区民自身による長田の写真展「さっき見てきた神戸・長田展」が開催されました。私(沼田)も最終日(11.17)に、都庁に行って見てきました。
 この写真展は、以下の経緯により行われたものです。1995年の11/1〜7に神戸市長田区役所にて黒田さんが開催した写真展「韓国ソウル 私の10年物語」の期間中、11/3には写真家の中村征夫さんも招いての写真教室・スライド鑑賞会(『ガラパゴス』・『白保』)を同時開催し、教室に参加された長田区民の方に「写ルンです」を配布して、11/5までの間、自分たちの街で写真撮影を行って頂きました。集まった膨大な数の写真の中から、中村さん・黒田さんらが選出した作品が、東京都庁において、神戸長田の写真展という形で披露されたのです。会場には、黒田さん・中村征夫さん・田中康夫さんの展示作品もありました。
 で、会場に私のかかわっている団体「すたあと長田」の情報誌・特集号も展示してあったので、受付のお兄さんに問い合わせていたら、私のすぐ後ろに黒田福美さんご本人がいて、何と、しばし立ち話をすることができたのです!! (すごーい (^^)v )
 黒田さんは理知的な落ち着いた感じの美人で、浮ついた感じもなく、女優というよりは有能な美人キャリアウーマンって感じの方でした。「神戸長田展」開催の発端は、以下のようなお話でした。黒田さんが、大阪で韓国写真展を1995年2月に開催しようと計画中に震災が起こりました。何とか無事に韓国展を開いたあと、その足で神戸に出向き、被災地の現状を目の当たりにして「何か自分に出来ることはないか」とお考えになり、今回の長田での「韓国展」および「写真教室→都庁での写真展」開催に至ったとのことでした。
 黒田さんにいろいろ伺ってみると、インターネットについても、ある程度ご存じのようでした。私の震災情報発信などの活動についての説明もご理解して頂け、「すたあと長田支援ホームページ」案内のビラをその場で手書きで作成し、「すたあと長田」の情報誌・特集号の脇に置かせて頂けたのです。
 なお、この写真展は渋谷・新宿駅構内改札内などにおいても、わずかなスペースながら11.19(日)まで展示されていました。開催期間中に、大抵の新聞で取り上げられたようですから、直接ご覧になった方も結構多いのではないでしょうか。


黒田 福美さん

 女優。1956年・東京生まれ。映画「たんぽぽ」(伊丹十三監督)出演で一躍有名に。数多くの映画・テレビドラマなどで活躍。最近では、「あひるのうたがきこえてくるよ」(作家・椎名誠監督)での好演が評判。
 また、芸能界きっての韓国通としても有名で、韓国語にも堪能。1988年ソウル五輪時には、韓国特集番組などのレポーターとしても活躍した。ここ10年来での訪韓は60回以上・のべ1年分をゆうに数え、日本各地での韓国写真展開催・著作「ソウルの達人」(こーりん社)などによる韓国文化体当たり的紹介活動でもよく知られている。上記の通り、写真家の顔も持つマルチ人間である。



中村 征夫さん

 写真家。1945年・秋田県生まれ。国内外の海を精力的に取材し、数々の名作をものにする一方、ヘドロの東京湾を活写したルポルタージュ『全・東京湾』と、ユニークな魚たちの正面の顔をとらえた写真集『海中顔面博覧会』は、共に話題作となり、ロングセラー中。また、写真集『白保 SHIRAHO』を原案にした映画『うみ・そら・さんごのいいつたえ』(椎名誠監督・ホネフィルム制作)では、全撮影を担当した。
 1993年7月12日午後10時17分に起きた北海道南西沖地震では、たまたま仕事で『奥尻島』に居合わせ、被災を体験。カメラ道具一式を諦め必死で丘に駆け上がり、津波にさらわれそうになりながらも何とか難を逃れた…とのことです。


※この展示会「さっき見てきた神戸・長田展」については
すたあと長田「Weekly Needs」2-8号(神戸でのイベント)
すたあと長田「Weekly Needs」2-9号(都庁でのイベント)
も参照してみて下さい。


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