「Weekly Needs」1996.12.12号(Vol.3 No.19)

「まち」から「仮設」へ。「仮設」から「まち」へ。

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「友が丘仮設」の住み替え問題について


 この11月19日、神戸市より住民に対し「近くの他の仮設住宅へのあっせんを行うので、来年の9月までに住み替えをしてほしい」と、申し入れがあった。住民は突然のことになっとくできず、だいたい次の5項目の要望・質問を行った。

 

( )内は市の回答。その答えに住民は満足せず、市は要望を持ち帰り再回答することとなった。

  1. 高齢者が多く、説明にショックを受けている。じゅうぶんな配慮を。
    (個々の事情について誠意をもって相談を受ける)

  2. 用地の使用期間を延長してほしい。
    (これ以上の延長はむずかしい)

  3. 次回の一元化募集で優先的に入居を。
    (特別の取り扱いはむずかしい)

  4. 公営住宅の空き家をあっせんしてほしい。
    (現状では、あっせん可能な住宅はほとんどない)

  5. 入居のとき、「民有地であり早期に退去する必要がある」ことを、なぜ言わなかった。
    (当初、仮設の期限は2年とされており、その後のことは決まっていなかった)

 

 「友が丘仮設」は須磨区のニュータウン内にあり、現在60戸中48戸が入居。昨年7月には自治会ができ、12月にはふれあいセンターが建っていた。
 真上から太陽が照りつける昨年夏、炎天下で自治会結成の住民の集まりがあり、その感動的な場に小生も立ち会わせていただいた。

 説明会には住民の8割の37所帯が出席し、こもごも意見を述べたという。この仮設が来るべき大問題、「仮設住宅統廃合問題」の先陣を承ることになったのである。

(週末ボランティア:東條 健司)


インフォメーション


◆義援金(生活支援金)の交付申しこみ受付中◆
 当初11月29日しめきりの予定でしたが、現在も受け付けています。
【対象】震災で全・半壊、全・半焼の被害を受けた世帯で、
    世帯の中で一番収入が多い人の1995年(平成7年)分の所得が
    690万円以下の世帯
【金額】1世帯10万円
【申しこみ書類】各区役所、支所、出張所にあります。
【問】TEL:078−271−5554
※それ以外の義援金もまだ受け付けています。
 くわしくは区役所へお問い合せください。

◆重度障害者 特別給付金◆
 1級2級の「身体障害者手帳」、A判定の「療育手帳」、1級の「精神障害者 保健福祉手帳」をお持ちの20歳以上の人で、制度の都合で障害基礎年金を受けられない人が対象です。
くわしい条件などは、市役所育成課へお問い合せください。
【問】育成課 TEL:078−322−5230

◆空調機器の復旧工事費の助成◆
 阪神高速の沿道にお住まいの方で、次の4つの条件すべてにあてはまる人に、震災で壊れたクーラーと換気扇の復旧工事費を助成します。
【申しこみ書類】公団で配っています。
【期限】1997年(平成9年)3月31日まで
【問】阪神高速 道路公団 環境対策課
   神戸市中央区新港町16−1 TEL:078−331−9801

◆しめ縄づくりともちつき大会◆
 神戸ライスのわらと稲穂を使ってしめ縄を作ります。
昼はもちつきと、もち昼食会があります。
【日時】12月15日(日)午前10時30分〜
【場所】フルーツフラワーパーク
【問】神戸市 園芸振興基金協会 TEL:078−954−1000
※情報を詳しく知りたい方は、それぞれの連絡先、または「すたあと長田」まで、お問い合せ下さい。


あの刻を忘れない 〜想いをカタチにしませんか?〜


 「ウィークリー」の15号でご登場していただいた灘区琵琶町が、文集を発行しました。
 題して

「あの刻をわすれない  阪神大震災 琵琶町住民の記録」

 琵琶町に住んでいる(いた)方々にアンケート形式で、地震直後の時のようすや今のきもちを綴っていただいた文章(約140人分!)を一冊にまとめられたわけですが、そこには被災してから現在に至るまでのさまざまな「想い」がこめられています。

「震災でモノのもろさがわかった。その中でこころは生きていた」
「悲惨そのもの、この世の地獄」
「また一からやりなおしです。夢をもって築いて行こうと思います」
「爆弾が落ちた!あのしゅん間そう思った」
「これから先も、被災者という名を背負って行かなければならないのかなァー」
などなど……。

 肉親を亡くされた方、避難先を転々とされた方、人の情けにふれた方、人のエゴに絶望された方……。一人一人の方の、かざらない「文章」や「詩」や「言葉」には、ご当人にしか語ることができない「真実(ほんとのこと)」があるように思えます。そして何よりも大切なことは、地震によって壊滅した「まち」への思いが、この文集にあふれていることです。

 震災の時のことは一刻も早く忘れたい方もいらっしゃるでしょう。ですが、みなさんが経験した出来事を、そして今の気持ちを、カタチにして残すことも、また大きな意味があるのではないでしょうか。みんなの思いをつなげられるような「文集」を、よろしかったら、ぜひ作られたらいかがでしょうか?

 もし、「書きたいけれど出すところがない」という方は、わたしたち「すたあと長田」にお送りくだされば、できる限りの協力ができるよう検討したいと思います。

 なお、「あの刻を忘れない」を購入ご希望の方は
078‐851‐6060 中川さん宅まで
お電話かFAXでお申しこみください。

(小野 幸一郎)


みんなの伝言板


 みなさんの「声」と「声」をつなぐコーナー。「ゆずります」「求めます」「集まってください」などなど、多くの人に呼びかけたいことがあったら、ぜひ連絡をください。
 (電話・FAX・郵便で「すたあと長田」までご連絡ください)

★「真野っこガンバレ!!」縮刷版 申し込み受付中★
 昨年3月から毎週、2年間発行してきた、真野地区の情報紙「真野っこガンバレ!!」の縮刷版が、できあがりました。

 震災後の真野地区の活動記録や、真野地区のために全国各地で行われた支援コンサートの記録なども掲載しています。
ぜひお読みください。

【価格】2千円(送料別)
【連絡先】購入ご希望の方は『復興・まちづくり事務所』
      TEL:078−671−9834まで!


あきちゃんかんちゃん、街へ出る 第20回


あき:
12月になり、さむくなったけど“ぺったんこ”“ぺったんこ”、おもちをつく音がきこえてくるわ。
かん:
ぼくの住んでいる東尻池2丁目でも、日曜日に『第2回 復こう・もちつき大会』があったんだ。
あき:
お寺が三つもある町ね!! きなこもち、あんのおもち、それから、だいこんおろしのおもち……。私、だいすきだわ。
かん:
その日はね、おまごさんが、おじいちゃん、おばあちゃんを訪ねてきたりね。少年野球の帰りのガッツナインの小学生が「おもちをつかせて!!」と来てくれたし……。
あき:
地しんのあと、町のみんなに、“いっしょに、なかよく生きてゆこうね!!”というきもちが強くなった気がするわ!!
かん:
こどもたちに、きねをもたせて、おもちのつき方をおしえている姿はいいもんだよ。そして、おもちをつく音は“早く、早く、みんな町へ戻って来いよ”と聞こえてくるんだ。
※東尻池2丁目には、大東栄湯から西へ。モダンな造りに変身した『明正寺』、湊川合戦のころ、足利尊氏の信仰をうけた『宝満寺』、そして、柿の木がある『法隆寺』と、三つのお寺がある。

(和田 幹司)

もちつき大会の様子


この「ウィークリーニーズ」は以下の皆様の協力により配られています


◎新聞販売店様のご協力で長田区内に折り込み戸別配布
  ・読売新聞 丸山IC   ・読売新聞 新長田IC
  ・神戸新聞 五位の池専売 ・毎日新聞 丸山販売
  ・毎日新聞 尻池販売   ・読売新聞 御蔵IC

◎地元ボランティア団体・個人の協力により、
 各地区(市内広域・姫路・大阪など)の仮設住宅に配布
▽姫路「心のケア」ネットワーク:玉手・新白浜(姫路市)
▽鹿の子台ボランティア連絡会:鹿の子台第1〜8(北区)
▽有野台ボランティア:有野台第1〜3・五社・東有野台・有馬(北区)
▽神戸女子大学ボランティア活動本部:桜木町(須磨区)
▽北須磨ボランティア:西落合1〜2・名谷2(須磨区)
▽SVA神戸:長田区内各仮設
▽兵庫商会:南落合第1〜3(須磨区)
▽阪神高齢者・障害者支援ネットワーク:西神第7(西区)
▽りんくうネット:大阪府りんくうタウン内仮設

◎すたあとスタッフによる配達(仮設住宅・店舗など)
長田区内各仮設および店舗等・東白川台(須磨区)・学園東町第5(西区)・
星和台南ほか(北区)

◎コープこうべ様のご協力で店頭に据え置き
▽コープミニ ポートアイランド店
▽コープミニ 鹿の子台店


今号の制作スタッフ


編集長:     小野 幸一郎
副編集長:    吉田 信昭
版下:      吉田 信昭
ワープロ入力:  沖かをり・横田ゆり
印刷:      横田 ゆり
タイトル:    加瀬 久美
見出し・イラスト:家田慈子・瀬戸綾子・橋本吏賀
※インターネット・ホームページ:
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※「すたあと長田」は、「ウィークリーニーズ」の発行を中心として地域のコミュニティづくりのお手伝いを目的に、自主管理で運営するボランティア団体です。
 「ウィークリーニーズ」に対するご意見やご希望、お気付きになられたことがありましたら、ぜひ、ご連絡下さい。投稿なども歓迎いたします。
(すたあと長田)



numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp