「Weekly Needs」1995.7.16号(Vol.1 No.19)

Vol.1 No.19 表紙

前号へVol.1目次次号へ


「すたあと」からのお知らせ


来週のウィークリーニーズは
お休みです

3月中旬頃から今日まで毎週毎週休まず発行をしてきた「ウィークリーニーズ」ですが、
ここらで、少し早い「夏休み」。
今週は4ページ縮小版、来週は発行を休ませていただきます。
引っ越し等の力仕事や、車イスマップ、ウィークリーニーズなどの、
この長田の人・町を支える活動や、
ラバウル支援等ほかの地域への援助活動など、ずっと続けてきた「すたあと長田」。
その運営資金面での問題や、これからの活動についてなど、
今現在私たちが直面している問題をクリアするための、
「ウィークリーニーズ」のお休みです。

愛読者の方々には申し訳ありませんが、ご了承下さい。


考えてみよう話してみよう

震災後の6ヶ月


 1月17日の震災後半年が経ち、夏がやってきた。人は忙しく走り回っているようであるが、解体され、更地になった空間がやけに目立つだけで、仮設店舗はあるものの、復興はまだまだだ。

−6ヶ月の持つ意味は−
 NHKが放送受信料を被災地では無料にしてくれていた。6ヶ月後で有料になる。我々の「すたあと長田」も、他地域からのボランティアの方々はすべて去り、地元だけの完全自立の状態になる。電車も、8月中には高速長田・新開地間が開通し、交通の不便はなくなる。ソウナノデアル。「被災地・長田の人々よ。自分で頑張る分をより多く」とのメッセージなのだ。

−何もまだ変わっていないのにね−
 今年は海や山からの風を感じることが多い。建物が少なくなったからだろう。仮設に移ったり兄弟の家に身を寄せたり、他県に引っ越したりで、人が半分くらいになってしまった気がする。テント生活を強いられている人も含めて、我々に、住むべき「本当の」家はない。東京や大阪をはじめ、他地域に住んでいる人や、長田にいても家屋が完璧に残った人には分かりにくい感覚かも知れない。表面上、町も活気づいてきたことは確かだ。でも、「まだ、何も変わっていない」。1月17日以前は、きちんと家に住んでいた我々だけれど。

−でも前向きに考えよう−
 思っていた以上に、復興に時間がかかりそうだ。長田に残っている我々で考えながら話し合いながら、まちづくりをしていく他に道はない。幸い、長田の人々には元気があり、生命力がある。住民の中で”ゆっくりやろうぜ”というスローガンを掲げている町もある。助け合いながら、じっくり町を創り上げていくいい機会なんだ。

−自転車で、長田を走って見ませんか−
 暑い夏であるが、長田の姿を見つめ直す機会でもある。高取山に登ったり、自転車で最近オープンした「かるもプール」へ行ったりするついでに、長田の各地の様子を自分の眼で確かめてはどうだろうか。

−青空の下で語り合おう−
 私が子どもの頃、だいたい40年くらい前だろうか、夏になると近所の氷屋さんが長いイス(床几・しょうぎ)を店の前に出してくれた。近所の人なんかが床几に腰をかけ、よもやま話をしたものだった。今年は、長田には青空スペースがいっぱいだ。外に椅子を持ち出して、「長田のこれから」を話し合ってみよう。被災したのは自分だけではない。1月17日以前からは思いもよらない生活を今もまだしている人は、周りにいっぱいいる。他人の身になって考えていこう。
 震災から半年。井戸端会議、大賛成である。
(幹)


よみがえれ、がんばろや

唄う一夜祭

7月1日(土)四番町3丁目広場にて

 広場の入口には、たこ焼き・アイスクリン・玉子焼きなどの屋台が、そして広場の中には、やぐらまで組んである。紅白の垂れ幕も下がって会場は夏祭りのよう。
 6時、沖縄の三線(シャミセンのようなもの)の音合わせと共に、「寄ってらっしゃい、見てらっしゃい」とチンドンが鳴り始める。第1部は「もののけサミット」と川門正彦さんによる戦前のはやり唄や民謡、壮士演歌で「りんごの唄」「アリラン」「花」「トゥルルンテン」「ラッパ節」などが演奏された。会場に用意されていた椅子はすぐにいっぱいになり、ステージの前を避けて遠巻きに見ていた人達の中からうずうずしてたまらなくなったおばちゃんが踊り出て来る。だんだん人の輪がステージに向かって行く。
 第2部は、神戸の演歌歌手・灘みや子さんのステージ。始まるや否や、ステージの前には三重四重もの人の輪が出来、一足早い盆踊り大会となりました。すると突然、暗闇の中から真っ赤な着物にほっかむりと目玉付きサングラスをした人が踊りながら現れた。こんな姿で踊れるのは絶対おじさんだと、たかをくくっていると、なんとおばさんであった。他にも女同士でチークダンスを踊る人達やチマチョゴリを着て踊るおばちゃん.....ここでは、おばちゃんパワーが炸裂している。だが、おじさんも負けてはいない。両手にカスタネットを持ってカチカチカカカチやりながらステップ踏んでるちょっと中性的なおじさん、お腹がよじれる程、笑わせてもらいました。
 10時からはカラオケ大会。飲み放題のジュースやビールで気持ち良くなったおじちゃん・おばちゃんのワンマンショー。ほとんど誰も聞いてない状態にもめげず、気持ち良く歌った本人達は、花束や洗剤をもらってニコニコ。
 この一夜祭で、この町の人達の「盛り上げて行こう」とする気持ちや力を感じ、「ここの人達は大丈夫、前進している」と確信しました。「今度は地蔵盆やね」と、広場で顔見知りになったおばちゃんと言葉を交わし、その場を後にした。

(とろひも)


ちっちゃな天神さんにおまいりしてみませんか?

−7月25日(火)天神祭−

 被災地・長田にも夏がやって来た。夏祭りどころではなく、我々にはやることがいっぱいある。
 でも、長田の先人たちが守り続けてきた天神さんにお参りするのも気持ちの整理になる。
 苅藻中学の東門のそばに天神さん(菅原道真公)をまつる”匂の梅”の祠(ほこら)がある。
 道真公が九州へ左遷の途中、梅の良い香りに誘われてやってきた所らしい。梅ヶ香町の名称もこれがルーツだ。
 千年以上も前より天神さんはまつられ、今は東尻池一丁目の中村氏宅の一角にあり、保存会もある。

(匂の梅・天神祭 7月25日午後5時)
(幹)



numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp