「Weekly Needs」1995.6.11号(Vol.1 No.14)

Vol.1 No.14 表紙

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夏こそ要注意! 気をつけたい衛生あれこれ


 虫やネズミの出る季節になり、健康状態や衛生面が気になっている方もいらっしゃるかも知れません。これから夏に向けて、清潔な暮らしのために何に気を使ったらいいのでしょうか?

〜食中毒を防ごう!〜
 まず気になるのは、暑くなってくると食べ物が腐りやすくなることでしょう。食中毒にかかる可能性から身を守るために、是非冷蔵庫の活用を!

〜夏だからこそきれいにすてよう〜
 収集日にあわせてごみを捨てましょう。震災以来6ヶ月近くたつ今も、まだまだ長田の街には家庭ゴミの山があちこちに残っています。ほんの小さな気配りで、身のまわりの環境が衛生的に・・。

 ハエがわきます。ねずみがでます。ルールを守って「燃えるゴミ」を出してください。
 ●残飯類●料理くず●果物の皮●茶がらなど●チラシ●チリ紙●包装紙などの紙切れ

 ごみは必ずポリ袋に入れてしばって出しましょう。
 ごみをそのまま出したりダンボール箱に入れて出したりしないようにしましょう。

〜見えない危険から身を守れ!〜
 ウィークリー・ニーズで毎号紹介している粉じん・アスベスト問題。何十年後かに体に害が及ぶのに耐えるよりは、今私たちに出来る限りのことで、危険を防ぐことを考えませんか。普段、町を歩くときにマスク着用の注意が必要なのはもちろんのこと、向こう3軒両隣(半径20〜30mくらい)の所でビル解体工事を行っている場合、洗濯物にもアスベスト繊維が付着する可能性があります。そんなときは洗濯物、また布団などを外に干さない方が良いでしょう。近くで解体工事がなくても、家に入れる前によくはたきましょう。

〜謎のきのこ〜
 日吉町の若松公園の仮設住宅にきのこが生えました。県庁の林務課の方に伺ったところ、原因は湿気。上から乾いた土を掛けたらよい。家の中に生えたら防腐剤を使って下さいとのことでした。毒は無いようですが、食べてはいけません。

〜気になるトイレのお話〜
 蒸し暑い季節になり、仮設トイレの周りにハエが飛ぶようになりました。トイレの消毒・殺菌について、保健所衛生課からのお知らせです。トイレの定期的な消毒・殺菌、便漕にウジがわいているとき、トイレのにおいが気になるときには、「バイゾールS」を100倍に薄めてまいて下さい(クレゾールは殺菌のみです)。

薄め方・まき方
まずゴム手袋をつけて下さい。原液を100倍に薄めます。
 原液100 ml → 水10 l
直接手でかき混ぜないようにしてください。
薄めた液をまきます。
・じょうろを使う場合
 トイレの内部、周りにまき、便槽には少し多めに
・噴霧器を使う場合(保健所で貸し出しています)
 トイレの内部、周りに散布、便槽にはバケツ等で
 バイゾールSの使用についてのお問い合わせは
  長田保健所衛生課 579-2311(内)462〜5まで

 仮設トイレでの衛生対策で、EM液やボカシを使っているところもあることと思います。夏になると、糞尿が腐敗するのが早くなります。腐敗して悪臭がただよい、ウジがわいたりハエが飛び回る前に、EM菌によって、先に発酵させてしまうことが必要です。
 そのためには、
・まめに(排便した人が必ず)EM液またはボカシを散布する。
・発酵のスピードを早めるために(腐敗に先手を打つ!)多めに投入する。
▼バイゾールなどの殺菌剤などを同時に散布すると、EM菌も死んでしまいます。殺菌剤を使用する場合は、ボカシ等の量を大幅に増やして下さい。(EM液・ボカシは人畜無害です)
▼EM液・ボカシがご入り用の方は
「環境浄化を進める会」
 TEL:671-0331 中本さんまで


足湯マッサージでリフレッシュ!


 5月のある日、兵庫区のボランティア団体「ちびくろ救援ぐるうぷ」の活動に参加する機会を得ました。ここでは、「すたあと」と同じく、引っ越しなどの「ガテン仕事」をひきうけているほか、福祉活動として、老人ケアや避難所を回ってのマッサージなどもしています。私もマッサージチームに同行して、ある避難所に行き、初対面の人に足のマッサージをするという、貴重な体験をしました。
 入浴剤の入ったお湯に足を入れてもらい、それを両手でさすってほぐす、というものです。わたしは全く初めてだったので、自分の技術もなく、これでいいのかな、と内心すごく不安でした。案の定、お湯の中にタオルを落っことしたり、お湯がぬる過ぎたりと、失敗続き。または、力が弱すぎて効き目がなかったことも。でも、「気持ちいい」といってもらえてほっとしました。
 足のマッサージをしながら、相手の方と少しずつお話をします。最近の生活のこと、これから復興して、平常化していくなかでの不安ー。だんだん打ち解けてくるにつれて、心の深いところまで話してくれ、私たちボランティアのことにも興味を持ってくれます。「自分のお父さん、お母さんにもやってあげてよ」と言われ、故郷に両親を残して神戸に来ている私は「はい」と言ったきり涙ぐんでしまったり。話をしていて、こんなことをおっしゃった方がいました。
 「こんなサービスまでしてもらって贅沢やなあ。申し訳ないなあ」。ボランティアに甘えているのでは、とおっしゃるのです。でも、ボランティアする側としては「ありがとう」と言われるだけで「やってよかった」「うれしい」と思ってしまうものです。ただし「よかった」で終わらせるのではなく、何が求められているのか考えながら・・・。
 ボランティアの活動は力仕事の肩代わり、避難所での手伝い、情報の伝達、イベントの企画・運営と、多岐にわたります。震災以後、ボランティアも全国各地から来てくれます。また、ボランティアの団体は大小含めて数多くあります。想いは同じなら、もっとお互い協力していけたらいいな、と思っています。
 私達が活動することで、皆さんが元気になってくれること、自分も何かしようと思うこと。これがすべてのボランティアたちの一番の願いなのです。

初めての足湯 のためのガイダンス

 今回紹介した足湯マッサージですが、誰にでもすぐできます。ご家族で、また避難所などで、おとなりさん同志お互いに足湯マッサージをするなんてのはどうでしょう。お話ししながらコミュニケーションもはかれます。
 まず、少し大きめのたらいにお湯を張ります。お湯の温度はちょうどお風呂くらい。お好みの入浴剤を溶かし入れます。香りの効果で、ゆったりリラックス出来ることうけあい。
 マッサージしてもらう人はイスに腰掛け、足を楽にして下さい。マッサージする人は、片足を両手で持って、お湯を掛けながら、かかとからゆっくりお湯のなかにいれます。
 両手の親指を足の甲におき、残りの指で両側から足をはさむようにかかとにあてます。そのまま静かに指先の方向にしごいていきます。手は土踏まずにぴったり沿わせること。普段立ち仕事をなさっている方は、結構足の裏がこっています。じっくりほぐしてあげ ましょう。
 足の指も、一本一本、指の付け根からつまんでは引っ張って、マッサージします。

<注意事項>

1.お湯がぬるくなったときには、差し湯をして下さい。その時は、熱湯に注意。
2.高齢者の方の足湯マッサージをする時は、ていねいにしてあげましょう。骨が弱い方もおられますので、骨折なんて事になっては大変。
3.冬場は上半身汗をかいていたりしたら、後で冷えないようにちゃんと着替えをしてもらいましょう。

 もし足湯マッサージをご希望の方がおられましたら、お早めにお電話ください。
「ちびくろ救援ぐるうぷ」 TEL:671−1442
 このページは「ちびくろ救援ぐるうぷ」さんのご協力を得て作成しました。

(編集部・家田 慈子)


「イラコウベバヤ」〜誇り高き神戸〜


 あの日から
  五ヶ月
   たとうとしている
 寒い冬の空の下
  日だまりをさがしてた
    あの時
 あの日から
  五ヶ月も
   たとうとしている

 初夏の、陽射しの中、神戸海洋博物館ホールにて「阪神・淡路大震災ボランティアフォーラム」が、ひらかれた。主催には、兵庫県社会福祉協議会(県社協)、共催には、神戸市社協をはじめとして、コープ神戸・地元NGO連絡会が、会場には県内外の社協をはじめ、ボランティア団体・個人、約三百人があつまった。
 午前の部として、須磨区鷹取中学ボランティア本部、長田区真野地区災害対策本部と現在の問題提起があり、仮設住宅から69歳のおばさんが、「空襲の時は若くて、涙もみせずガンバってきた。この年になって全壊です。もう年です。」と、心境を語る。昼食をはさんで、午後の部には会場中央にテーブルがおかれ、北淡町ボランティア・西神戸YMCA・朝日ボランティア基地など8団体によるディスカッションに入る。 はじめに、北淡町ボランティアリーダーは、町社協との協力で、地元高校生を含む20数名による仮設住宅に対するメンタルケアの報告や、東灘区情報センターは、テント村の生活マニュアルを作成、コープ神戸は地元として何ができるのかという話を、朝日ボランティア基地のリーダーは、「イラコンゴバヤ」(誇り高いコンゴというコンゴ語)の歌を歌ってくれ、その後ボランティアと行政との壁を指摘、行政側として川西市社協が、行政ではない本来の社会福祉協議会の位置づけを強調した。そして、最後に全国に広がる社協のネットワークを生かして、各地の様々な情報を一本化していくことでまとまった。
 この日現在、普賢岳噴火災害地、島原では二十世帯弱、約五十人が仮設生活を余儀な くされている。あれから、4回目の夏が来る。

正村 圭史朗

(正村さんは雲仙普賢岳の噴火以後、島原ボランティア協議会で活動を続けておられます。現在は「ボランティアのためのボランティア」として「すたあと」に様々な情報を提供してくれています。)


吉良さんの車イス雑記


○月□□日
 今日は、車イスガイドのスタッフの一人である「すがちゃん」が南太平洋行きの「ピースボート」に乗船するのに東京に出発する日だ。僕も見送るために夕方に「すたあと」に行く。神戸駅を午後9時50分に出発する夜行バスで行くのだそうだ。大きな大きな旅行カバンに荷物をいっぱい詰め込んで、3週間あまりの旅に出るのだ。南洋の真っ青な空と海、心に思い浮かべただけでもワクワクするような旅に行けて、うらやましい限りである。車イスガイド作りから逃げる(?)ようにして、あわただしく神戸駅に向かう『すがちゃん』だった。
 でも、震災で自分の家も無くし、震災の直後は避難所で看護婦としての使命を果たし、今は働きながらここ「すたあと」で休む間もなく頑張っている彼女。そんな彼女だからこそ、マップ作りは『たけちゃん』とこの僕に任せて、ゆっくりと楽しんできてほしい。そして帰ってきたらまた、バリバリ頑張るんだぞ。

○月△△日
 今日はたけちゃんとデートの日だ。(そんな訳ないだろ)2人で神戸市<社会福祉協議会(略称=社協)>に行った。他の車イスガイド作りの団体の状況を聞きに行くためと、スタッフ募集の登録をするためだ。いわゆる僕たちの間で言っている「営業」の仕事である。今月から「ガレキの街の車イスガイド」は、二週間に一度の掲載になる。今までは、一週間サイクルのために制作だけに負われていて、障害者自身にマップを見てもらう努力、自分たちの福祉に関する勉強ができなかった。(スタッフが足りないせいもあるんだが。)これからは「営業」と銘打って、区内にある障害者の共同作業所とかデイケアセンターとかを訪問して、どんどんガイドを利用してもらおうと思っている。
 それと同時に、僕たちも福祉の事をもっともっと勉強するために講習会とか研修会にも積極的に参加して、息の長い福祉活動を続けていき、長田(神戸)の復興と同時に、福祉も弱い立場の者の身になった活動を行ってもらえるように頑張っていきたい。

 これからが僕たち「ガイド班」の「すたあと」である。

 (吉良和人)

 スタッフ募集
 興味のある方は、ご連絡を。
 電話521-7170 竹内、または吉良まで


長田のEatころみっけ! 〜「Coffee House あきら」の巻〜


 営業時間:7時〜19時
 定休日:日曜日(祭日営業)
 店長:和田 明さん
 電話:671-8725
 メニュー:Coffe,Tea \270
      モーニングセット \300
      ピラフ・カレー等の軽食 \520
 出前もしています。貸し切りパーティーも受け付けています。

 6月1日に「Coffee Houseあきら」が北町交差点の仮設店舗から場所を東尻池に移して再びオープンしました。震災わずか10日後にはワゴン車を借り移動コーヒー店を始めた。全焼してしまった前のお店には何も残っておらず、紙コップを利用してのスタートだった。この時は色々な友人の親切により、お水などを運んでもらった。しかし、道路占拠違反によりおまわりさんに注意され、先が見えない不安な日々が続いたが、コーヒー豆屋さんの提供により現在の場所に店を構えるにいたった。ワゴン車営業のころは気楽な面もあったが、今までごひいきにしてもらったお客様とこれからのご自身の生活のために、との意気込みもある。「やらねば何もはじまらない」と、この5ヶ月間で一日しかお店を休んでない。
 店内はコーヒーの香りが漂っており、マスターの愛犬プチのお迎えもあり、ほのぼのとした雰囲気のお店です。ゲーム機になっているテーブルもあり、若者はついつい長居してしまうかもしれませんね。一見恐そうな(ゴメンナサイ)マスターは実は話好きでけっこう笑かしてくれる気さくな人です。店にはマスターのお守りという地震の時に火災で焼けた100円玉が溶けてかたまりとなったものが置いてあります。店長から長田区のみなさまへ
 「がんばれよぉ〜しかないやん」

(阿部・古賀・田村)


長田の人たち ここにもおるよ、地元の若い力!

〜岡本泰典くん18歳〜

 朝9時起床、朝御飯を食べながらテレビを見て世界の動きをチェック。9時25分、チャリンコをとばして区内の某予備校へと向かう。午前中まじめに授業を受け昼休み、暇を見て区役所内のボランティアセンターに顔を出す。再びだるそうに本業に戻り、2時すぎに晴れ晴れとした表情で区役所に戻る。6時、「あ〜、宿題せな〜」とつぶやきながら帰宅の準備。
 これが18歳、岡本泰典君の一日である。震災直後は避難所で過ごす。しかし当時は何もする気が起こらず、毎日の生活も外人ボランティアにゆだねて、「まあ頑張ってくれ。」と、ただただ彼らを見守っていたそう。しかもその頃の彼は、大学入試に追われた受験生。ところが結果は残念ながら、岡本君を浪人生活へと導いた。もちろん彼はそんなことで頭をかかえてしまうようなオトコではない。3月7日、何かしようと区役所内の長田ボランティアルームを訪れる。
 そこでは彼が唯一の地元民だった。スタッフからかなり重宝され、早速、発足されたばかりのマスクプロジェクトに配属される。当時アスベストに関する情報がほとんど無かった中、岡本君は何冊も本を読み、独学でそれを調べ、まとめあげたのだ。その行動力には目を見はるものがあった。
 私は、4月から〈すたあと〉でマスクプロジェクトを引き継ぎ、岡本君にアドバイスを貰いながら活動しているが、彼のチェックは厳しい。「問い合わせ来た時に個別に送れる資料まとめといたら?」「もっときめ細かい調査がいるよ」などなど。その度に、「おいおい、こいつほんまに18なん?」と疑問に感じるが、いたずらっぽく笑う目には、やはり若さがあふれている。
 チャリンコに乗るのが大好きな彼は、震災前からよく遠出をし、駅に寝泊まりしたこともしばしば。この趣味が功を奏したのか、今回も、な、なんとあの雲雀ヶ丘までマスクを配りにチャリチャリ登って行き、道に迷って北区まで行ってしまったとか・・。
 今日も彼は、予備校と区役所を往復する。一人の青年として、そして長田区民として、自分のできる範囲で活動を続けていく。「また新しいプロジェクトする事になってん。」と楽しそうに話す前向きな彼の姿に、私たちは励まされているような気がする。

(ぴろ)


緊急支援!! サハリンへ義援金を


サハリンへ愛を込めて
 サハリンの地震の被害をひとごとのように思えず悶々としている方もおられるのではないでしょうか。

これまでの活動
 長田区役所で1ヶ月間医療ボランティアをしてくれたAMDA(アジア医師連絡協議会)がまず5月30日現地状況把握のため医師3名を派遣しました。続いて阪神大震災地元NGO救援連絡会議などの団体も加わって集めた緊急医療物資とその他の救援物資第1陣を6月2日航空便で送ると同時に医師等8名による派遣第2便も出発し、実際の被災者治療などにあたります。

これからの活動予定
 救援物資こそ集まっていますが、実際の輸送にかかる輸送費(1回の飛行機チャーターに一千万円)などの経費を確保できなければ役に立たない上、今後ロシア国内で物資を調達できることも考えて、すたあととしてはまずお金集めを呼び掛けることにしました。各団体と協力して活動していきます。

 すたあとで救援募金を受け付けます
 さくら銀行 長田支店 普通預金
 口座番号:322-6790422
 口座名:すたあとサハリン義援金窓口



numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp