[速報]育英高校は初戦の強豪・創価高校を倒して、二回戦に進みました。さぁ、甲子園に行こう!
おばあちゃんの隣の街で、市の職員が来て説明会を開くから聞きに行かないかと近所のおじさんが呼びにきた。いろんな街で市に説明に来てくれと言っても、市は全然来てくれないと聞いていたので、とっても珍しいことだった。説明会の会場に行くと、八十名以上の住民が集まって、座る席もない。みんなすごく心配しているのだ。その前で、市の職員が説明を始めた。正直に言って、おばあちゃんには退屈で長いばっかりの話だった。孫がよく言っていたけれど、学校でも学生が聞いていようといまいと、ダラダラ授業を進める先生がいるというけれど、こんなんかなとおばあちゃんは思った。でも、心配いらなかった。説明が終わると、それまで神妙に聞いていたように見えた住民達が、一斉に手をあげた。
「地震の時、町内のみんなが近くの公園に避難して、それで充分だった。どうして今ある公園ではダメなのか。誰もはみ出してない」
「都市計画審議会で決められると言うなら、それを傍聴できるのですか」
「あなたたちは安全のための高層ビル化と言うけれど、地震であんなにビルが崩れているのに、絶対安心だと言えますか」
おばあちゃんは答を期待した。なんて答えてくれるんだろう。でも、答はなかった。「審議会の傍聴は私たちの管轄ではないので分かりません。事務局に伝えます」。これがせいぜいの答だった。町の人々は怒った。「ほっといてほしい。市が自分勝手に線引きして押しつけようとしているだけだ。私たちの街をほっといてくれ」みんな拍手した。おばあちゃんも拍手した。誰かが言った。「この中で市の計画に賛成の人は?」。誰も手をあげなかった。「反対の人は?」。みんなが手をあげた。市の職員は無表情にそれを見ていた。
そして三月十四日。おばあちゃんたちは、市役所の前に朝から集まった。市の都市計画審議会が開かれるからだ。どうしても決定を待ってもらおう。偉い先生も審議委員だというから、おばあちゃん達は意見書をいっぱい出した。ちゃんと反対の理由も書いた。町の真ん中を広い道が走ったりすると、おばあちゃんの大好きなこの町が壊れてしまう。隣に誰が住んでいるか分かるから、あの日おばあちゃんもみんなも近所の人に助けられたのに、その町まで壊されたら、おばあちゃんはどこに行けばいいのか。「まちづくりに住民を参加させて下さい」。市役所には二百人も住民が来ていた。テレビも新聞もみんな来ていた。これならいくらなんでも審議会を傍聴させてくれるだろうとおばあちゃんは思った。
その期待は、五十人を越す市の職員たちのピケットであっさり裏切られた。ピケットという言葉も初めて聞いたが、無表情な五十の顔が、おばあちゃんたちが審議会を傍聴しようとするのに立ちふさがっているのを見て、ちゃんと意味が分かった。でもおばあちゃんには分からないこともある。神戸市は、ずっと何十年も「住民の声を聞いてまちづくりを進めます」というチラシを配っていたのに。どうしてこんなことをするんだろう。あとで聞いたけれど、偉い大学の先生も「結論は変わらないんだから、傍聴させることはない」と言っていたそうだ。
結局、市の計画は承認されてしまった。おばあちゃんは、本当に町も家も失うことになるかも知れない。この話は長い長い話になる。おばあちゃん達住民が、今までのような自治会や街づくり協議会のようなやり方では、自分達のまちづくりができないことに気付いたからだ。地震にも学んだが、行政というものがどういうものかも学んだ。だから、つい最近、市が出したチラシに、やたらと「住民の皆様との協動のまちづくり」なんて書いてあっても、シラケてくる。あの無表情な市の職員達の顔が浮かび上がるからだ。それでも、まちづくりは住民だけではできない。行政の理解がどうしても必要だ。地震は怖かったけれど、いっぱい勉強もしたな。おばあちゃんはそう思うのだ。
これが、一九九五年の神戸のおばあちゃんの話だ。
前号でおしらせした池田小学校の卒業式に行って来ました。前回投稿された神沢くんからのメッセージです。
震災で被災され、みんな時間のあまりない中、たくさんの人に来て頂いて、とても喜んでいます。中学生になっても色々な事を最後までやり遂げ、また、震災で学んだことをどんどん生かしていきたいです。第55回卒業生 神沢 智史
今回は、事務所隣のビルが解体作業中のため、「考える会」のメンバーでもある宮本さんの御好意で、喫茶「ニュージャンボ」を会場として利用させてもらった。初めての方も数名来られ、地元復興を自らの手で、と思われる長田の人々の輪が徐々に広がりつつある。嬉しいことだ。三月末で、外から来てくれているボランティアの人々が長田を離れて行く。長田区のフツーの人たちが「考える会」のプレハブ事務所に集まりだした。登録メンバーは増えつつあるが、まだまだだ。また、ボランティアの男手が足りないのも最近の問題点だ。頑張れ、長田の若い男の子!
このウィークリーニーズの編集作業・製本・配達にもまだまだ人手が欲しい。粉じん(アスベスト)などのボランティアが足で稼いだ記事・住宅問題のソフト記事・求人情報・長田の復旧状況などが載っている。みなさんで一緒に、長田のミニコミ誌をつくってみませんか。
また分科会のひとつである住宅班は、大橋七丁目での都市計画委員会の説明を聞きに行ったり、他の都市の区画整理事業を勉強したり、まず、今何が行われているのかを知ろうと活動している。
今後の新たな活動としては、身近に福祉を考えよう、と「福祉塾」が開かれた。また、五月開催を目標に、「長田復活祭」が企画されており、今、祭実行委員会メンバーの募集中です。みんな長田に集まろう!
一九日、二一日の二回にわたり、福祉についての勉強会を開きました。第二回会合では実際に障害を持つ方にお越し頂き、障害者と社会の問題について話し合いました。自分のハンデをごく素直に受けとめている、そういった方に対して社会はどのようなケアができるかが、これからの塾の課題です。ぜひ塾に参加を!
一九日に吉本興業の若手タレントの方々がフリースペース「なごみ」で住民達に笑いを届けてくれた。この「あおぞら花月」は、吉本興業のマネージャーさんによって非企業組織としてつくられた。「週末だけでもこちらで活動したい。」とのこと。彼らに再び会える日もそう遠くはないだろう。