11/9 グレン・ティルブルック

いわゆるウォーターフロント再開発といった趣のキャナリー・ウォーフ駅近辺の
カボット・スクエアというショッピングビルの中にあるカボット・ホールが会場。
ややバブリーなムードですな。左右に丸テーブルが並んでて、まんなかにスタン
ディングのスペース。ハコとしては日本でいえば恵比寿ガーデンホールなんかが
近い雰囲気。

スクイーズのグレン・ティルブルック、初のソロ・シングルのレコ初記念となる
この弾き語りライブ、わが妻が異常なまでのファンであるため(笑)ロンドン在住
の知人に頼んで前売りを買ってもらっていたのでしたが10ポンド。安いなあ。ここ
は彼のほとんど地元といえる地域なので、いかにもみんな馴染み客といった感じで
白人の労働者階級おじさんおばさん度高し。異常にドレスアップしてる人から異常
にキタナイのまで色々。いちばん前に陣取っていたヘルスエンジェルスみたいな
コワモテ風の兄ちゃんが車イスの青年に場所を譲っていたりして実に和気あいあい
なムード。前座のベン・ジョーンズなるマイケル・J・フォックス似でグレンの
小型版みたいな音楽性の青年が何曲か弾き語ったあと、真打ち登場。テイラーの
アコギを抱え、いきなり「テイク・ミー・アイム・ユアーズ」の変なリフを弾き
ながら歌い出す。分かってはいたものの抜群のギターさばきに目が点になりま
したね。彼は英国を代表するギタープレイヤーとしてもっと評価されても
いいのに。

スモーキーロビンソン「トラックス・オブ・マイ・ティアーズ」で中盤の
"outside〜"ってコーラスを客にやらせるのだが、いまいちタイミングが合わない。
するとお客のひとりのおばさんがいきなり怒りだして「ちがうわよ!こうよ!」と
ばかりに突然会場を仕切り出す。ちょっとこの人、イってる感じでしたが。あ、
カヴァーの選択もむちゃくちゃで良かった。ジミヘンの「ヴードゥー・チャイル」
をアコギにもかかわらず殆ど完コピでギターソロもバリバリやってたのも腰抜かし
たし、ウィリー・ネルソン「ユア・オールウィズ・オン・マイ・マインド」を
大真面目に歌うのもなんかおかしい。トッド・ラングレン「アイ・ソー・ザ・
ライト」までやっちゃう。「アップ・ザ・ジャンクション」「ブラック・コーヒー
・イン・ベッド」「アナザー・ネイル・イン・マイ・ハート」「プリング・マッ
セルズ」「テンプテッド」その他沢山のスクイーズ・スタンダードの浸透率も
すごいね。ほとんど会場全員が歌詞覚えてて主役の声がかき消えんばかりの
大声で歌いまくる。しかしグレン本人は一向にゴキゲンでビールをがぶがぶ(笑)。
ソロ・シングルの曲も披露してたもののこれはやや弾き語りではつらいか。CDは
かなり良い出来でしたが。アンコールでは10数人のお客をステージにあげ、あの
90年代版ウィ・アー・ザ・ワールドみたいな「パーフェクト・デイ」をリレー
させるサービスぶり。まあ最後は地元民の悪ノリ大会の様相ではありましたが
たっぷり楽しめたし、弾き語りというスタイルについて色々参考になった
ライヴでした。

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