11/12 ビル・フリーゼル・トリオ 会場のクイーン・エリザベス・ホールはテムズ川の南岸、ウォータールー駅を 少し北に上ったあたりにあるホールで、ちょっと格調高いムードも漂うところ。 欧米のコンサートはスタート時間がけっこうアバウトだし、とタカをくくって 出かけ、となりに立っているのロイヤル・フェスティバル・ホールの中にある チケット売り場で当日券を買って会場に入るともう始まっておりまして、黒服で ビシっときめたダンディな黒人のおじさんに「今、曲中だから終わるまで待ってね」 と言われてホールのドア前で待機。そして曲間になり、今度はホール係のお姉さん に案内されて席へ。なんだかクラシックのコンサートみたい。 ステージではグランドピアノを弾きながら歌うロビン・コルホムをフリーゼルと セックス・モブというバンドのリズム・セクションの2人、ウッドベースのトニー・ シェア、ドラムズのケニー・ウォレスンの3人がデリケートにバッキング。音量も かなり押さえめなので、これだと曲中の入退場はなるほど目立ちそう。会場の感じ はまたも日本で例えるなら1階席のみの五反田ゆうぽうと簡易保険ホールって感じ。 やはりお客の年齢層高いけどかなりの盛況でこういういわゆるマニアックなコン サートにも沢山人が集まるのはうらやましいですな。会場に入って1曲聴いた ところでもう第一部終了。たぶんコルホムの歌を中心にしたセットだったので しょう。あまり聴けなくて残念。 休憩を挟んで始まった第二部はピアノがどけられ、フリーゼル・トリオの演奏。 ほぼ横向きに立って猫背でギブソンのフルアコを操る彼の姿、なんとなく かの西村哲也氏を彷彿とさせるものがありましたが(笑)、独特の浮遊感と 不思議な間合いのギターは超個性的。かなりアバンギャルドな演奏になっても 古きよきアメリカンな長閑さが気持ちよい。リズムの2人も強力だったけど、 圧倒するのではなく、スーっと入ってくる感じなのも実に良し。途中ロビン・ コルホムが再び登場してフォスターの「ハード・タイムズ」などを披露したり、 アコギのフリーゼル(指弾き)とシェア(スライド)、ウォレスンはスネアの ケース(!)を叩くという編成でフォーク・ブルーズっぽい曲をやったり(これが またエレアコのラインではなくオフ・マイクで音を拾っていて音量すこぶる小さい んだけど)。ラストにはインスト版「ホワッツ・ゴーイング・オン」をキメたり、 ステージ上は終始なごやか。MCなんかもずいぶん恥ずかしそうでシャイなフリーゼル 氏でありました。ふと気がつけば客席には日本人の姿もちらほら。